請求知識

訪問看護のオンライン請求(医療保険レセプト電子化)とオンライン資格確認に必要な手続きを解説!

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この記事は2024年9月時点の情報をもとに執筆しています

訪問看護のオンライン請求(医療保険レセプト電子化)とオンライン資格確認に必要な手続きを解説!
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護の医療保険のレセプトが電子化され、2024年(令和6年)12月2日以降はオンライン請求が義務化されることはご存じでしょうか?また、それに伴って必要な準備やコストについて詳細を把握できていますでしょうか?

「まだ先の事だから対応はその時で大丈夫」とお考えでも、オンライン請求には専用の端末や回線、届出書類の提出など、準備工程が様々あります。

この記事では、医療保険レセプトの電子化・オンライン請求の導入スケジュールや準備を解説していますので、この機会に改めてオンライン請求に関する知識をつけ、運用開始に向けて準備をしましょう。

訪問看護のオンライン請求とは?

今まで紙出力していた訪問看護の医療保険(健康保険)分のレセプトデータを電子化し、オンライン上で請求する仕組みのことです。医療保険請求分は、現在、紙媒体(請求書・明細書)での請求となっていますが、訪問看護レセプトは年々請求件数が増加していることから、厚生労働省保険局より正式に電子化への移行が発表されています。

オンライン請求のイメージ

(参考:厚生労働省「訪問看護ステーションにおけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入に関するオンライン説明会」)

訪問看護のオンライン資格確認とは?

医療機関等と同様に、保険証の代わりにマイナンバーカードを用いて「オンライン資格確認システム」に照会することで保険証や自己負担限度額などの情報をその場で確認できる仕組みです。さらにオンライン資格確認専用の端末(パソコン)から資格情報が閲覧(※)できるようになります。

オンライン資格確認のイメージ

※健康保険の資格は確認可能ですが、介護保険の資格は確認できませんので注意が必要です。また、継続的に訪問看護が行われている間であれば、2回目以降は訪問看護ステーションで資格情報等の再照会が可能とされています。

(参考:厚生労働省「訪問看護ステーションにおけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入に関するオンライン説明会」)

訪問看護のオンライン請求(医療保険レセプトの電子化)とオンライン資格確認はいつから始まるの?

オンライン請求・オンライン資格確認は令和6年6月に制度運用がスタートしました。オンライン請求は、令和6年(2024年)7月の医療保険請求から開始されます。医療保険請求分は、これまで紙媒体(請求書・明細書)での請求となっていましたが、訪問看護レセプトは年々請求件数が増加していることから、厚生労働省保険局より正式に電子化への移行が発表されました。

訪問看護のオンライン請求・オンライン資格確認の義務化はいつ?

訪問看護ステーションのオンライン請求とオンライン資格確認は、令和6年秋の保険証廃止時期に合わせて令和6年12月2日より義務化される見通しとなっています。

ただし、通信障害やシステム整備、ステーションの廃止や休止を含む、やむを得ない事情がある場合には期限つきの経過措置を設けることが示されています。

(参考:オンライン資格確認等について|医療機関等向け総合ポータルサイト

訪問看護でオンライン請求・電子レセプトを導入するメリットとは?

訪問看護レセプト(医療保険請求分)のオンライン請求開始により、訪問看護事業所には以下のようなメリットがあると考えられます。

  • レセプトの印刷と郵送作業が不要になり、業務が効率化する

  • レセプト請求の受付時間が延長される

  • レセプトの事前チェックが可能になり、返戻を減らすことができる

  • セキュリティを確保したネットワーク回線を利用するため安全に請求ができる

  • 審査後の返戻レセプトデータや振込額明細データが電子データで一元管理できるようになる

オンライン請求について
画像引用:医療機関等向け総合ポータルサイト|厚生労働省

訪問看護でオンライン請求・オンライン資格確認を導入するための準備とは?

