【2026年度】訪問看護の立ち上げで使える助成金・補助金 時期別一覧と申請の目安
公開日: 更新日:
この記事は2026年10月1日時点の情報をもとに執筆しています
目次
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訪問看護ステーションの立ち上げには、事務所の準備やスタッフの採用、開業後の運転資金など、まとまった資金が必要となります。こうした負担を少しでも軽くする手段として、返済の必要がない助成金・補助金の活用を検討している方もいらっしゃいます。
一方で、助成金・補助金には「立ち上げ準備中から活用できるもの」と「運営が始まってから活用できるもの」があり、制度ごとに使えるタイミングが異なります。
本記事では、訪問看護ステーションで活用できる助成金・補助金を説明していきます。
訪問看護の立ち上げに助成金・補助金は使える?
訪問看護ステーションの立ち上げ時点で申請できる助成金・補助金はありますが、その数は限られています。多くの助成金・補助金制度は、事業所の指定を受けてスタッフを雇用し、一定期間運営した実績があることを前提としています。
そのため、助成金・補助金は「立ち上げ資金そのもの」としてではなく、開業後の経営を支える制度として、資金計画に組み込んでおきましょう。
助成金と補助金の違い
助成金と補助金は、どちらも原則として返済不要の資金ですが、財源や審査・採択などに違いがあります。
| 項目 | 助成金 | 補助金 |
|---|---|---|
| 主な実施機関 | 厚生労働省(都道府県労働局・ハローワーク)など | 国の各省庁、都道府県・市区町村など |
| 主な財源 | 事業主が負担する雇用保険料・労災保険料など | 国や自治体の予算 |
| 受給の考え方 | 要件を満たしていれば原則として支給される | 審査や選考があり、申請しても採択されない場合がある |
| 受付期間 | 年度を通じて受け付ける制度が多い | 公募期間が定められていることが多い |
| 主な目的 | 雇用の安定や職場環境の改善 | 設備投資や事業の効率化など、政策目的に沿った取り組み |
いずれも、取り組みを実施して費用を支払った後に支給される「後払い」が基本の仕組みとなっています。
立ち上げ時点で対象になる制度は限られる
厚生労働省が実施する雇用関係の助成金の多くは、すでに雇用している従業員の賃上げや正社員化、育児・介護との両立など、雇用環境の改善に取り組んだ事業主を後押しする仕組みとなっています。そのため、雇入れから一定期間が経過した従業員がいることなど、雇用の実績を求める要件が設けられています。
また、ITツールや介護テクノロジーの導入を支援する補助金も、介護保険の指定を受けた事業所であることや、事業の実績を確認する書類の提出が求められる場合があり、立ち上げ時点では対象にならないことがあります。
そのため、立ち上げ時点から活用できるのは、主に「新たにスタッフを雇い入れること」を支援する制度です。
【一覧表】訪問看護ステーションで活用できる助成金・補助金(2026年度)
本記事で紹介する制度を一覧にまとめています。活用時期は目安となっており、実際に申請できるかどうかは各制度の要件によって異なります。
※東京都・大阪府の制度は、都道府県が独自に実施している支援事業の例として掲載しています。それぞれ都内・府内にある訪問看護ステーションが対象となる点にご注意ください。また、東京都・大阪府以外でも、訪問看護ステーション向けの支援事業を実施している自治体がありますので、各自治体に確認しましょう。
| 活用時期の目安 | 制度名 | 概要 | 支給額・上限額の目安(中小企業の場合) | 公式情報 |
|---|---|---|---|---|
| 立ち上げ準備〜開業初期 | トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 職業経験の不足などで就職が難しい求職者を、ハローワーク等の紹介で原則3か月間試行雇用した場合に助成 | 1人あたり月額最大4万円(最長3か月) | 厚生労働省 |
| 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) | 高年齢者や障害者など就職が特に難しい方を、ハローワーク等の紹介で継続雇用する労働者として雇い入れた場合に助成 | 1人あたり40万円〜240万円 | 厚生労働省 | |
| 訪問看護ステーション等事務職員雇用支援事業(東京都) | 指定から1年以内の事業所が、新たに事務職員を雇用する場合の給与費・交通費を補助 | 給与費1時間あたり1,226円・交通費1日あたり800円(補助率10分の10) | 東京都福祉局 | |
