訪問看護開業時の資金調達方法とは?融資を受けるためのポイントもご紹介
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株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
訪問看護ステーションの開業を検討している皆さまの中には、「これから訪問看護事業を開業したいが、どのように資金調達をするか迷っている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
訪問看護ステーションの開業資金は、少なくとも500万円~1,000万円ほど準備する必要があり、「自己資金」と「融資」を組み合わせて確保することが一般的な資金調達の方法と言われています。
この記事では、訪問看護事業向けの資金調達の方法、特に融資を選ぶ際の比較ポイントや融資を受けるまでに必要な準備や流れ、融資を受けるためのポイントを詳しく説明しています。
訪問看護の資金調達方法とは?
資金調達とは、事業所を開業するにあたって必要な資金を自己資金以外の外部から集めることを言います。
訪問看護における主な資金調達の方法は、
融資
補助金・助成金
となっています。
それでは、それぞれの資金調達の方法についてメリットとデメリットを見ていきましょう。
融資
融資とは、「事業を行い利益を生むために、金融機関や公的機関からお金を借りること」を指します。訪問看護事業においては、開業や事業拡大を目的として、自己資金以外の資金調達方法として融資が利用されています。
一般的に融資でお金を借りた事業者は、利子を付けて返済します。一方、融資する側の金融機関や公的機関は、元金と利子を事業者から返済してもらう権利を持っています。万が一事業が失敗して倒産してしまうと金融機関は損失が出てしまうことになるので、事業者が安定的に元金と利子の返済が可能なのかを審査し、融資を行っています。
融資のメリット
利息の金利が低い。
多額の資金を調達できる。
融資のデメリット
審査のハードルが高い。
審査に時間がかかる(おおよそ1〜2カ月)。
事業計画書など書類、担保、保証人の準備が大変。
自己資金なしでも融資は受けられるの?
自己資金とは、これまで開業に向けて貯めてきたお金や退職金、贈与されたお金の中で、事業のために使用できる預金のことを指します。
融資の審査の際には、事業で利用するための自己資金がどの程度あるのかが重要です。一定の自己資金が無ければ事業用に資金の融資を受けるのが難しいケースもあります。
補助金・助成金
補助金と助成金とは、国や自治体などが、「政策の目的に合った取り組みを支援するために提供する資金」のことを指します。原則、返済する必要のない資金です。
補助金・助成金のメリット
返済の必要がない。
利息などがかからない。
補助金・助成金のデメリット
審査のハードル(対象事業者)が高いケースがある。
申請書・実績報告書など書類の準備が大変。
資金の使用用途が限られている。
資金が手元に来るタイミングが事業開始後など後払い
融資を受けるまでの流れと準備すべきこと
融資を受けるまでの流れや準備をご紹介します。
①希望の融資額を決める
自己資金がどのくらいあるのかを確認し、必要な資金に加えてどのくらいの融資が必要なのか検討しましょう。融資の目的によって、希望の金額は異なるはずです。
例えば、日本政策金融公庫の調査によると、開業時の資金調達先は「金融機関からの借入(融資)」が平均803万円、自己資金が平均282万円となっています。
(参考:2021年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~|日本政策金融公庫総合研究所)
②融資を受ける金融機関を決める
融資を希望する金額の目安が決まったら、融資を受ける金融機関を探しましょう。融資は金融機関によって金額の上限や金利、審査の厳しさが異なります。複数の金融機関を比較して、確実に返済ができるかどうかを検討しましょう。訪問看護事業の融資の選び方や比較ポイントは、後ほど詳しくご紹介します。
③申し込む
金融機関が決まったら、申込をします。融資商品によって申込方法も様々です。直接金融機関の窓口で申し込む方法以外にも、日頃からやり取りしている銀行の担当者に相談したり、オンラインで受け付けている場合もあるでしょう。
④審査に必要な書類を準備する
融資を受けるには審査があり、様々な書類の提出が必要です。申し込んだ金融機関に、必要な書類の詳細や提出期日等をしっかりと確認しましょう。一般的に、融資審査に必要とされる書類は次のようなものがあります。
登記簿謄本(又は履歴事項全部証明書、現在事項全部証明書)
事業計画書
資金繰り表
試算表
資金使途資料
決算書(貸借対照表、損益計算書など)
印鑑証明書
定款の写し
銀行取引一覧表(銀行取引明細表)
納税証明書
⑤融資担当者との面談を受ける(ない場合もある)
銀行融資を受ける場合、融資担当者と面談がある場合があります。提出した審査書類だけでは判断できない、事業者の人柄や人物像も見られます。自己資金の調達方法や、事業計画書の内容は自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。
⑥審査
提出書類や面談の内容を基に融資すべきか審査がされます。融資の可否だけではなく、融資の額や金利、返済期間もこの審査で決まります。審査には早くて1週間〜長くて1か月ほどと、一定の期間を要します。
⑦融資契約を結ぶ
無事審査を通過すると、融資契約を結ぶことができます。手続き書類を提出しましょう。
⑧融資額の入金
契約後に、口座へ融資額が入金されます。同時に返済がスタートすることになりますので、返済計画に沿って遅延することなく安定して返済ができるように、しっかりと財務状況を管理して事業を経営しましょう。
訪問看護事業の融資の選び方・比較のポイント
融資の選び方や融資商品を比較する際のポイントは、以下の点が挙げられます。
