帳票ダウンロード

【無料ダウンロード】訪問看護計画書の書き方と記入例!5つの注意ポイントも紹介

 更新日:

【無料ダウンロード】訪問看護計画書の書き方と記入例!5つの注意ポイントも紹介
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護では、「訪問看護計画書」「訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱ」「訪問看護報告書」の作成が必須となっています。中でも、「訪問看護計画書」の作成は看護の目標の設定方法や、問題点、解決策などといった項目について「どのように記載したらいいのか分からない・・・」とお困りの方が多いのではないでしょうか?

そこで今回は、訪問看護計画書の書き方で注意すべき5つのポイントと、記入例を詳しく解説していきます。

1.訪問看護計画書とは?

訪問看護計画書とは、どのような療養支援やケアを利用者へ提供するかを記載する書類です。利用者や家族がもつ療養上・社会上の課題に対して、当月における訪問看護の目標、目標に対する問題点、問題点の解決策を示し、提供する看護の内容を具体的に記します。

訪問看護計画書のルールとして、『①主治医が作成する訪問看護指示書とケアプランに沿って計画を立てること』、『②作成した計画書の内容を利用者や家族に説明し同意を得ること』、以上2点に留意しましょう。

訪問看護計画書はいつ作成する?

訪問看護計画書は、訪問看護サービスを提供する前に作成します。 訪問看護の利用についての問い合わせや依頼を受け、訪問看護指示書やケアプランなどの書類から情報を得ることと合わせて、利用者やその家族と会い、具体的な情報を得たうえで訪問看護計画書を作成することになります。 また、作成した訪問看護計画書は、サービスの提供を開始する前に利用者に説明し、同意を得る必要があります。

訪問看護計画書はいつ更新する?

訪問看護計画書は、ケアプランの更新に合わせて更新することになります。ただし、「利用者の状態の変化があった場合」や「主治医からの訪問看護指示書の内容に変化があった場合」、「ケアプランの変更が行われた場合」は、そのタイミングに合わせて訪問看護計画書の見直し・更新を行うことが求められています。

2.訪問看護計画書の書き方

ここでは、実際の訪問看護計画書の様式をもとに、訪問看護計画書の項目を①~⑦に分けて書き方をご紹介します。

訪問看護計画書の記載項目

① 利用者の基本情報

利用者の氏名

利用者の氏名を記入します。

生年月日

利用者の生年月日を記入します。

要介護認定の状況

利用者の要介護(支援)度を記入します。

住所

利用者の住所を記入します。

② 看護・リハビリテーションの目標

訪問看護の提供を通じて、「利用者が今後どのようになることを目指すか」を記載します。

主治医の訪問看護指示書やケアプランの内容を参考に、利用者や家族の希望と療養状況を踏まえて実現可能な目標を設定しましょう。

看護・リハビリテーションの目標例

目標
鎮痛薬を使用しながら胃癌に対しての疼痛コントロールを行い、日中活動することができる。
貧血によるふらつきがあるため、転倒予防をしながら家族との時間を安心して過ごすことができる。
終末期の体調の変化を本人・家族が理解し、不安を口に出して看護師に相談することができる。

③ 問題点・解決策・評価

年月日

訪問看護計画書を作成した年月日、または計画の見直しを行った年月日を記入します。

問題点・解決策

看護・リハビリテーションの目標を踏まえて、訪問看護サービスを提供する上での問題点を具体的に記入します。 また、問題点に対しての解決策を具体的に記入します。

問題点は複数ある場合、「#1」、「#2」とナンバリングを行って立案しましょう。また、解決策は、【観察】、【ケア】の2つで分類して記載するパターンもあれば、【O-P】【T-P】【E-P】というように、観察計画、ケア計画、教育計画の3つに分けて記載するパターンもあります。

