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看護師の資格を活かして独立・起業・開業できるビジネスとは?【社労士・行政書士監修】

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看護師の資格を活かして独立・起業・開業できるビジネスとは?【社労士・行政書士監修】
アステージ社労士・行政書士事務所 佐藤壱磨

アステージ社労士・行政書士事務所 佐藤壱磨

介護事業開業サポートセンター」を運営。社会保険労務士・行政書士として介護・福祉事業の創業を数多く支援した実績をもとに、法人設立・指定申請などの手続き、助成金や融資、開設後の運営に関する相談に対応している。

目次

看護師としての経験を活かして、独立して起業・開業を考えている皆様は、資格を活かせるビジネスには、どのような種類があるのか気になっているのではないでしょうか?

この記事では、看護師の資格と経験を活かすことができるビジネスの種類や起業するまでの流れ、開業するまでに準備すべきことなどを詳しく説明しています。

ぜひ最後までお読みください。

看護師の資格を活かして独立・起業・開業できるビジネスの種類とは?

国家資格である看護師資格をお持ちの方は、その資格を活かして独立や起業という選択をされる方も少なくありません。ただ一口に看護師の独立・起業と言っても、その選択肢は1つではありません。ここでは実際にどんなビジネスで看護師の資格や経験を活かすことができるのかを見ていきましょう。

訪問看護ステーション

看護師の方が独立・起業する際に、非常に人気のあるビジネスが訪問看護ステーションです。

訪問看護事業は、看護師が利用者宅へ訪問し、利用者の病気や障がいに応じたサービスの提供を行います。病院等での勤務経験を活かして、自分の理想とする看護を実現したい、地域の中で訪問看護サービスが足りなくて困っている方がいるという理由から、訪問看護事業で起業する方が増えています。

デイサービス(通所介護)

デイサービスも看護師の方が独立・起業する際に、選ばれているビジネスのひとつです。

デイサービスは、介護保険法に定められる「通所介護」や「地域密着型通所介護」を提供する事業所で、在宅で生活する要介護高齢者を送迎して、日中の時間帯に介護・機能訓練・食事等を提供する介護サービスです。デイサービスでは、配置しなくてはいけない職種の中に「看護職員(地域密着型通所介護の一部では配置を免除)」と「機能訓練指導員」があり、どちらも看護師としての資格を活かすことができることから、デイサービスの起業を選ぶ方がいます。

高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

高齢者グループホームも看護師の方が独立・起業する際に、選ばれているビジネスのひとつです。

高齢者グループホームは、介護保険法に定められる「認知症対応型共同生活介護」を提供する事業所で、入居した要支援・要介護高齢者に介護・機能訓練・食事等を提供する介護サービスです。高齢者グループホームでは、医療連携体制加算を算定するために配置しなくてはいけない職種として「看護職員」が定められているので、看護師の資格を活かすことができます。

ナーシングホーム

ナーシングホームは、看護師による医療提供やターミナルケアを行う老人ホームを指していますので、看護師の方が独立・起業する際に、選ばれています。

日本の医療現場での病床不足が深刻であり、長期間の入院は難しくなっていることから、医療体制があるナーシングホームの需要が増えているビジネスとなっています。

サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームは、株式会社等の営利法人が運営できる老人ホームとして、看護師の方が独立・起業する際に、選ばれることがあります。

どちらも高齢者向けの住まいとしての事業であり、「看護師常駐」などの特色・強みを作ることで、料金や入居率アップにつながり、看護師の資格を活かせるビジネスと言えます。

障害者グループホーム(共同生活援助)

障害者グループホームも看護師の方が独立・起業する際に、選ばれることがあります。障害者グループホームは、障害者総合支援法に定められる「共同生活援助」を提供する事業所で、入居した障害者に、生活の支援や介護を提供します。

生活介護(障害福祉サービス)

生活介護も看護師の方が独立・起業する際に、選ばれているビジネスのひとつです。

生活介護は、障害者総合支援法に定められるサービスを提供する事業所で、日中の時間帯に介護、生活に関する相談・助言、創作活動、生産活動などを提供します。生活介護では、配置しなくてはいけない職種の中に「看護職員」があるので、看護師としての資格を活かすことができることから、生活介護で起業することを選ぶ方もいます。