オンライン請求とオンライン資格確認に必要な物品・環境は以下の5つです。

  • オンライン資格確認・オンライン請求用ネットワーク回線

  • オンライン資格確認・オンライン請求用端末(パソコン等)

  • 電子証明書

  • モバイル端末等(マイナンバー読み取り可)

  • レセプト作成用ソフト・端末

これらの物品等を導入するために必要な準備と手続きについてご紹介します。

①オンライン請求の導入支援事業者に相談する。

オンライン請求の導入支援事業者に、オンライン請求の導入に関する相談をし、今後の流れを確認します。オンライン請求の導入支援事業者は、接続可能回線によって異なります。以下が導入支援事業者一覧になります。

IP-VPN接続可能回線(IP-VPN接続方式)

  1. NTT東日本・西日本

  2. 中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)

  3. 株式会社QTnet

  4. 光コラボレーション事業者 等

IPsec+IKEサービス提供事業者(インターネット接続方式)

  1. 株式会社NTTPCコミュニケーションズ

  2. 株式会社NTTデータ中国

  3. 富士通株式会社

  4. 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社

詳細についてはこちらをご参照ください。

②レセプト作成用の端末(パソコン等)を準備する。

オンライン請求を開始するためには、パソコン等の端末でレセプト作成用ソフトを使い、レセプトを作成しなければなりません。「レセプト作成用ソフト」を利用するパソコンは「レセプト作成用ソフト」が求める仕様に準拠した端末を用意する必要があります。

※すでにカイポケ等の請求ソフトでご利用のパソコンがあれば、準備不要です。

③レセプト作成用ソフトを準備する。

医療保険請求・介護保険請求問わず、現在利用しているレセプト作成用ソフトがある場合は、開発元のシステムベンダに、訪問看護レセプト(医療保険請求分)のオンライン請求対応予定についてお問合せください。

もし、現在レセプト作成用ソフトを導入していない場合や、お使いのソフトのシステムベンダが「対応予定なし」の場合、オンライン請求に対応するレセプト請求ソフト等を探す必要があります。

※『カイポケ訪問看護』はオンライン請求に対応しておりますので、カイポケをご利用の場合は追加のソフト契約やソフトの乗り換えは不要です。

④オンライン請求・オンライン資格確認用の端末(パソコン等)を準備する。

オンライン請求ならびにオンライン資格確認を導入するにあたり、オンライン資格確認に対応するOSが搭載された専用端末(パソコン)を用意することが推奨されています。

オンライン請求とオンライン資格確認は、同じパソコン1台で兼用が可能です。オンライン資格確認用端末として推奨される仕様は、下記のURLをご参照ください。

【資格確認端末において満たすべき要件】

国は、訪問看護事業者がオンライン請求ならびにオンライン資格確認の導入に必要な端末代やネットワーク整備の費用として、最大42.9万円の補助金制度を用意しています。

(参考:訪問看護関係補助金の申請について|医療機関等向け総合ポータルサイト

ただし、補助金の対象となるのは2024年11月30日までに導入が完了し、2025年5月31日までに申請を行う場合に限ります。やむを得ない事情がある場合のみ、導入完了期限と補助金の申請期限が延長されます。くわしくは、以下の資料をご覧ください。

(参考:保険医療機関等向け医療提供体制設備整備交付金実施要領(訪問看護ステーションのオンライン資格確認),p5|医療機関等向け総合ポータルサイト

⑤マイナンバーの読み取りが可能なモバイル端末等を用意する(オンライン資格確認用)

オンライン資格確認を行うには、利用者のマイナンバーの読み取りや本人撮影を行うためにモバイル端末を用意することが推奨されています。ただし、NFC機能(マイナンバーの情報を読み取る機能)がついたスマートフォンやタブレットが既にステーションにある場合は、新たに用意する必要はありません。

オンライン資格確認に対応するモバイル端末

「地方公共団体情報システム機構の公的個人認証サービス」が、マイナンバーに対応したNFCスマートフォン端末の情報の一覧を出しているので、必要に応じてご参照ください。また、オンライン資格確認でマイナンバーを読み取るには、対応するモバイル端末で「マイナ在宅受付Web」にアクセスする必要があります。

