令和6年6月開始の訪問看護のオンライン資格確認とは?導入するための準備をわかりやすく解説!
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この記事は2024年3月時点の情報をもとに執筆しています
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
令和6年6月から、医療保険の訪問看護におけるオンライン資格確認が開始となる予定です。「オンライン資格確認って何?」、「ステーションは何をすればいいの?」、「いつまでに対応すればいいの・・?」という方のために、オンライン資格確認の概要や、義務化の予定や経過措置、準備するものや手続きの方法について、わかりやすく解説します!
オンライン資格確認とは?
オンライン資格確認とは、病院や薬局といった医療機関等で、患者の資格情報(保険証や自己負担限度額など)を、マイナンバーカードを用いて「オンライン資格確認システム」という専用のシステムで確認できる仕組みです。窓口で患者の資格情報が直ちに確認できることから、期限切れの保険証による受診で起きる返戻等を減らすことができるとされています。医療機関等でのオンライン資格確認は令和5年から開始され、導入は原則義務とされています。
訪問看護のオンライン資格確認とは
訪問看護のオンライン資格確認とは、医療機関等と同様に、保険証の代わりにマイナンバーカードを用いて「オンライン資格確認システム」に照会することで保険証や自己負担限度額などの情報をその場で確認できる仕組みです。
一方、医療機関等と異なる点として、窓口に患者が訪れる形式ではなく、訪問看護の従業者が利用者宅に訪れる形式であるところが挙げられます。このため、医療機関等と比較しなりすましのリスクが低いことから、訪問看護ではマイナンバーの読み取りは初回訪問時のみでよいとされています。
訪問看護のオンライン資格確認は令和6年6月開始、オンライン請求と同時に施行予定
訪問看護のオンライン資格確認は、令和6年6月から開始する予定です。また、オンライン請求も同時に施行予定となっています。
※オンライン請求は令和6年7月請求から対象となります。
オンライン請求の概要や詳しい手続きについては、以下の記事をご覧ください。
オンライン資格確認・オンライン請求の義務化は令和6年12月2日から
オンライン資格確認とオンライン請求は、令和6年6月の開始時点では直ちに義務化はされません。
保険証とマイナンバーカードの一体化が行われるタイミングに合わせて、令和6年12月2日より義務化となります。
ただし、やむを得ない事情があり、オンライン資格確認・オンライン請求が始められない訪問看護ステーションについては経過措置を設けるとしています。経過措置の対象となる事情があり、事前にオンラインで届出を行っているステーションについては、義務化から最大半年間の経過措置が設けられています。
経過措置の対象となる状況(オンライン資格確認)
オンライン資格確認の経過措置となる事情とそれぞれの期限は、以下のようになっています。
やむを得ない事情 | 期限 |
義務化の2か月前の月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の事業者(システム整備中) | システム整備が完了する日まで(遅くとも義務化の6か月後の月末まで) |
オンライン資格確認に必要な光回線ネットワーク環境が整備されていない事業者(ネットワーク環境事情) | オンライン資格確認に必要な光回線ネットワーク環境が整備されてから6ヶ月後まで |
改築工事中の事業者 | 改築工事が完了するまで |
廃止・休止に関する計画を定めている事業者 | 廃止・休止まで(遅くとも義務化の6か月後の月末まで) |
その他特に困難な事情がある場合 (※) |
特に困難な事情が解消されるまで |
(※)の特に困難な事情については、以下のように示されています。
常勤の看護職員その他の従業者の年齢が、令和6年3月31日時点において、71歳以上である場合
災害等によりネットワーク環境に障害が生じる場合については、本則に緊急やむを得ない事由を位置付けることを検討
(オンライン資格確認等について,p5|第558回中央社会保険医療協議会 総会をもとに表を作成)
オンライン資格確認で準備すべき環境・端末とは?
オンライン資格確認・オンライン請求で準備すべき環境は以下の5つです。
オンライン資格確認・オンライン請求用ネットワーク回線
オンライン資格確認・オンライン請求用端末(パソコン等)
電子証明書
モバイル端末等(マイナンバー読み取り可)
レセプト作成用ソフト・端末
このうち、既にレセプト作成用のソフトを導入しているステーションは、1~4の端末・環境等がオンライン資格確認・オンライン請求用に新たに準備が必要なものとなります。
今回は、既にレセプト作成用ソフトを導入しているステーションに、オンライン資格確認・オンライン請求の導入に向けて用意する必要がある4つの端末・環境等について解説します。
1.オンライン資格確認・オンライン請求用ネットワーク回線
オンライン資格確認・オンライン請求専用のネットワーク回線の用意が必要です。これは「導入支援事業者(※)」が準備を請け負います。
※各訪問看護ステーションは厚生労働省が「導入支援事業者」と認定した5社のいずれかと契約を結ぶことで、導入支援事業者がネットワーク回線の敷設を行います。
オンライン資格確認・請求用のネットワーク回線は、以下のいずれかと定められています。
IP-VPN接続方式
IPsec+IKE接続方式
IP-VPNとIPsec+IKEとは?