放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスや児童発達支援も看護師の方が独立・起業する際に、選ばれることがあります。

放課後等デイサービスや児童発達支援は、児童福祉法に定められるサービスを提供する事業所で、障害のある児童に対して生活能力向上のための訓練、創作的活動、作業活動などを提供しています。
障害児の中には医療的ケアを必要とする児童もいるため、看護師の資格・経験を活かすことができるビジネスです。

アロマセラピー・アロマテラピー

アロマセラピー(アロマテラピー)も独立・起業する際に、選ばれることがあります。

アロマセラピーとは植物から芳香成分を抽出したオイルを使い、心と体の健康を目指すサービスです。健康を目指すために、リンパや血管の流れ、神経など幅広く人体に関する知識が必要になるので、看護師としての知識を活かすことができるビジネスです。

WEBライター

WEBライターは、初期費用がかからないことや、副業のようにすぐに始められることから看護師の方が独立・起業する際に、選ばれることがあります。

様々なWEBコンテンツが公開されている現代で、コンテンツの中で伝える内容によっては医療専門職として誤りがないか確認してほしい、看護師の方の意見・見解から文章を作ってほしいというニーズがありますので、看護師の資格・経験を活かすことができます。

看護師の資格を活かせる事業を独立して起業・開業するまでの流れとは?

ここからは上記で挙げたビジネスのうち、特に開業される方が多い訪問看護ステーションを例に起業・開業するまでの流れをご説明いたします。

1.法人設立

訪問看護ステーションを開業するための第一歩は法人を設立することです。訪問看護事業は健康保険や介護保険からの給付を収入とするビジネスです。健康保険・介護保険のサービスを提供する事業者として指定を受けるためには、「法人格」が必要になります。

訪問看護ステーションを運営するための法人格には、株式会社や合同会社、NPO法人など様々な法人格が認められています。法人格ごとに特徴があり、費用や設立期間も異なるので、設立までのスケジュールや準備資金に応じて法人格を決めるのが良いでしょう。

2.事務所の契約

法人設立と順番が逆になることもありますが、訪問看護ステーションを運営するためには事務所が必要になります。訪問看護ステーションとして指定を受けるためには設備基準を満たすための事務所を確保し、必要な設備・備品等を用意しなくてはいけません。

事務所は、自己所有の建物だけでなく、賃貸物件も認められているため、開業を希望する地域で、事務所として必要な面積があり、事務室、相談室、手洗い設備がある物件を探しましょう。
また、物件が決まったら電気、ガス、水道、インターネット、電話回線のようなインフラも契約を進めましょう。

3.従業員の採用

開業前に従業員の採用活動を行う必要があります。こちらも訪問看護ステーションの指定を受けるために最低限配置しなくてはいけない看護師等の人数が人員基準に定められています。

訪問看護ステーションでは、「管理者が1名」、「看護職員が常勤換算方法で2.5名以上(※)」という基準が設けられていますので、指定申請までに必要な人数を確保することになります。
看護師等は採用できるまでに時間がかかりますので、早めに採用活動を始めることをおススメします。
※看護職員の常勤換算については、管理者1名を含むことが可能です。

看護師の採用に関するよくある質問

Q.

看護師はいつから採用(入社)する必要がありますか?

A.

法人設立後から採用可能です。ただし直前まで他の会社で働かれている方がほとんどと思いますので、指定申請の許可を受けた日から入社でも構いません。ただし、申請書類として看護師国家資格証の写しの事前提出が必要なので留意しておきましょう。

4.備品等の調達

開業後にサービスを提供するために必要な備品・消耗品等を用意しましょう。

オフィス家具やパソコン、コピー機、スマートフォン、タブレットなどと合わせて、訪問看護サービスを提供するために必要となる血圧計、体温計、聴診器、感染対策用品なども準備しましょう。また、請求ソフトや電子カルテなどのシステムなども決めておくと良いでしょう。

