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医療レセプト請求で困らないために!精神科訪問看護基本療養費を徹底解説

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医療レセプト請求で困らないために!精神科訪問看護基本療養費を徹底解説
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

医療費の削減や、「住み慣れた自宅で自分らしく生活したい」といったニーズの高まりから、入院による療養から在宅療養を推進する動きがここ数年で加速しています。精神疾患を抱えている方で訪問看護の利用を希望する方も増えてきています。

今回は、精神科訪問看護を提供した場合に算定できる「精神科訪問看護基本療養費」の種類や構造、算定要件等について、わかりやすく丁寧に解説していきます!

精神科訪問看護基本療養費の構造・種類

精神科訪問看護基本療養費の類型 精神科訪問看護基本療養費の加算
精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)イ

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)ロ

精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)…(廃止)

精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)イ

精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)ロ

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)

特別地域訪問看護加算

精神科緊急訪問看護加算

長時間精神科訪問看護加算

複数名精神科訪問看護加算

夜間・早朝訪問看護加算

深夜訪問看護加算

精神科複数回訪問加算

このように、精神科訪問看護基本療養費には、(Ⅰ)~(Ⅳ)までの類型があり、提供する職種や利用者の状況によって算定する精神科訪問看護基本療養費の種別が異なります。

また、提供する訪問看護サービスの内容等に応じて、精神科訪問看護基本療養費に加えて算定できる『加算』も設けられています。 各種加算についての詳しい記事は、上記の表の『加算名』をクリックしてください。

精神科訪問看護ステーションが算定できるその他の療養費

これまでご紹介した基本療養費以外に、精神科訪問看護ステーションで算定が可能な療養費は以下になります。

項目 算定料
訪問看護管理療養費

イ:機能強化型訪問看護管理療養費1

12,830円
ロ:機能強化型訪問看護管理療養費2 9,800円
訪問看護管理療養費

ハ:機能強化型訪問看護管理療養費3

8,470円
訪問看護管理療養費

二:イ、ロ、ハ以外の場合

7,440円
訪問看護管理療養費

月の2日目以降の訪問の場合

3,000円
訪問看護情報提供療養費1 1,500円
訪問看護情報提供療養費2 1,500円
訪問看護情報提供療養費3 1,500円
訪問看護ターミナルケア療養費1 25,000円
訪問看護ターミナルケア療養費2 10,000円

※訪問看護管理療養費は算定できる加算があります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

精神科訪問看護基本療養費の算定要件は「精神疾患を有する者に対する看護について、相当の経験を有する」こと

精神科訪問看護基本療養費を算定するには「精神疾患を有する者に対する看護について、相当の経験を有する」保健師・看護師・准看護師・作業療法士が訪問看護を行う必要があります。

精神疾患を有する者に対する看護について、相当の経験を有するとは、以下のいずれかに該当する保健師・看護師・准看護師・作業療法士となっています。

  • 精神科を標榜する保険医療機関において、精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者

  • 精神疾患を有する者に対する訪問看護の経験を1年以上有する者

  • 精神保健福祉センター又は保健所等における精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者

  • 国、都道府県又は医療関係機関団体等が主催する精神保健に関する研修を修了している者

精神科訪問看護基本療養費の算定金額

精神科訪問看護基本療養費の算定金額は、以下の表のようになっています。

職種 訪問頻度 訪問時間 精神科訪問看護基本療養費

(訪問看護ステーション)

精神科訪問看護指導料

(保険医療機関)

(Ⅰ) (Ⅲ)同一建物に1人又は2人 (Ⅲ)同一建物に3人以上 (Ⅳ) (Ⅰ) (Ⅲ)同一建物に1人又は2人 (Ⅲ)同一建物に3人以上
(イ)保健師、看護師、作業療法士 週3日目まで 30分未満 4,250円 4,250円 2,130円 8,500円 445点 445点 225点
30分以上 5,550円 5,550円 2,780円 580点 580点 293点
週4日目以降 30分未満 5,100円 5,100円 2,550円 530点 530点 268点
30分以上 6,550円 6,550円 3,280円 680点 680点 343点
(ロ)准看護師 週3日目まで 30分未満 3,870円 3,870円 1,940円 405点 405点 205点
週3日目まで 30分以上 5,050円 5,050円 2,530円 530点 530点 268点
週4日目以降 30分未満 4,720円 4,720円 2,360円 490点 490点 248点
週4日目以降 30分以上 6,050円 6,050円 3,030円 630点 630点 318点

※精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)は廃止されました。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)とは?