| デジタル機器導入促進支援事業(東京都) | 記録・情報共有・請求を一通り行える介護業務支援システムや、タブレットなどの導入経費を補助 | 上限額100万円〜500万円(職員数により異なる。補助率5分の4) | 東京都福祉保健財団 | |
| 新任訪問看護職員育成事業(大阪府) | 訪問看護の経験がおおむね1年以内の看護職員を雇用し、所定の研修プログラムに沿った研修を実施する経費を補助 | 研修経費の基準額44万円の2分の1を補助 | 大阪府 | |
| 運営開始後 | キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 有期雇用労働者などを正社員化した場合に助成 | 1人あたり20万円〜80万円 | 厚生労働省 |
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引き上げと、生産性向上につながる設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成 | 上限額30万円〜600万円 | 厚生労働省 | |
| 両立支援等助成金 | 育児・介護と仕事を両立できる職場環境づくりに取り組み、休業・復帰などの実績があった場合に助成 | コースによって異なる | 厚生労働省 | |
| 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) | 時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組んだ場合に、その費用の一部を助成 | 上限額25万円〜150万円 | 厚生労働省 | |
| 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) | 定年の引き上げや継続雇用制度の導入など、高年齢者が長く働ける制度を整えた場合に助成 | 15万円〜240万円 | 厚生労働省 | |
| 訪問看護ステーション代替職員(産休等)確保支援事業(東京都) | 看護職員が産休・育休・介護休業を取得する際の代替職員の雇用費用を補助 | 1時間あたり3,200円が上限 | 東京都福祉局 | |
| 事務職員等の雇用支援事業(大阪府) | 中規模以上(常勤換算5人以上)への規模拡大を目的に事務職員等を雇用する経費を補助 | 最大153万円 | 大阪府 | |
| 東京都新任訪問看護師育成支援事業 | 訪問看護未経験の看護職員を採用・育成する際の給与費や外部研修の受講経費などを補助。開設から1年以上経過していることが要件 | 給与費1時間あたり2,400円を基準額に2分の1を補助など | 東京都福祉局 | |
| 訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業(東京都) | 雇用している看護職員の認定看護師資格の取得や特定行為研修の受講にかかる費用を補助 | 受講者1人あたり最大199万2,000円(認定看護師資格取得の場合) | 東京都福祉局 | |
| 特定行為研修等の代替職員確保支援事業(大阪府) | 看護職員が特定行為研修等に参加する際の代替職員の雇用経費を補助 | 最大51万円 | 大阪府 | |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 事務局に登録されたITツールを、IT導入支援事業者と連携して導入する場合に費用の一部を補助 | 5万円〜450万円(通常枠) | 事務局 | |
| 介護テクノロジー導入支援事業(旧ICT導入支援事業) | 記録ソフトやタブレットなど介護テクノロジーの導入費用の一部を補助。実施主体は都道府県 | 都道府県によって異なる | 所在地の都道府県公式ページで確認 | |
| 訪問看護連携システム導入支援事業(大阪府) | 複数の訪問看護ステーション間で情報共有するための連携システムや端末の導入費用を補助 | システム導入費は最大50万円、端末購入費は最大15万円 | 大阪府 |
※支給額は加算措置を除いた額です。業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金は、支給される額の上限(上限額)の幅を記載しています。実際の支給額は、取り組みの内容や対象となる労働者数、かかった経費によって異なります。
立ち上げ準備〜開業初期から活用できる助成金・補助金
新たにスタッフを雇い入れることを支援する助成金は、立ち上げ時の採用でも申請できます。看護職員だけでなく、事務職員などの採用を考える際にも、選択肢の一つとして知っておきましょう。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験の不足などから就職が難しい求職者を、ハローワーク等の紹介により原則3か月間試行雇用(トライアル雇用)した事業主に支給される助成金です。トライアル雇用の期間中に適性や能力を見極めたうえで、無期雇用への移行を検討できる仕組みです。