融資限度額
金利(利息・利率)
融資期間
担保/保証人の有無
審査日数
入金までの日数
据置期間
返済期間
訪問看護ステーションの新規開業が目的であれば、低金利で審査が通りやすいとされる政策金融機関を含めて比較するのが良いでしょう。融資を受けたい目的と希望の要件を満たす金融機関・融資商品を選びましょう。
訪問看護ステーションが金融機関から融資を受けるためのポイント
融資を受ける目的を明確にする
「何のために融資を受けるのか?」を金融機関へ明確に説明できるようにしましょう。
訪問看護事業所で融資を受ける目的の例として、
開業のための初期費用
事業所運営のための運転資金
車両を購入・入替するための資金
などが挙げられます。
融資・資金調達の金額を明確にする
「いくら融資を受けたいのか?」を金融機関へ明確に説明できるようにしましょう。
そして、「総額でいくら必要なのか?」、「自己資金をいくら用意したのか?」、「目的が複数ある場合は、どの目的にいくら使うのか」も明確にしておくと説得力が増すでしょう。
返済できることを明確にする
返済能力があると認められなければ、融資を受けることは難しいでしょう。
「滞りなく返済できること」を明確にするためには、
収入や利益を確保できる事業であることを決算書や収支計画書などを用いて証明する。
人材への投資や設備投資などを目的とした前向きな目的であることを、収支計画書などを用いて証明する。
といった方法が考えられます。
訪問看護ステーションの開業におすすめの資金調達方法
ここからは、訪問看護ステーションを開業する際におすすめの融資をご紹介します。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
「新創業融資制度」は新たに事業を始める人が他の融資制度と併用することで利用できる制度です。創業者を応援するためにできた制度のため、訪問看護ステーションの新規開業をお考えの方におすすめです。
申請要件
創業の要件 新規で開業する方、もしくは事業開始後に確定申告を2回終えていない方
雇用創出の要件 医療介護業界での実務経験がある場合はさらに審査に有利になります
自己資金の要件 「創業資金の10分の1以上の自己資金があること」が要件です。創業資金に1,000万円必要な場合は、100万円の自己資金が必要です
特徴
融資限度額が3,000万円(うち運転資金1,500万円)
担保・保証人不要(連帯保証人の設定で年率が0.1%低減)
年利率約1~2%台の低金利かつ固定金利
運転資金は7年、設備資金は20年と返済期間が長い
融資開始から2年間以内の据置(利息のみの返済)が可能
独立行政法人福祉医療機構の融資制度
独立行政法人福祉医療機構は、厚生労働省所管で国と連携して福祉医療の基盤整備を行っている独立行政法人です。社会福祉施設及び医療施設の整備のための貸付事業を行っており、指定訪問看護事業に係る設置・整備資金の融資を行っています。
申請要件
物件の担保提供(原則として、抵当権は第1順位) 融資対象事業の運営に利用する敷地、建物、地上権の担保提供が必要です。
担保物件に対する損害保険の付保と抵当権と同順位の質権設定
特徴
融資限度額が500万円(ただし、所有資金の80%万円)
担保・保証人不要(連帯保証人の設定で年率が0.1%低減)
年利率0.9%の低金利かつ固定金利
建築または購入、機械購入、賃借資金は7年と返済期間が長い
融資開始から1年間以内の据置(利息のみの返済)が可能
開業の融資を受けるための事業計画書・収支計画書の作成にお困りでしたら『カイポケ』にご相談ください!
融資を受けるための審査では、主に事業計画書や収支計画書から返済能力を判断されます。それによって融資額や返済期間、金利も左右されるため、重要な書類です。しかし、訪問看護ステーションを開業するにあたって「事業計画書や収支計画書を初めて作成する」という方も多いのではないでしょうか。カイポケでは、事業計画コンサルティングのサービスで、事業計画書や収支計画書、また創業計画書の作成をサポートしています。
また、「カイポケ開業支援」サービスでは開業支援専属アドバイザーが法人設立や指定申請など、訪問看護ステーション立ち上げ時の困りごとを無料でサポートしています。開業まで伴走してサポートし、資金調達で融資をご希望の方には、融資前の事前相談を「カイポケ開業支援」経由で設定することが可能です。
カイポケの開業支援サービスを利用した方の声
稲毛海岸訪問看護ステーションの広木代表は、カイポケの開業支援サービスを選んだ経緯や理由について以下のように述べています。
元々、資金面の不安が強かったのですが、開業支援サービスのアドバイザーに相談すると、「開業するためには資金が1000万円必要で、それを丸々、自己資金ではなく融資を受ける前提で確保する方法がある」ことを教えてもらいました。具体的なアドバイスをしてもらえたので、準備が整ったら開業しよう!という気持ちになったんですよ。
(引用元:お客様の声:「こんなに無料で本当に大丈夫なの?」と今でも妻と話します(笑)|カイポケ訪問看護)
訪問看護事業で融資をご検討したい方は、カイポケまで是非お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は開業を検討している方向けに、訪問看護事業の資金調達について、資金調達の方法や融資を受けるまでに必要な準備や流れ、融資を受けるためのポイントについて解説しました。
訪問看護事業は診療報酬や介護報酬の給付に2か月ほど時間がかかることから、運転資金を少なくとも2か月分以上確保することが必要になります。用意できる自己資金を把握し、「融資によっていくら資金調達しなくてはいけないのか」、「返済を行うことができるのか」を確認し、融資を申し込む金融機関を探しましょう。
この記事でご紹介した内容が金融機関・融資商品を探す皆さまのお役に立てば幸いです。
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