訪問看護の立ち上げに必要な資格とは?3つの設置基準について解説
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この記事は2025年6月時点の情報をもとに執筆しています


株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
訪問看護ステーションの立ち上げを検討している方の中には「立ち上げに必要な資格や基準はあるの?」「看護師の資格を持っていないけれど開業できるのだろうか」といったお悩みを持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか?
訪問看護ステーションを立ち上げるには、法人設立だけではなく、人員配置など法的な基準をクリアする必要があります。本記事では、訪問看護の立ち上げ時に求められる「人員基準」「設備基準」「運営基準」を解説します。
訪問看護における設置基準とは?
訪問看護における設置基準とは、安全かつ適切なサービス提供のために介護保険法で定められた基準のことです。以下の3つの基準を満たす必要があります。
人員基準
設備基準
運営基準
訪問看護の人員基準
人員基準とは、適切な訪問看護サービスの提供体制を整えるために、最低限配置しなければならないスタッフの職種・人数のことです。
訪問看護ステーションの場合
役職 | 資格 | 備考 |
管理者 | 保健師または看護師(常勤・専従) 適切なサービス提供を行うために必要な知識・技能を有すること |
准看護師は不可 |
看護職員 | 常勤換算で2.5名以上 看護師、准看護師、保健師 |
うち1名以上は常勤 |
リハビリ職 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 | 実情に応じた適当数を配置 人員基準とは別枠 |
※2024年度の診療報酬改定で、「管理上、支障がない場合には同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することが可能」という内容から「同一敷地内」という条件が削除されました。これにより、訪問看護ステーションの管理上支障が出ない場合には他の訪問看護ステーションの管理ができることとされています。
常勤換算とは
常勤換算方法とは、常勤職員は1名と数え、非常勤職員は勤務延べ時間数を当該事業所の常勤職員の所定労働時間で割ることで計算した人数で数えます。例えば、常勤職員の所定労働時間が週に40時間の場合、週に20時間(1日4時間週5日)の非常勤職員は、「0.5名」として数えます。
常勤換算の計算は、厚生労働省が出している非常勤を常勤換算するための入力補助シートを参考にするとよいでしょう。※クリックするとエクセルファイルで自動でダウンロードされます。
病院・診療所が運営するみなし訪問看護ステーションの場合
保健師、看護師または准看護師を実情に応じた『適当数』を配置
サテライト事業所(出張所)の場合
サテライト事業所の場合、本体事業所と共に指定を受けるため、本体事業所と合わせた人員配置が求められますが、その内容は都道府県等の所轄官庁により以下のような内容が定められています。
主たる事業所及びその出張所全体で看護職員(保健師、看護師又は准看護師)の常勤換算の合計が、2.5名以上の人員を配置すること。
都道府県によって詳細が異なるため、開業を検討している場合は、必ず開業を検討している地域の所轄官庁の定める基準を確認してください。
看護師資格がなくてもサービスに入らない経営者として開業できる
訪問看護ステーションの経営者(開設者)として開業することは可能です。
ただし、指定を受けるには管理者に看護師等の資格者を配置し、人員基準を満たす必要があります。自ら現場に入らず、経営に専念する形であれば、法令上問題はありません。
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訪問看護の設備基準
設備基準とは、適切な訪問看護サービスの提供体制を整えるために、最低限確保しなければならない施設・設備要件のことです。
種別 | 設備等 |
訪問看護ステーションの場合(単独) | 専用の事務室 利用申込の受付、相談等に対応するために適切なスペース 訪問看護に必要な設備・備品 |
サテライト事業所(出張所)の場合 | 事業の運営に必要な広さを有する専用の事務室 訪問看護に必要な設備・備品 ※東京都の場合 |
病院・診療所の場合 | 事業の運営に必要な広さを有する専用の区画 訪問看護に必要な設備・備品(医療機関との共用が可) |
訪問看護の運営基準
運営基準とは、訪問看護ステーションを適切に運営するために必要な事業所としての体制構築やサービス提供時に満たさなくてはならない項目のことです。
以下は、運営基準の一部です。
- ・内容・手続きの説明と同意
- ・サービス提供拒否の禁止
- ・サービス提供困難時の対応
- ・受給資格等の確認
- ・要介護認定申請の援助
- ・心身の状況等の把握
- ・居宅介護支援事業者等との連携
- ・法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
- ・居宅サービス計画(ケアプラン)に沿ったサービス提供
- ・居宅サービス計画等の変更の援助
- ・身分を証する書類の携行
- ・サービス提供の記録
- ・利用料等の受領 など
※上記はあくまでも運営基準の一部です。
(参考:指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について|厚生労働省)
運営基準の詳細や自治体が発表している指導事例を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
訪問看護ステーション開業までの流れ
法人設立から指定申請までの開業の流れです。
- ①法人の設立
- ②開業する場所と物件の確保(設備基準)
- ③備品購入と環境整備(設備基準)
- ④管理者などの人員の確保(人員基準)
- ⑤運営体制の整備(運営基準)
- ⑥保健所・行政への指定申請
- ⑦指定取得後、事業開始
設備基準・人員基準・設備基準は満たしているか確認しながら進めましょう。
指定申請から開業までには、準備に3か月〜6か月程度かかることが一般的です。物件探しやスタッフ確保に想定以上の時間を要する場合もあるため、余裕を持ったスケジュールを立てるとよいでしょう。
訪問看護の立ち上げの具体的な手順や初期費用を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
設置基準ごとの立ち上げ時に注意すべきポイント
指定後の監査では、設置基準の遵守が求められます。不備が見つかった場合は是正命令や指定取り消しの可能性もあるため、事前にチェックリストを用意して準備することが重要です。
人員基準
誤って准看護師を管理者にしてしまい、指定申請が通らなかった
常勤換算の計算を誤っていて、常勤換算で2.5名以上確保できていなかった
設備基準
設備基準を満たしていない物件を契約してしまった
運営基準
内容及び手続の説明及び同意
介護サービスの提供の開始に際し、重要事項説明書による事業説明が行われておらず、また、提供の開始についての同意を得ていない。
重要事項説明書に実態と異なる記載が見られた。
勤務体制の確保等
勤務表で、兼務関係及びそれぞれの勤務時間について明確にされていなかった。
研修の機会を確保していることが確認できなかった。
管理者及び一部従業者の勤務表が作成されていなかった。
まとめ
訪問看護ステーションの立ち上げには、資格や人員、設備、運営体制など遵守すべき基準があります。設置基準を正しく理解し、余裕を持って準備を進めることで、開業後のトラブルを未然に防ぎ、安定した運営につなげましょう。
ここでご紹介した内容が、皆様の訪問看護ステーション等の経営・運営のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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