精神科訪問看護指導料とは?
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とあるコメディカル トコル
理学療法士として病院、訪問看護ステーションで勤務した経験を活かし、訪問看護計画書や報告書等の帳票記載例を多数掲載する「とあるコメディカル」を運営。訪問看護の帳票記載例をまとめた冊子は累計販売2,500冊を突破している。
目次
訪問看護に関わる皆さまの中には、「精神科訪問看護指導料」という言葉を耳にしたことはあるけれど、具体的にどのような場面で算定できるのかよく分からない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、精神科訪問看護指導料の概要や算定要件、指導料と指示料の違い、算定できないケースやレセプト記載の注意点について解説していきます。
精神科訪問看護指導料とは
精神科訪問看護指導料の算定要件
精神科訪問看護指導料は、患者やその家族に対して、精神科に特化した訪問看護サービスを提供した場合に算定できる診療報酬です。精神科訪問看護指導料は、病院や診療所から提供される訪問看護(みなし訪問看護)が算定できる報酬であり、指定訪問看護ステーションが算定することはできません。
精神科訪問看護指導料を算定するには、以下の要件を満たす必要があります。
精神科を担当する医師からの指示があること
保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士などが実際に患者のご自宅などを訪問し、看護や指導を行うこと
患者本人または家族の同意を得ていること
対象となる患者が入院中でないこと
精神科訪問看護指導料の点数表
職種 | 訪問頻度 | 訪問時間 | 精神科訪問看護指導料 (保険医療機関) |
||
---|---|---|---|---|---|
(Ⅰ) | (Ⅲ)同一建物に1人又は2人 | (Ⅲ)同一建物に3人以上 | |||
看護師等、作業療法士、精神保健福祉士 | 週3日目まで | 30分未満 | 445点 | 445点 | 225点 |
30分以上 | 580点 | 580点 | 293点 | ||
週4日目以降 | 30分未満 | 530点 | 530点 | 268点 | |
30分以上 | 680点 | 680点 | 343点 | ||
准看護師 | 週3日目まで | 30分未満 | 405点 | 405点 | 205点 |
30分以上 | 530点 | 530点 | 268点 | ||
週4日目以降 | 30分未満 | 490点 | 490点 | 248点 | |
30分以上 | 630点 | 630点 | 318点 |
※精神科訪問看護基本療養費(Ⅱ)は廃止されました。
(参考:今日の臨床サポート:ELSEVIER)
精神科訪問看護指導料と精神科訪問看護指示料の違い
精神科訪問看護指導料とよく混同されやすいものに「精神科訪問看護指示料」があります。両者は名前が似ていますが、役割は大きく異なります。
種類 | 算定料 |
精神科訪問看護指示料 | 300点/回(月1回限り) |
精神科訪問看護指導料:専門職が在宅を訪問し、患者やご家族に対して療養上の指導を行った場合に算定。
精神科訪問看護指示料:医師が訪問看護ステーションなどに対して、訪問看護を指示するための「訪問看護指示書」を作成・交付した場合に算定。
つまり、「精神科訪問看護指導料」は実際の訪問によるケアへの報酬、「精神科訪問看護指示料」は指示書作成に対する報酬です。両者は併せて算定することはできません。
(参考:訪問看護業務の手引き令和6年6月版|社会保険研究所 ,p.163)
精神科訪問看護指導料を算定できないケース
原則として、訪問看護ステーションが訪問看護療養費を算定した月には、精神科訪問看護・指導料を算定できません。
ただし、以下のような特定のケースでは、例外的に算定が認められています。
ア 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の患者及び特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる状態等の患者について、訪問看護療養費を算定した場合
イ 服薬中断等により急性増悪した場合であって、一時的に週4日以上の頻回の精神科訪問看護・指導を行う必要を認めた患者
ウ 当該保険医療機関を退院後3月以内の患者
エ 「I016」精神科在宅患者支援管理料を算定する患者
オ 精神科在宅患者支援管理料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長へ届け出ている保険医療機関において、精神保健福祉士による精神科訪問看護・指導を行う場合(精神科訪問看護・指導料及び訪問看護基本療養費を算定する日と合わせて週3日(退院後3月以内の期間において行われる場合にあっては、週5日)を限度とする)
また、「訪問看護療養費」と「精神科訪問看護指導料」を併用して算定できる場合であっても、同じ日に両者を算定することはできません。
ただし以下のケースに限り、同一日での算定が認められています。
精神科在宅患者支援管理料1または3を算定する保険医療機関と、その医療機関と特別な関係にある訪問看護ステーションが、それぞれ同じ日に訪問を実施した場合(作業療法士または精神保健福祉士による訪問に限る)
精神科在宅患者支援管理料2を算定する医療機関と、その医療機関と連携する訪問看護ステーションが、それぞれ同一日に訪問を実施した場合
精神科訪問看護指導料ⅠとⅢの違い
精神科訪問看護指導料には「Ⅰ」と「Ⅲ」があり、訪問先によって区分されます。
(※Ⅱは2018年度改定で廃止)
精神科訪問看護指導料(Ⅰ): 患者の自宅へ訪問した場合に算定します。
精神科訪問看護指導料(Ⅲ): 有料老人ホームやグループホームなど、同じ建物に複数の利用者が居住している場合に訪問した際に算定します。
レセプトの記載方法
精神科訪問看護指導料を算定する際は、レセプト(診療報酬明細書)の摘要欄に、訪問看護を行った具体的な理由や内容を記載する必要があります。記載が不十分だと、返戻される可能性があるため注意が必要です。
コメント記載例
「幻聴の訴えがあり傾聴。内服薬の管理状況を確認し、自己管理できるよう指導を実施。」
「抑うつ状態が続いて日中は臥床しがち。生活リズム改善のため、散歩や日中活動への参加を促した。」
返戻になりやすい例
内容が抽象的:「精神症状の観察」「療養上の指導」といった抽象的な記載だけでは、具体的なケア内容が不明瞭で返戻の対象となり得ます。
算定要件との不一致:例えば週4日以上訪問した場合に、医師の診察や指示の記録がないなど、算定要件を満たしていないケース。
精神科訪問看護指導料の主な加算一覧
複数名精神科訪問看護・指導加算
長時間精神科訪問看護・指導加算
夜間・早朝訪問看護加算
深夜訪問看護加算
精神科緊急訪問看護加算
精神科複数回訪問加算
看護・介護職員連携強化加算
特別地域訪問看護加算
外来感染対策向上加算
発熱患者等対応加算
サーベイランス強化加算
抗菌薬適正使用体制加算
訪問看護医療 DX情報活用加算
まとめ
精神科訪問看護指導料の算定要件や点数表、レセプトの記載方法などについて解説しました。
みなし訪問看護ステーションの場合、指定を受ける場合と比較して、報酬単価が低いことや対象の利用者が少ないため、事業の拡大が難しいです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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