『カイポケ訪問看護』では、オンライン資格確認のマイナンバー読み取りに対応するモバイル端末を提供しています。詳しくは以下ページよりお問い合わせください。

⑥オンライン請求用のネットワーク回線を準備する。

現在ご契約中のネットワーク回線の状況によって準備が必要です。

インターネット接続環境があり、併設医療機関の回線を利用している場合

基本的に新規でネットワーク回線の設置は不要です。ただし、IP-VPN接続方式かIPsec+IKE接続方式か等によって追加での契約が必要となる場合があります。

「IPsec(Internet Protocol security)」とは、インターネット上に暗号化した通信経路を構築し、機密性の高いデータ通信を可能にする技術であり、「IKE(InternetKeyExchange)」とはインターネット標準の電子鍵の交換技術です。この2つの技術を組み合わせることにより、インターネット上で閉域IP網を利用したIP-VPN接続と同等のセキュリティを確保する仕組みのことです。

インターネット接続環境があり、IP-VPN接続可能回線(フレッツ・BBIQ等)を利用している場合

既存のネットワーク回線を利用可能ですが、オンライン請求用端末(④)をインターネット接続(介護レセプト)用端末とは別に準備する必要があります。

また、オンライン請求用として使用する端末は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版 システム運用編 」 、「オンライン資格確認等、レセプトのオンライン請求及び健康保険組合に対する社会保険手続きに係る電子申請システムに係るセキュリティに関するガイドライン」及び「オンライン請求システム利用規約(支払基金・国保中央会)」等に基づき、利用者の責任において、不正ソフトウェア対策等を施した状態であることが必要です。

インターネット接続環境があるが、上記以外の回線を利用している場合

IPsec+IKE方式で、既存のインターネット接続用回線を活用する方法と、IP-VPN接続が可能なネットワーク回線を新規契約する方法があります。ネットワーク回線敷設費用は厚生労働省の資料では約11,400円とされており、オンライン資格認証とオンライン請求を同時に開始する場合、導入費用は補助金の対象とされています。

ただし、毎月のネットワーク回線にかかる費用は敷設するネットワーク回線の種類や事業者によって異なります。詳細はネットワーク回線事業者へお問合せください。

ネットワーク回線の準備方法及び接続方法に関するお問い合わせは、社会保険診療報酬支払基金の「ネットワークサポートデスク」にお問い合わせください。

⑦各種届出書と電子証明書を準備する。

ネットワーク上のなりすましを防止するため、審査支払機関の専用認証局が発行する電子証明書が必要です。レセプト作成用ソフト・パソコン・ネットワーク回線の準備後に、「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」を提出し、電子証明書を発行しましょう。届出書類は以下の2点です。

  • 電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出

  • 電子証明書発行等依頼書(保険医療機関 保険薬局 特定健康診査・特定保健指導機関)

レセプト業務を代行業者に委託している場合は、「事務代行者を介した電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」の提出も併せて必要です。

届出書類は支払基金へ提出します。支払基金は、届出を毎月20日に取りまとめ、オンライン請求を行うための設定ツール等を翌月の15日までに送付します。訪問看護事業所は、これらの設定ツール等を用いて、設定作業及び電子証明書のダウンロードを行います。

設定作業が終了後、ネットワークに繋がるかの導通試験を行い、届出の翌々月からオンライン請求が開始できます。電子証明書の発行料(更新料)は1,500円で、有効期間は3年3か月です。届出書の別途郵送費用がかかります。

オンライン資格確認とオンライン請求の利用申請ならびに、電子証明書の発行は医療機関等向け総合ポータルサイトで行います。

⑧社内の運用体制を整える

オンライン請求の開始にあたって、訪問看護ステーション内でのセキュリティ・安全管理への対策や運用フローの整備を行うよう、厚生労働省から各種規定案が提示されています。

事業所の環境に合わせ、適宜ルールの策定をご検討ください。

セキュリティ対策・運用フローの整備の例

  • オンライン請求システムに係る安全対策の規程の策定

  • レセプトのオンライン請求システムに係る安全対策の規程の作成

  • 職員の役割・権限分担の設定・見直し

  • 運用フローやルールの設定・見直し

厚生労働省のガイドラインに沿った、オンライン請求システムに係る安全対策の規程の策定は、支払基金から出ている下記の規定例をご参考ください。

オンライン資格確認等システム及びレセプトのオンライン請求システムに係る安全対策の規程例

オンライン請求・オンライン資格確認の導入準備で不明な点の問い合わせ先は?