対象となるのは、ハローワーク等の紹介日時点で、職業経験の不足などの要件を満たす求職者です。助成金を受けるには、トライアル雇用の開始日から2週間以内に実施計画書を提出し、終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。支給額は対象者1人あたりの月額で定められており、最長3か月分が支給されます。
立ち上げ時の採用は、採用後のミスマッチによる早期離職が経営に与える影響が大きくなりやすい時期です。試行期間を設けて相互に理解を深めることで、スタッフの定着と採用コストの抑制につながります。
なお、トライアル雇用助成金は、ハローワーク等の紹介による雇入れが条件です。求人サイトや知人の紹介などで採用を決めた後にハローワークの紹介を受けても、原則として対象にならないので注意しましょう。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、60歳以上の方や障害のある方など、就職が特に難しい方をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主を支援する助成金です。
支給額や支給期間は、対象者の区分や労働時間によって異なります。なお、2026年5月1日以降に紹介を受けた60歳以上の方は、紹介日にハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることも要件となっています。
新たな雇入れが対象となるため、立ち上げ時のスタッフ採用でも検討できる制度です。ハローワーク等で個別支援を受けている60歳以上の方などを看護職員や事務職員として採用する場合は、人件費の負担を抑えながら、経験のある人材を確保する手段の一つとなります。
なお、特定求職者雇用開発助成金は、原則として、ハローワーク等が助成金の対象労働者であることを明示して職業紹介した場合に限り申請できます。求人サイトや知人の紹介などで採用を決めた後にハローワークの紹介を受けても、原則として対象になりません。また、ハローワークのオンライン自主応募による採用や、求人サイトで募集して応募があった後に形式的に職業紹介を受けた場合も対象外とされていますので注意しましょう。
訪問看護ステーション等事務職員雇用支援事業(東京都)
東京都内の訪問看護ステーションが、指定を受けた日から1年以内に新たに事務職員を雇用する場合に、その給与費や交通費を補助する制度です。管理者・指導者研修の修了者が在籍していることなども要件となっています。
立ち上げ直後から活用を検討できる数少ない制度の一つです。看護職員が記録や請求などの事務作業に追われず、訪問に集中できる体制を整えることは、訪問件数の確保と安定した収益につながります。
デジタル機器導入促進支援事業(東京都)
東京都福祉保健財団が実施する制度で、記録・情報共有・請求を一通り行える介護業務支援システムや、タブレット・スマートフォン、Wi-Fi機器などを導入する際の経費の一部を補助します。交付申請日時点で都内に開設している介護保険サービスの事業所が対象のため、開業後の早い段階から活用を検討できます。
補助の上限額は、事業所の職員数によって異なります。2026年度の交付申請は10月9日が期限で、予算の範囲内での補助となるため、これから開業する場合は翌年度の募集情報を確認しておきましょう。
対象経費や要件は、以下の記事で詳しく説明しています。
新任訪問看護職員育成事業(大阪府)
大阪府の訪問看護実践研修事業の一つで、訪問看護の経験がおおむね1年以内の看護職員を雇用し、府が定める研修プログラムに沿って研修を行うステーションに対して、研修経費の一部を補助する制度です。
府の評価シートの項目に沿った研修プログラムを作成して研修を行うことや、教育担当者の役割を担う人を明確にすること、訪問看護eラーニング研修の全教科を受講することなどが条件となっており、申請は大阪府訪問看護ステーション協会を通じて行います。
開設からの年数の要件はないため、開業時に訪問看護が未経験の看護職員を採用する場合にも活用を検討できます。未経験の看護職員を体系的に育成できる体制づくりは、採用の幅を広げ、早期離職の防止にもつながります。
運営が始まってから活用できる助成金・補助金
ここからは、訪問看護ステーションの運営が始まってから活用できる制度を紹介します。開業前に内容を知っておくと、就業規則や雇用形態などの開業準備にも役立ちます。
※東京都・大阪府の制度は、それぞれ都内・府内にある訪問看護ステーションが対象です。
スタッフの雇用・処遇に関する助成金・補助金
