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【経営者必見!】訪問看護ステーション開業時に用意すべきマニュアル7選

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【経営者必見!】訪問看護ステーション開業時に用意すべきマニュアル7選
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護ステーションの開業をするにはさまざま準備が必要となり、「忙しくてマニュアルを作成できていない」と頭を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。業務に関して統一した認識をステーション全体に浸透させるためには、マニュアルが役に立ちます。

この記事では、訪問看護ステーションの運営に必要となるマニュアルについて詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。

訪問看護ステーションを開業する際に準備すべきマニュアルとは

マニュアルを作る目的は、採用した職員が業務を行うにあたって、基準となる共通認識を浸透させることです。それぞれの職員が、自身の経験や強みをもとに訪問看護サービスを提供することは、サービスの質やサービスの内容の違いからトラブルになる可能性もあります。このようなトラブルを防ぎ、訪問看護ステーションの理念を実現するためにもマニュアルを作っていきましょう。

それでは、訪問看護ステーションを開業する際に準備すべきマニュアルについて詳しく見ていきましょう。

BCP・災害対策マニュアル

災害対策マニュアルは、災害に備える設備の点検、日常的に確認すべき内容や、災害発生時・災害発生後にどのように業務を行うかといった、災害前・災害時・災害後の行動指針について示すマニュアルです。

BCP(業務継続計画)は、感染症や災害が発生した場合であっても、サービスを継続して提供できる体制を構築するために作成する計画です。令和3年度の介護報酬改定において、訪問看護を含むすべての介護サービス事業者に、計画の策定、研修・訓練の実施が義務付けられました。(令和6年3月31日までは努力義務)

BCPの策定が義務化され、内容の一部として「被災時の対策(行動基準等)」を定めるため、災害マニュアルも兼ねるBCPを策定するのが良いでしょう。

記載すべき内容例(BCPを作成する前提)

  • 事業所の災害時に関する基本方針

  • 災害対策の推進体制の氏名、役割

  • リスクの把握(ハザードマップや防災計画の確認)

  • 対象地域の被災想定

  • 災害時に優先すべき業務のリストアップ

  • 災害情報が把握できるホームページ一覧の紹介

  • 研修や訓練の内容

  • BCPの見直し方法

  • 平常時の災害対応内容(人的資源・物的資源・財務資源・情報資源)

  • 利用者への対応想定、安否確認方法、被災後の対応

  • 復旧を進める中での事業継続に向けた対応

  • 地域内での連携方法
    など

災害時に起こりうる想定は1通りだけではなく、複数のケースとその際の対応方法を準備しておくとよいでしょう。また、災害直後の対応と、災害から数日後など、時間経過に沿った内容でマニュアルを作成していきましょう。
(参考:BCP(業務継続計画)策定について|全国訪問看護事業協会

在宅看護業務マニュアル

看護師を採用する過程で、訪問看護や在宅療養支援が未経験の看護師を採用することも少なくありません。また、経験者の場合でもローカルルールで他の職員と異なる方法で看護を実施してしまい、訪問看護の質・内容が職員によってばらばらになってしまうこともあるでしょう。

質の違いにより利用者やご家族、医療機関からの評判が下がってしまう可能性や、ケアの手順が異なることによりインシデントが発生する可能性もあります。このようなリスクを防ぐため、訪問看護で実施する頻度が高い看護業務や医療機器の取り扱い方法について、在宅看護業務マニュアルを作成します。

記載すべき内容例

  • 急変時対応方法

  • 服薬管理、服薬セッティング方法

  • 点滴、注射の手技

  • 麻薬、鎮静剤など危険薬の管理

  • 褥瘡管理方法

  • 栄養チューブの取り扱い

  • 吸痰、酸素療法に関わる機器の管理

  • オンコール業務
    など

事故防止、事故発生対応マニュアル

看護業務における緊急事態だけでなく、利用者・ご家族との訪問中のトラブル、移動中の事故など、業務中に職員に起こりうる不測の事態に対して事故防止、事故発生対応マニュアルを作成します。

記載すべき内容例

  • 針刺し等感染症がある利用者の体液曝露時の対処

  • 利用者や家族から暴力行為や危険行為があった場合の対処方法、緊急連絡先

  • 交通事故発生時の対処

  • 看護師が利用者に危害を加えてしまった場合の対応
    など

看護師が利用者に危害を加えてしまった場合の対応

訪問看護の指定基準において、提供した訪問看護サービスが起因となった事故により利用者が死亡に至ってしまった、治療が必要になった等の場合については、行政等への報告と損害賠償の対応をするように定められています。

日頃から事故を起こさないよう、ヒヤリ・ハットの事例は事業所内で共有するとともに、事故が発生してしまった際の対処法、記録すべき内容についてはマニュアル内に記載するようにしましょう。

新人研修マニュアル

新しい職員が入職すると、事業所内の職員が研修を行うことになります。事業所内で決められているルールに沿って研修を実施するために新人研修マニュアルを作成します。

サービスの提供に関することだけでなく、就業規則に基づいて休暇の取得方法や調整方法、勤務開始や勤務終了のルール、オンコール待機中の就業ルール、接遇・マナーについて記載しておくと良いでしょう。