オンライン資格確認・請求用の専用回線であるIP-VPNとIPsec+IKEはいずれも、セキュリティに配慮した閉鎖的なネットワーク環境のことを示します。ただし回線への接続形式や、導入に関する特徴が異なりますので、それぞれの違いを表にまとめました。
接続形式 | 導入に関する特徴 | |
IP-VPN | 回線を一つ増やし、閉域ネットワークを用いたセキュリティの高い接続環境 | 回線の増設が必要な場合がある |
IPsec+IKE | 既存のインターネット回線で暗号化した通信経路を用いてIP-VPNと同等のセキュリティを確保する接続環境 | 既存回線を用いて導入できる |
オンライン資格確認・オンライン請求専用の接続回線は新しく準備が必要とお伝えしましたが、医療法人や併設の医療機関等でオンライン資格確認・請求を既に実施している場合は、その回線を利用できる可能性があります。ただし医療機関によって環境が異なるため、確認をしてみてください。
2.オンライン資格確認用の端末(パソコン等)
オンライン資格確認用の特殊なOSが搭載された専用端末(パソコン)を用意する(※)ことが推奨されています。
※専用端末はオンライン請求と併用が可能です。
これは、レセプト作成や通常業務に用いるパソコンとは異なるものを用意する必要があります。専用端末の用意についても専用回線と同様に、「導入支援事業者」が導入の準備を請け負います。
各導入支援事業者によって取り扱っているパソコンのメーカー等は異なりますが、いずれの導入支援事業者も厚生労働省の推奨する仕様・動作環境に準拠したパソコンを用意しています。
以下が端末の例です。
NTTデータ中国が提供する専用端末
項目 | 詳細 |
メーカー・型番 | ダイナブック(Dynabook)/B55 |
端末形式 | ラップトップ型(ノートパソコン) |
重さ | 2.2kg |
OS | Windows10 IoT Enterprise 2021 LTSC |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
ディスプレイ | 15.6 型 |
保証 | 5 年間メーカー保証 |
(参考:OnDemand 接続サービス(支払基金接続・国保中央会接続)|NTTデータ中国)
各導入支援事業者の端末情報については、訪問看護事業所、システムベンダ等に対する「オンライン資格確認に係る導入支援サービス」提供業者お問い合わせ先の「商品紹介URL等」からご覧ください。
3.電子証明書
オンライン資格確認を実施するために、電子証明書の申請・取得(※)を行わなければいけません。これは訪問看護ステーション側で実施します。
※電子証明書は、法人の拠点数に関係なく、訪問看護ステーションのオンライン請求用端末1台につき1枚取得が必要です。
電子証明書とは、オンライン資格確認・オンライン請求に使うパソコン等の端末が通信を許可された端末であることを証明するために必要なものです。この電子証明書は、「医療機関等向け総合ポータルサイト」で申請することで、ダウンロードすることができます。
医療機関等向けポータルサイトでの事前登録
電子証明書の取得には、「医療機関等向け総合ポータルサイト」で事前の手続きが必要です。以下が手続きの流れとなります。
アカウント登録を行う(令和6年1月から登録可能になる予定)
オンライン資格確認・請求の利用申請を行う
電子証明書の発行申請を行う(※)
※電子証明書の発行は令和6年1月から可能になる予定です。また電子証明書の発行手数料として、1枚あたり1,500円、別途郵送料として1送付先あたり753円かかります。
(参考:訪問看護レセプト(医療保険請求分)のオンライン請求に係るシステムベンダ向け技術解説書案,p37)
4.モバイル端末等(マイナンバー読み取り可)
オンライン資格確認を実施するために、マイナンバーを読み取るためのモバイル端末を用意する(※)ことが推奨されており、これは訪問看護ステーション側で用意することになります。NFC機能(マイナンバーの情報を読み取る機能)がついたスマートフォンやタブレットが既にステーションにある場合は新たに用意する必要はありません。
「地方公共団体情報システム機構の公的個人認証サービス」が、マイナンバーに対応したNFCスマートフォン端末の情報の一覧を出しているので、必要に応じてご参照ください。
また、オンライン資格確認でマイナンバーを読み取るためには、モバイル端末上で「マイナ在宅受付Web」にアクセスする必要があります。
利用者のマイナンバーを読み取るために必要なモバイル端末の概要や、マイナンバーの読み取り方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
導入費用には最大42.9万円の補助金(実費補助)がある
新たに導入するものが多く、費用の負担について不安に思う方も多いでしょう。
オンライン資格確認・オンライン請求の導入に対する財政支援(※1)として、以下の費用について訪問看護ステーションに対し、最大42.9万円の補助が行われる予定となっています。
マイナンバーカードの読み取り・資格確認等のためのモバイル端末等の導入
ネットワーク環境の整備
レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修(※2)
※1 オンライン請求の開始に向け準備が必要な機器の一部はオンライン資格確認と兼用することが可能なため、補助対象としています。
※2 『カイポケ訪問看護』はシステムの改修を進めていますが、改修による費用負担を訪問看護ステーションの皆様に請求することはございません。ただし、オンライン請求に必要な機能改修により、入力必須項目が増えるといった作業が想定されます。
(参考:訪問看護ステーションにおけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入に関するオンライン説明会,p20|厚生労働省)
補助金の申請は、端末等の導入完了後に医療機関等向け総合ポータルサイトにて受付する予定となっています。
訪問看護ステーション側で実施するべきタスクのスケジュールとは
オンライン資格確認に必要な準備を4つお伝えしましたが、訪問看護ステーション側で実施すべきことをスケジュールと合わせてまとめると以下のようになります。
専用回線や専用端末の導入に関する見積もりや契約を、導入支援事業者と進める(令和5年秋~令和6年1月頃までが目安)
届出書、電子証明書の実施(令和6年1月開始予定)
補助金申請(導入完了後)
専用回線や端末の導入の相談先は?