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期雇用やパートタイムなどで働くスタッフの正社員化や、処遇改善に取り組んだ事業主が受けられる助成金です。正社員化コースでは、事前にキャリアアップ計画を提出し、就業規則などに定めた制度にもとづいて正社員化を行い、正社員化後6か月分の賃金を支払った後に申請します。
支給額は、企業規模や正社員化する前の雇用形態(有期雇用か無期雇用か)、対象者の区分によって異なります。受給には、正社員転換後6か月間の賃金を転換前6か月間より3%以上増額させることや、転換時点で賞与または退職金の制度と昇給が適用されていることも求められます。
立ち上げ時にパートや有期雇用でスタッフを採用し、運営が安定した段階で正社員化を検討する場合に活用しやすい制度です。開業時から雇用区分や転換のルール、正社員の賃金・賞与・昇給の仕組みを就業規則に整えておくと、将来の申請がスムーズになり、スタッフにとってもキャリアの見通しが立てやすい職場づくりにつながります。
業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げるとともに、生産性の向上につながる設備投資などを行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。
2026年度の制度では、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げることが求められているため、開業してスタッフの雇用期間が6か月を超えてから検討したい制度です。上限額は、引き上げる賃金の額と引き上げる労働者数によって変わります。
また、2026年度は、事業場内最低賃金が2026年度の地域別最低賃金未満であることが要件となっており、申請期間も2026年9月1日から地域別最低賃金の発効日の前日までと限られています。活用を考えている場合は、早めに労働局の情報を確認しておきましょう。
賃上げと業務効率化を同時に進められるため、スタッフの待遇改善による定着と、経営の効率化の両立につながります。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、育児や介護と仕事を両立できる職場環境づくりに取り組む事業主を支援する助成金です。制度を整えるだけでなく、実際にスタッフが育児休業や介護休業を取得し、職場に復帰したなどの実績が支給の前提となるコースが中心です。
支給額はコースや休業の取得状況によって異なるため、申請を検討する際は厚生労働省の支給申請の手引きで確認しましょう。
開業時に育児・介護に関する制度を就業規則に整えておき、実際に休業が発生したタイミングで申請を検討する流れとなります。ライフイベントを理由とした離職を防ぐことは、人材の確保が経営を左右する訪問看護ステーションにとって欠かせない取り組みです。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進などに向けて、研修の実施や業務効率化につながる機器の導入などに取り組んだ中小企業事業主に対して、その費用の一部が助成されます。訪問看護ステーションでは、主に労働時間短縮・年休促進支援コースが検討の対象となります。
上限額は選択した成果目標ごとに定められており、賃金の引き上げなどをあわせて行う場合は上限額が加算されます。なお、パソコンやタブレット、スマートフォンの導入・更新は、原則として対象外です。
取り組みの成果目標を設定して達成することが求められるため、運営が始まり、スタッフの労働時間や休暇の取得状況を把握できるようになってから検討したい制度です。残業の削減は、人件費の適正化とスタッフの働きやすさの両方につながります。
65歳超雇用推進助成金
65歳超雇用推進助成金は、定年の引き上げや定年の廃止、継続雇用制度の導入など、高年齢者が長く働ける制度を整えた事業主が対象となる助成金です。
65歳超継続雇用促進コースの支給額は、措置の内容や、1年以上継続して雇用している60歳以上の雇用保険被保険者の人数に応じて変わります。小規模なステーションでは、対象者が1〜3人の区分になることが多く、定年の引き上げや定年の定めの廃止を行った場合の支給額は15万円〜60万円となっています。
申請日の前日時点で「1年以上継続して雇用している60歳以上の雇用保険被保険者」が1人以上いることが要件の一つとなっているため、開業から1年以上が経過してから検討する制度です。経験豊富なベテラン看護師に長く活躍してもらうための環境づくりとして活用できます。
訪問看護ステーション代替職員(産休等)確保支援事業(東京都)
看護職員が産休・育休・介護休業を取得する際に、代替職員を雇用する費用を補助する制度です。