衛生管理・感染予防対策マニュアル

夏場の食中毒、冬場の感染症流行期や新興感染症など、食中毒や感染症予防のために実施すべき防護方法や手指衛生の方法、消毒薬の使用方法等についてのルールを定めた衛生管理・感染予防対策マニュアルを作成します。

特に結核など、空気感染を起こす可能性のある疾患にり患している利用者宅へ訪問する場合などの防護対策については、正しい防護対策をとり、感染を防ぐことができるようにイラストなどを用いると良いでしょう。

地域連携マニュアル

訪問看護の事業にかかわる居宅介護支援事業所、クリニックや病院など、利用者の情報を報告、共有したり、新しい利用者の紹介を受ける組織とのコミュニケーションをいつ、どのようなタイミングで実施すべきかを定めた地域連携マニュアルを作成しましょう。

記載すべき内容例

  • 病棟の看護師に共有してもらいたい情報(かかりつけ医、家族構成。意思決定内容、ADL、家族の心構え、医療処置内容)

  • かかりつけの医師の一覧、連絡手段(電話、メール、FAX、チャット等)

  • ケアマネジャーの連絡先一覧、定期的な情報提供内容

苦情対応マニュアル

利用者やその家族から苦情を受けることがありますので、苦情の受領から対応、報告までに実施することを苦情対応マニュアルとして作成します。

マニュアルの作成のポイント

訪問看護ステーションの運営にあたって、できる限りマニュアルを整備していくことが業務の効率化につながります。しかし、様々な業務に対してマニュアルを作成することは、非常に多くの時間と労力がかかります。ここでは効率的にマニュアルを作成するために大切なポイントを2つご紹介しますので、見ていきましょう。

1.マニュアルの雛形を参考にする

全国訪問看護協会や事業所が所在する都道府県の訪問看護協議会のサイト、自治体のホームページに訪問看護事業者が用意すべきマニュアルの雛形が掲載されている場合がありますので、参考にすることでマニュアル作成を効率化することができます。

2.マニュアル作成に関する本を参考にする

それぞれのマニュアルについて、「雛型の項目では足りない。しかし、どうやって記載すればいいのかわからない」という方は、書籍を読んでみることもよいでしょう。

訪問看護協会や事業協会から以下のような書籍が出版されているので、参考にしましょう。

  • 訪問看護ステーションの災害対策第2版追補版:マニュアルの作成と活用|日本看護協会出版会

  • 訪問看護の安全対策 マニュアルの作成とヒヤリハット報告書の活用|日本看護協会出版会

  • 訪問看護実務相談Q&A 令和4年版|全国訪問看護事業協会

  • 訪問看護事業所のBCP(事業継続計画)リソース中心に考える!つくれる!使える!|訪問看護BCP研究会

マニュアル作成における注意点とは

マニュアルは作成した時期の制度や指針に合わせた項目・内容で作成するので、項目や内容が古くなっていないか定期的に確認する必要があります。

また、マニュアルは運営指導・監査において有無とその内容がチェックされます。厚生労働省の運営指導における確認文書によると、訪問看護事業では、BCP、衛生管理・感染予防指針、緊急時対応マニュアル、苦情対応マニュアル、事故対応マニュアルの 6つが実地指導監査の対象となるようです。
(参考:別添第一項及び確認文書|厚生労働省

マニュアルをステーション内で活用するには?

マニュアルを作っても、活用されなくては意味がありません。
マニュアルを定期的に見に行く場所として定着させるために、朝礼や会議、研修の中で短時間でも読み合わせをする機会をつくるなど、職員に浸透させるための取り組みを考えましょう。

また、マニュアルを必要なタイミングで参照できる環境を整えることも重要です。
紙で事業所内に保管することも必要ですが、訪問中や自宅待機中など、遠隔でもマニュアルを参照できるようにクラウド上でマニュアルを共有するのも良いでしょう。

Dropboxというアプリでクラウド上にデータを共有することも可能ですし、事業所の管理上google businessのサービスを使っている場合は、GoogleドキュメントやGoogle スプレッドシートを使ってマニュアルやフローチャートなど、簡単にファイルを共有することができます。

まとめ

訪問看護ステーションの開業前に準備すべきマニュアルについて解説しました。運営指導・監査の対象になるマニュアルは必ず準備しなくてはいけないですが、それ以外にも業務効率化や訪問看護の質を高めるために必要となるマニュアルについても用意して、ステーション内で活用できると運営がより円滑に進められるようになることでしょう。

『カイポケ訪問看護』には、訪問看護事業所の開設に関わるサポートを行う『開業支援サービス』があります。事業所運営の業務マニュアルを進呈するサービスも提供しているので、ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

この記事が訪問看護ステーションの開業準備を進めている方々、ステーションを運営している方々にとって少しでも参考になれば幸いです。

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