「オンライン資格確認・請求の導入を進めたいけど、誰に相談していいかわからない・・」とお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこで、オンライン資格確認に必要な専用回線や端末の準備について相談すべき窓口を3つご紹介します。
①導入支援事業者
オンライン資格確認の導入支援を行う「導入支援事業者」は5社となっています。
NTT東日本(東日本電信電話株式会社)
NTT西日本(西日本電信電話株式会社)
リコージャパン株式会社
株式会社NTTデータ中国
菱洋エレクトロ株式会社
それぞれ対応可能なサービスや提供エリアが異なるので、「訪問看護事業所、システムベンダ等に対する「オンライン資格確認に係る導入支援サービス」提供業者お問い合わせ先で各社の情報を見てから相談先を検討しましょう。
②契約している電子カルテ・ソフトのベンダー
訪問看護ステーションで契約している電子カルテ・請求ソフトのベンダー(提供元の企業)に、オンライン資格確認の導入支援を行っているかを確認しましょう。
ベンダーによっては導入支援事業者と提携をして、導入支援を行っている場合がありますので、一度相談するのがよいでしょう。
※『カイポケ訪問看護』なら、導入支援事業者のNTTデータ中国と提携し、オンライン資格確認・オンライン請求の専用回線の月額費用を特別価格でご提供できます!くわしくはこちらをご参照ください。
③厚生労働省や関係機関のコールセンター
厚生労働省では、オンライン資格確認にかかわる問い合わせを電話とWEB(問い合わせフォーム)で受け付けています。
また、よくある質問が公開されていますので確認しましょう。
問い合わせ方法 | 連絡方法 | 備考 |
電話 | 0800ー080ー4583 | 通話無料。問合せの際には、訪問看護ステーションコード・訪問看護ステーション名を伝える。 |
問い合わせフォーム(※) | 必要事項を記入し送信する。 ※回答までに日数を要する場合があります。 |
|
よくある質問集(※) | 当該サイト内には、訪問看護以外に関する情報も含まれているのでご注意ください |
※問い合わせフォームとよくある質問集は、厚生労働省が情報参照先として提示している「医療保険情報提供等実施機関」が運営しています。
カイポケ訪問看護なら回線・専用端末の準備がお得にできます!
訪問看護の電子カルテ・請求ソフトを提供する『カイポケ訪問看護』なら、導入支援事業者の一つである『NTTデータ中国』のオンライン資格確認・オンライン請求の導入に対応した「おまかせパックN」の月額費用が約10%の割引価格で利用できます!
導入時の初期費用は補助金が対象となるプランとなっています。
おまかせパックNのサービス内容
NTTデータ中国が提供するおまかせパックNのサービス内容は以下になります。
オンライン資格資格確認・請求用の端末(パソコン等)の手配
オンライン資格資格確認・請求用の端末(パソコン等)のシステムインストール
オンライン資格確認・請求用の専用ネットワーク回線(IPsec+IKE)の手配
※利用者宅でマイナンバーを読み取るためのモバイル端末については、提供するサービスに含まれていませんのでご了承ください。
この専用ネットワーク回線(IPsec+IKE)は、ステーションで既に導入されているインターネット回線を使って利用できます!オンライン資格確認・オンライン請求の導入、導入支援事業者の選び方でお困りの方は、一度『カイポケ訪問看護』にお問合せください。
モバイル端末のご用意なら『カイポケモバイル プラス』
『カイポケ訪問看護』では、オンライン資格確認に対応するスマホ端末がレンタルできる『カイポケモバイル プラス』というサービスご用意しています。
端末の導入費用(※)はオンライン資格確認の導入にかかわる補助金の対象になるので、初期費用を抑えて導入できます。
※端末の月額費用は除く
端末等の詳しい情報は以下ページをご覧ください。
まとめ
オンライン資格確認は令和6年6月から開始し、義務化は令和6年秋の予定となっています。令和6年6月からオンライン資格確認・オンライン請求を始めるためには、今から見積りの作成依頼などの準備を進める必要があります。
現在、電子カルテ・請求ソフトを導入しているステーションは、電子カルテ・請求ソフトのベンダーへ相談し、導入していないステーションは、導入する電子カルテ・請求ソフトを選ぶところから始めるのが良いでしょう。
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