常勤換算2.5人以上7人未満のステーションなどが対象で、小規模なステーションでも休業中の人員体制を保ちやすくなります。
事務職員等の雇用支援事業(大阪府)
大阪府の訪問看護ステーション規模拡大推進事業の一つで、中規模以上(常勤換算5人以上)への規模拡大や機能強化を目的に事務職員等を雇用する経費を補助します。
事業の拡大を考える段階で検討したい制度です。
スタッフの育成・研修に関する補助金
東京都新任訪問看護師育成支援事業
訪問看護の経験がない看護職員を採用し、育成する体制を整えるステーションに対して、給与費や外部研修の受講経費などを補助する制度です。
開設から1年以上経過していること、常勤換算2.5人以上7人未満であることなどが要件となっています。未経験の看護職員を採用しやすくなり、人材確保の選択肢が広がります。
訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業(東京都)
雇用している看護職員が認定看護師資格の取得や特定行為研修の受講をする際に、入学金・授業料や受講期間中の給与費などを補助する制度です。
補助を受けるには、教育課程や研修を受講する年度の前年度に交付申請を行う必要があるため、早めの準備が欠かせません。スタッフの専門性を高める支援は、意欲の向上と定着にもつながります。
特定行為研修等の代替職員確保支援事業(大阪府)
看護職員が特定行為研修等に参加する際の、代替職員の雇用経費を補助する制度です。
研修期間中も訪問体制を維持しやすくなります。
設備・ICTに関する補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者などが業務効率化やDXに向けてITツールを導入する際に、その費用の一部を補助する制度です。2026年度から、IT導入補助金より名称が変更されています。対象となるのは事務局に登録されたITツールで、事務局に登録されたIT導入支援事業者と連携して申請します。
申請時には、納税証明書の提出や事業計画の策定などが求められるため、新たに法人を設立して開業する場合は要件を満たしにくい制度です。すでに法人を運営しており、新たに訪問看護事業を始める場合などは、活用を検討できる可能性があります。記録や請求のソフトを導入することで、事務作業の時間が減り、残業代の抑制や訪問への集中につながります。
申請の枠や補助額、申請の流れは、以下の記事で詳しく説明しています。
介護テクノロジー導入支援事業(旧ICT導入支援事業)
介護テクノロジー導入支援事業は、記録ソフトやタブレットなどの介護テクノロジーを導入する際に、その費用の一部が補助されます。実施主体は都道府県で、補助率や上限額、受付時期、選考方法は都道府県ごとに異なります。
介護保険法にもとづく指定を受けた事業所が対象となるため、指定前の立ち上げ準備中は申請できません。事業名や受付期間も都道府県によって異なるため、開業後は所在地の都道府県の公式ページで翌年度の募集情報を確認しておきましょう。
都道府県ごとの事業名や受付状況は、以下の記事でまとめています。
訪問看護連携システム導入支援事業(大阪府)
複数の訪問看護ステーション間で情報を共有する連携システムの導入費用や、端末の購入費用を補助する制度です。他のステーションとの連携を前提としているため、運営が軌道に乗ってから検討しましょう。
立ち上げスケジュールと申請タイミングの目安
訪問看護ステーションの立ち上げの流れと、各制度の情報収集・申請のタイミングの目安を表にまとめています。
| 時期 | 主な準備・手続き | 助成金・補助金で意識したいこと |
|---|---|---|
| 開業準備(法人設立・事業計画) | 法人設立、事業計画・資金計画の作成、事務所の確保 | 活用できる助成金・補助金制度の情報収集、就業規則の設計 |
| 指定申請の前後 | スタッフの採用、労働保険・雇用保険の手続き、指定申請 | ハローワークへの求人提出(トライアル雇用助成金・特定求職者雇用開発助成金) |
| 開業初期 | 開業、介護報酬・診療報酬の請求開始 | トライアル雇用助成金・特定求職者雇用開発助成金の支給申請、東京都の事務職員雇用支援事業・デジタル機器導入促進支援事業(東京都の場合)、新任訪問看護職員育成事業(大阪府の場合) |
| 運営開始後 | スタッフの採用、人材育成、ICT化の推進 | 一覧表の「運営開始後」の制度など活用できる助成金・補助金の情報収集・申請 |
※時期は目安です。実際の申請可否は、各制度の要件を公式ページで確認してください。
助成金・補助金を申請する際の注意点
入金は後払いのため、資金繰りの計画が必要
助成金・補助金は、取り組みを実施して費用を支払った後に申請し、審査を経て支給される後払いが基本です。申請から入金までに数か月かかることもあるため、一時的に自己資金で費用を立て替えることを前提に、資金計画を立てておくことが大切です。