オンライン請求やオンライン資格確認について問い合わせをしたい方は、用途に合わせて以下窓口やサイトをご確認ください。

※通話料無料。祝日を除く平日8:00~18:00、土曜8:00~16:00

オンライン請求・オンライン資格確認に向けた回線・専用端末の準備をするなら『カイポケ訪問看護』

『カイポケ訪問看護』は、訪問看護レセプト(医療保険請求分)の電子化・オンライン請求に対応するレセプト作成ソフトです。さらに、導入支援事業者の一つである『NTTデータ中国』のオンライン資格確認・オンライン請求の導入に対応した「おまかせパックN」の月額費用が約10%の割引価格で利用できます!

導入時の初期費用は、補助金が対象となるプランとなっています。

カイポケ会員限定の特別価格

『おまかせパックN』のサービス内容

NTTデータ中国が提供するおまかせパックNのサービス内容は以下になります。

  • オンライン資格資格確認・請求用の端末(パソコン等)の手配

  • オンライン資格資格確認・請求用の端末(パソコン等)のシステムインストール

  • オンライン資格確認・請求用の専用ネットワーク回線(IPsec+IKE)の手配

※利用者宅でマイナンバーを読み取るためのモバイル端末については、NTTデータ中国が提供するサービスには含まれていませんのでご了承ください。

この専用ネットワーク回線(IPsec+IKE)は、ステーションで既に導入されているインターネット回線を使って利用できます!オンライン資格確認・オンライン請求の導入、導入支援事業者の選び方でお困りの方は、一度『カイポケ訪問看護』にお問合せください。

オンライン資格確認に対応するモバイル端末のレンタルにも対応!

『カイポケ訪問看護』では、オンライン資格確認に対応できるスマートフォン『カイポケモバイル プラス』を提供しています。

『カイポケモバイル プラス』はマイナンバーカード読み取り機能(NFC)付きスマホのレンタルサービスで、初期導入費用(※)にはオンライン資格確認の導入にかかわる補助金を利用することができます。
※端末の月額費用は除く

詳しくは以下ページよりお問い合わせください。

オンライン請求・資格確認の専用端末と専用回線の設置を申し込んだ方の意見

株式会社NEKONOTEの代表・小鷹様は、カイポケが提携する導入支援事業者「NTTデータ中国」のサービスを利用しオンライン請求・資格確認用の専用端末と専用回線の導入準備を済ませました。導入支援のサービスを受けてみて感じたことを以下のように述べています。

サービスの申し込み後、導入支援事業者から今後の手続きに関してまとめられた資料が送られてきて、それを見ながら医療機関等向け総合ポータルサイトで電子証明書やシステムの利用申請の手続きなどを進めることができたので、スムーズかつ簡単に申請手続きを行えました。
また、システムの利用申請後に社会保険支払基金から届く電子証明書などの情報は、導入支援事業者の専用サイトに提出が必要なのですが、これによりオンライン請求・資格確認に使用する専用端末の初期設定が済んだ状態で機器が納品されるので、大変ありがたかったです。

(引用元:カイポケ経由でオンライン請求・資格確認の設備導入を行い安心して進められた|カイポケ訪問看護

まとめ

令和6年(2024年)6月から訪問看護の医療保険分のオンライン請求と、オンライン資格確認が始まり、同年12月2日より義務化されることになっています。

オンライン請求・資格確認の導入には、①オンライン請求・オンライン資格確認用の専用回線、②オンライン請求・オンライン資格確認用端末(パソコン等)、③電子証明書 ④モバイル端末等(マイナンバー読み取り可)、⑤レセプト作成用ソフト・端末の5つの用意が必要です。

オンライン請求に対応しているソフトや、オンライン請求・オンライン資格確認の導入支援事業者をお探しの方は、是非一度「カイポケ訪問看護」にご相談ください。

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