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)とは、同一建物居住者以外の利用者に対して、精神科訪問看護サービスを提供した場合に算定する療養費です。

「精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)イ・ロ」の違いとは?

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)の「イ」と「ロ」の違いは、精神科訪問看護サービスを提供する職種です。「イ」は、保健師・看護師・作業療法士が訪問看護サービスを提供した時に、「ロ」は准看護師が訪問看護サービスを提供した時に算定する療養費です。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)とは?

訪問看護基本療養費(Ⅱ)は、精神障害者施設において複数の利用者に訪問看護サービスを提供した場合に算定する療養費です。個々の利用者のニーズに応じた訪問看護サービスの提供を推進する観点から、2018年度の改定によって廃止となりました。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)とは?

訪問看護基本療養費(Ⅲ)とは、同一日に同一建物居住者である利用者に対して、精神科訪問看護サービスを提供した場合に算定する療養費です。該当する利用者の人数が「2人」もしくは「3人以上」によって算定する金額が異なります。

「精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)イ・ロ」の違いとは?

精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、先ほど説明した通り、同一日に同一建物居住者に訪問看護サービスを提供する点が、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)と異なります。それ以外は精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)と同じように、「イ」は、保健師・看護師・作業療法士が訪問看護サービスを提供した時に、「ロ」は准看護師が訪問看護サービスを提供した時に算定する療養費です。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)とは?

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)とは、在宅療養に向けて外泊をしている入院患者のうち、厚生労働大臣が定める状態の利用者に対して、精神科訪問看護サービスを提供した場合に算定する療養費です。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)の対象者とは?

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)の対象者は、基準公示第2の2に定められる「特掲診察料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者」、「特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者」、「その他在宅療養に備えた一時的な外泊に当たり、訪問看護が必要であると認められた者」となります。

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)の算定回数

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)は、基準公示第2の2に定められる「その他在宅療養に備えた一時的な外泊に当たり、訪問看護が必要であると認められた者」については、入院中に1回限り算定でき、「特掲診察料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者」、「特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者」については、入院中に2回まで算定することができます。

「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」は、以下の20疾患です。

  • 末期の悪性腫瘍

  • 多発性硬化症

  • 重症筋無力症

  • スモン

  • 筋萎縮性側索硬化症

  • 脊髄小脳変性症

  • ハンチントン病

  • 進行性筋ジストロフィー症

  • パーキンソン病関連疾患

  • 多系統萎縮症

  • プリオン病

  • 亜急性硬化症全脳炎

  • ライソゾーム病

  • 副腎白質ジストロフィー

  • 脊髄性筋萎縮症

  • 球脊髄性筋萎縮症

  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎

  • 後天性免疫不全症候群

  • 頸髄損傷

  • 人工呼吸器を使用している状態

「厚生労働大臣が定める状態等(別表第8)」は、以下の状態です。

  • 以下の状態にある者

    • 在宅悪性腫瘍患者指導管理または在宅気管切開患者指導管理を受けている

    • 気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している

  • 以下の指導管理を受けている状態

    • 在宅自己腹膜灌流指導管理

    • 在宅血液透析指導管理

    • 在宅酸素療法指導管理

    • 在宅中心静脈栄養法指導管理

    • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理

    • 在宅自己導尿指導管理

    • 在宅人工呼吸指導管理

    • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理

    • 在宅自己疼痛管理指導管理

    • 在宅肺高血圧症患者指導管理

  • 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者

  • 真皮を越える褥瘡の状態にある者

  • 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

精神科訪問看護基本療養費の留意点

精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)では、特別地域訪問看護加算以外の加算は算定できません。また、同一日に訪問看護管理療養費の算定もできません。

まとめ

精神科訪問看護の基本療養費の構造や算定要件、基本療養費に対する加算について解説しました。

精神科訪問看護基本療養費は、利用者の疾病や訪問する頻度、条件によって算定料が変わります。請求を行う際には、算定要件を確認し、基本療養費や加算を請求しましょう。

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