訪問看護の介護報酬・診療報酬も、サービスを提供してから入金されるまでに、およそ2か月かかります。助成金の入金時期と報酬の入金時期を勘案して運転資金を準備しましょう。
同じ経費に複数の制度を重ねて使えない場合がある
同じ経費に対して、補助金を重複して受けることは原則としてできません。また、助成金の中にも、他の助成金との併給に制限があるものがあります。複数の助成金・補助金制度を検討する場合は、どの制度でどの経費を使って申請するかを事前に整理しておきましょう。
受付期間が短く、予算上限に達すると締め切られる場合がある
補助金や自治体の支援事業は、公募期間が限られているものが多く、予算の上限に達した時点で受付が終了したり、申請多数の場合に選考や抽選が行われたりする場合があります。気が付かないうちに募集が終了していることもあり得ますので、各公式ページで募集情報を定期的に確認しておきましょう。
助成金は就業規則の整備や雇用保険加入など、労務管理が前提になる
雇用関係の助成金は、雇用保険の適用事業所であることや、労働保険料を滞納していないこと、出勤簿や賃金台帳などを適切に整備していることなどが共通の前提です。また、制度によっては就業規則への規定が要件となるものもあります。
開業時から労務管理の体制を整えておくことは、助成金の活用だけでなく、スタッフが安心して働ける職場づくりにもつながります。
助成金・補助金だけに頼らない資金計画
| 資金調達の方法 | 概要 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫の融資 | 政府系金融機関による融資で、これから開業する方や開業間もない事業者向けの融資制度が用意されています |
| 自治体の制度融資 | 自治体・金融機関・信用保証協会が連携して行う融資で、自治体によっては利子や信用保証料の一部を負担してもらえる場合があります。創業者向けの制度融資を設けている自治体もあります |
助成金・補助金は後払いが基本のため、融資などで確保した資金を前提に、運営開始後の負担を軽くするための制度として位置づけておくと、無理のない資金計画を立てやすくなります。
融資を受けるまでの流れや、訪問看護ステーションの開業で検討される融資制度は、以下の記事で詳しく説明しています。
まとめ
助成金・補助金の中には、立ち上げのタイミングですぐに使えるものと、運営を始めてから活用できるものがあります。両者を混同せず、それぞれのタイミングに応じて情報収集を進めましょう。
また、立ち上げ時に活用できる助成金・補助金は少ないため、融資などを受け、運転資金を確保することが大切です。
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参考資料
厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内」(令和8年4月8日版)
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内」
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」
厚生労働省「業務改善助成金」
厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」
厚生労働省「両立支援等助成金」
厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
厚生労働省「令和8年度 働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」
厚生労働省「65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)」
厚生労働省「令和8年度 65歳超雇用推進助成金のご案内」
デジタル化・AI導入補助金事務局
中小企業庁 ミラサポplus「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」
東京都福祉局「訪問看護ステーション等事務職員雇用支援事業」
東京都福祉局「東京都新任訪問看護師育成支援事業」
東京都福祉局「訪問看護ステーションにおける認定看護師資格取得支援事業」
東京都福祉局「訪問看護ステーション代替職員(産休等)確保支援事業」
大阪府「訪問看護ネットワーク事業」
東京都福祉保健財団「令和8年度デジタル機器導入促進支援事業」
大阪府「訪問看護実践研修事業」
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
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