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訪問看護の2021年度介護報酬改定

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訪問看護の2021年度介護報酬改定
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。

ここでは、訪問看護の介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

訪問看護の基本報酬の改定

訪問看護費・介護予防訪問看護費の基本報酬について以下のように改定が行われました。

【訪問看護費】

基本報酬 現行 改定後 増減
指定訪問看護ステーションの場合 20分未満 312 313 +1
30分未満 469 470 +1
30分以上1時間未満 819 821 +2
1時間以上1時間30分未満 1,122 1,125 +3
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の場合 297 293 -4
病院又は診療所の場合 20分未満 264 265 +1
30分未満 397 398 +1
30分以上1時間未満 571 573 +2
1時間以上1時間30分未満 839 842 +3
定期巡回・随時対応訪問介護看護事業所と連携する場合 2,945 2,954 +9

【介護予防訪問看護費】

基本報酬 現行 改定後 増減
指定訪問看護ステーションの場合 20分未満 301 302 +1
30分未満 449 450 +1
30分以上1時間未満 790 792 +2
1時間以上1時間30分未満 1,084 1,087 +3
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の場合 287 283 -4
病院又は診療所の場合 20分未満 254 255 +1
30分未満 380 381 +1
30分以上1時間未満 550 552 +2
1時間以上1時間30分未満 810 812 +2

※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。

訪問看護の加算・減算等の改定

加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。

看護体制強化加算

医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支える環境を整える観点や訪問看護の機能強化を図る観点から算定要件と単位数について見直しが行われました。

【訪問看護】

看護体制強化加算(Ⅰ):(現行)+600単位/月 ⇒ (改定後)+550単位/月

看護体制強化加算(Ⅱ):(現行)+300単位/月 ⇒ (改定後)+200単位/月

【介護予防訪問看護】

看護体制強化加算:(現行)+300単位/月 ⇒ (改定後)+100単位/月

看護体制強化加算の算定要件の変更点

【特別管理加算を算定した利用者の占める割合】

「算定日が属する月の前6月間における利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合」について、現行の「30%以上」から、改定後は「20%以上」に変更となります。

【従業者の総数に占める看護職員の割合】

令和5年4月1日施行の要件として、訪問看護の提供にあたる従業者の総数に占める看護職員の割合が6割以上であることの要件が設けられます。

サービス提供体制強化加算

サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から見直され、区分の新設、変更がありました。

【指定訪問看護ステーション、病院又は診療所の場合】

現行の区分・単位数 改定後の区分・単位数
なし サービス提供体制強化加算(Ⅰ):6単位/回
サービス提供体制強化加算:6単位/回 サービス提供体制強化加算(Ⅱ):3単位/回

【定期巡回・随時対応訪問介護看護事業所と連携する場合】

現行の区分・単位数 改定後の区分・単位数
なし サービス提供体制強化加算(Ⅰ):50単位/月
サービス提供体制強化加算:50単位/月 サービス提供体制強化加算(Ⅱ):25単位/月

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件

  • 勤続7年以上の者が30%以上

サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件

  • 勤続3年以上の者が30%以上

理学療法士等による介護予防訪問看護の提供回数による減算

訪問看護の機能強化を図る観点から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が1日に2回を超えて指定介護予防訪問看護を行った場合の評価が見直されました。

「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の場合」における「1日に2回を超えて実施する場合」の算定単位数:(現行)90/100 ⇒ (改定後)50/100

理学療法士等による介護予防訪問看護の長期提供による減算

訪問看護の機能強化を図る観点から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用開始日の属する月から12月超の利用者に介護予防訪問看護を行った場合の減算が新設されました。

「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の場合」における「利用を開始した日の属する月から起算して12月を超えた期間に介護予防訪問看護を行った場合」の減算:-5/回

訪問看護の介護報酬に係るその他の改定

退院当日の訪問看護

医療機関、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院を退院・退所した日の訪問看護費の算定について、厚生労働大臣が定める状態(利用者等告示第六号)にある利用者に加えて、「主治の医師が必要と認めた場合」の利用者も対象になりました。また、短期入所療養介護サービス終了日(退所・退院日)も同様の取扱いになります。

訪問看護の人員、設備、運営の基準、その他の改定

事業所と同一の建物に居住する利用者に対するサービス提供

事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うように努めることが求められます。

情報公表制度における変更

介護サービス情報公表制度において、従業者の認知症介護実践者研修の受講状況などの認知症に係る事業者の取組状況を公表する項目が設けられました。

最後に

本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。

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