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訪問看護ステーションの設備基準とは?

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 訪問看護ステーションの設備基準とは?
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

介護保険や医療保険に基づくサービスを提供する訪問看護ステーション。
訪問看護事業を始める前に必ず理解しておかなければならないことの一つに「設備基準」があります。
今回は訪問看護ステーションの設備基準について詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

訪問看護とは?

訪問看護とは、在宅で療養生活を送る利用者に、医師の指示に基づいて看護師等が自宅等を訪問し、健康チェック、療養上の世話、診療の補助を行う事業所です。

病状観察や療養指導を始め、浣腸・摘便、褥瘡の予防・処置、服薬管理、経管栄養法の実施・管理、膀胱留置カテーテルの交換・管理などの医療処置を実施します。また、ターミナル期の利用者に対してのターミナルケアや訪問看護の一環としてのリハビリテーションの提供などを行う事業所もあります。

訪問看護の設備基準とは?

訪問看護事業を行うためには、一般的に介護保険法に基づく『指定』を受けることになります。そして、この『指定』を受けるためには、『設備基準』、『人員基準』、『運営基準』に定められる基準を満たさなくてはいけません。
設備基準には、適切な訪問看護サービスを提供するために必要とされる設備や備品等について基準が定められています。

訪問看護を提供する事業所が、『訪問看護ステーション』、『病院又は診療所』、または『サテライト型の訪問看護ステーション』なのかによって求められる設備が異なりますので、それぞれ必要な設備について見ていきましょう。

訪問看護ステーションの設備基準

訪問看護ステーションの設備基準では、以下の項目について定められています。

  • 事業の運営に必要な広さの『事務室』を設けること。

  • 訪問看護の提供に必要な設備・備品を備えていること。

事務室には、利用申込みの受付や相談等に対応できるスペースを確保することが求められています。また、設備等では感染症予防に必要な設備が求められています。
これらのことから、一般的には以下のような設備・備品が求められています。

  • 応接セット

  • 事務デスク・チェア

  • パソコン・タブレット

  • 電話・FAX・携帯電話

  • プリンター・コピー機

  • 書庫・書棚

  • ロッカー

  • 文房具等の事務用品

  • 洗面台、手洗い器

  • 感染対策用品

  • 医療機器

  • その他サービスを提供するために必要な備品・消耗品

ただし、同一の敷地内に他の事業所や施設等がある場合は、必要な広さの専用の区画を設けることで事務室の要件を満たします。また、設備・備品についても、他の事業所や施設等に備え付けられたものを使用することができます。

病院又は診療所による訪問看護の場合の設備基準

病院又は診療所の場合は、以下の項目について定められています。

  • 事業の運営に必要な広さを有する『専用の区画』を確保していること。

  • 訪問看護の提供に必要な設備・備品を備えていること。

設備・備品は、医療機関に備え付けられたものを使用することができます。

訪問看護の出張所(サテライト)の設備基準

出張所(サテライト)の基準は、都道府県(又は指定都市・中核市)が定めていますので、事業所を開設する都道府県等の要綱を確認しましょう。
東京都を例に挙げると、以下のような設備基準が定められています。

  • 事務室は、事業の運営に必要な広さを有する専有のものであること。

  • 設備、備品として、感染症予防に必要な設備(手指洗浄の場所、手指消毒備品等)と個人情報に関する文書等を管理するための鍵付書庫等を設置すること。

訪問看護の設備基準の注意点

設備基準を満たす上で、以下の3つはしっかりと考えておきましょう。

個人情報の管理を適切に行う。

訪問看護では、利用者の個人情報を取り扱うため、情報の保管や運用に注意が必要になります。適切な運用ルールを定めるだけでなく、設備・備品を揃えることで対策することができます。鍵付きの書庫やセキュリティ機能の高いパソコン・サーバー等の導入についても検討しましょう。

事務室のレイアウト・用途の変更

訪問看護では、「利用申込みの受付や相談等に対応できるスペースがある」事務室が求められています。
実際に運営を開始すると、それらのスペースのレイアウトを変更し、会議をするスペースや研修をするスペースとして使用することがあります。あくまで一時的にレイアウトや用途を変更し、会議や研修が終わると、受付・相談に対応できるスペースに戻すのでしたら問題はありませんが、経常的な変更とならないように注意しましょう。

人員増員を視野に入れる

運営が始まり、依頼が増えると事業規模の拡大を検討することもあります。訪問看護では、事業規模の拡大のためには、看護職員等のスタッフを増員し、より多くの利用依頼を受けることになります。
そのような時に事務室が手狭になってしまうことがありますので、ある程度、事業規模についての見通しを立て、それを考慮した上で物件を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回は、訪問看護の設備基準についてご紹介しました。
『設備に関する基準(設備基準)』に定められる内容は、事業所を開設する時、そして事業開始後も継続して満たすべき基準となっています。

ここでご紹介した内容が皆様の訪問看護事業の開業・運営のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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