5.指定申請

指定申請は、都道府県等から訪問看護事業を運営するための許可(事業者としての指定)を受けるための申請手続きを指します。

訪問看護ステーションでは、介護保険法に基づく指定申請を行い、指定を受けることで健康保険に基づく指定も受けることができるので、基本的には介護保険に関する指定申請手続きを行うことになります。
申請では、指定申請書と人員基準、設備基準を満たしていることを証明する書類を提出期限までに提出し、審査を受けることになります。無事に審査が終わると、「指定通知書」が届きます。

6.事業開始

指定日を迎えると、いよいよ事業を開始することになります。
サービスの提供を開始しつつ、利用者を獲得するための営業活動を進めましょう。

独立・起業・開業までに準備すべきことは?

どんな業種・業態で起業・開業する場合でも共通して準備すべきことがいくつかあります。

開業資金を準備する

どのような業種・業態で開業するかによって、必要となる金額は異なりますが、開業資金を準備する必要があります。

開業資金は、自己資金と金融機関からの融資で資金調達するのが一般的です。どれくらいの開業資金が必要なのか、自己資金をどれくらい用意できるのか、金融機関から融資を受けられるのかといったこと確認しておきましょう。

収支計画を作成する

開業資金がどれくらい必要なのか、開業したらどれくらい儲かるのかを計算するために、複数年の収支計画書を作成しましょう。実際に運営した時の状況を考え、できるだけ詳細な情報を集めて、収支計画を作成するのがポイントです。

現職を辞めるタイミング

現在、仕事をしていて開業するタイミングで退職する予定の方は、退職するタイミングを考えましょう。現在の職場から円満に退職することはとても大切です。特に、現在の職場と同じ地域で開業する場合は、円満に辞め、良好な関係性を継続することがメリットになるでしょう。

また、開業準備が忙しい業種・業態もあるので、そのような場合は早く退職して開業準備に専念したいと思うでしょうが、開業準備期間の皆さん自身の給与・生活費なども考えて時期を決めるのが良いでしょう。

看護師が独立して起業・開業した場合の年収はどれくらい?

年収アップを目指して、独立・起業・開業を考えている方も多いのではないでしょうか。
開業する業種・業態、規模によって年収に差はありますが、起業した場合の年収の目安について見ていきましょう。

訪問看護ステーションの起業した場合の年収

訪問看護ステーションで起業した場合の年収は、おおよそ『400万円〜1,000万円』ほどが目安になるでしょう。もちろん事業を拡大し、複数の事業所を経営することでもっと年収を上げることができますので、開業後は、早期の黒字化、利用者獲得と看護師採用を目指しましょう。

デイサービス、放課後等デイサービス等の起業した場合の年収

デイサービスは規模によりますが、通所介護の通常規模で起業した場合の年収は、おおよそ『500万円〜1,000万円』ほどが目安になるでしょう。放課後等デイサービスは小規模(定員10名以下)が多いので、起業した場合の年収は、おおよそ『400万円〜600万円』ほどが目安になるでしょう。
こちらも事業拡大、複数事業所の展開で年収を上げることができます。

高齢者グループホーム、障害者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームの起業した場合の年収

高齢者グループホーム、障害者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームなどで起業した場合の年収は、おおよそ『500万円〜1,000万円』ほどが目安になるでしょう。ただし、これまでにご紹介した訪問看護ステーションやデイサービス等と比較すると、建物を購入・建築する必要があることから、負担が大きいことに留意しましょう。

まとめ

看護師としての資格・経験を活かして起業・開業できるビジネスについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

運営したい事業の種類や規模によって、準備しなくてはいけない開業資金や準備期間は異なりますが、これまでの看護師の経験を活かして起業できるビジネスはたくさんあります。

その中でも、特に『訪問看護ステーション』は設備・備品と従業員数が少なくても開業でき、地域におけるサービスのニーズが高いことから視野に入れている方は多いようです。

『カイポケ訪問看護』では、『開業支援』を行っていますので、開業について不安や疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

ここでご紹介した内容が皆様の独立・起業・開業のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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