記載するルールは訪問看護ステーションによって異なりますので、就業先のステーションのルールを確認して記載しましょう。

問題点と解決策の例

問題点 解決策
#1胃癌による疼痛があり日中の活動量が低下する可能性がある 【観察】バイタルサイン、全身状態の把握、内服状況の確認、生活状況の確認、受診状況の把握、睡眠状況の確認、鎮痛薬の使用頻度、リラクゼーションテクニック
【ケア】内服管理・指導、他職種との情報共有
#2 疾患に伴う貧血や痛みから歩行時ふらつきがあり転倒の恐れがある 【観察】バイタルサイン、全身状態の把握、血液検査データ、内服状況の確認、生活状況の確認(手すりや段差の位置)、受診状況の把握、睡眠状況の確認、鎮痛薬の使用頻度、杖や車椅子の使用状況
【ケア】内服管理・指導、補助具の使い方の指導、他職種・家族との情報共有

評価

訪問看護サービスを提供した後の評価について記入します。

④ 衛生材料等が必要な処置

衛生材料等が必要な処置の有無

衛生材料等が必要な処置の有無について、どちらかに丸を付けます。

処置の内容・衛生材料(種類・サイズ)等・必要量

衛生材料等が必要な処置が有の場合、その処置の内容や衛生材料の種類やサイズについて具体的に記入します。また、1ヵ月間で必要となる量を必要量の欄に記入します。

⑤訪問予定の職種

計画書の記載月において訪問を行う職員の職種と訪問予定日について記載します。

厚生労働省の「訪問看護計画書等の記載要領等について」によると、看護職員のみによる訪問の場合、この項目の記載は不要とのことです。

⑥備考

特別な管理が必要な場合はその内容、その他の留意事項等を記入します。

⑦ 作成者

作成者の氏名、職種を記載します。また、訪問看護の一環としてのリハビリテーションの提供がある場合は、担当する理学療法士等の氏名、職種も記載します。

⑧ 事業所の署名押印

利用者へ交付する年月日、事業所名、管理者氏名を記入し、押印します。

訪問看護計画書を作成する際の5つのポイント

ポイント① 医師の指示やケアプランに沿う

訪問看護計画書は、利用者や家族が抱える課題に沿って計画を作成することはもちろんのこと、訪問看護指示書やケアプランの内容に沿って計画を作成する必要があります。

例えば、医師の指示で活動制限があるにもかかわらず、その指示を超えた活動を促すような計画は不適切です。また、ケアプラン上で目指す方向と異なった計画を立てることも適切ではありません。

訪問看護指示書やケアプランの内容を確認し、利用者や家族をアセスメントしたうえで計画を立てましょう。

ポイント② 利用者や家族に伝わる表現を心がける

訪問看護計画書は、利用者に計画書の内容を説明し、同意を得なければならない書類です。そのため、専門職だけがわかる内容・語句で記載するのは不適切です。

利用者や家族が記載内容を理解できるように計画書を記入しましょう。

ポイント③問題解決思考、目標達成思考の両方の視点で考える

医療機関での看護を行う場合、医学モデルがベースとなった看護過程である「NANDA-I」等の看護診断を用いて計画を立案していた方が多いのではないでしょうか。これは問題解決思考でケアの対象者の課題を解決するアプローチです。

一方、訪問看護では、看護診断の概念だけでなく、生活モデルをベースとした看護過程である「国際生活機能分類(ICF)」に基づいた目標達成思考でケアの対象者の希望や願いを叶え、目標達成に向けたアプローチを行います。

ICFとは、生活機能と障害について「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つの次元と「環境因子」、「個人因子」といった背景因子で構成される分類です。

項目 生活機能と障害 背景因子
構成要素 心身機能・

身体構造

活動・参加 環境因子 個人因子
領域 心身機能

身体構造

生活・人生領域

(課題,行為)

生活機能と障害への

外的影響

生活機能と障害への

内的影響

構成概念 心身機能の変化

(生理的)

身体構造の変化

(解剖学的)

能力

標準的環境におる課題の遂行

実行状況

現在の環境における課題の遂行

物的環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境の特徴がもつ促進的あるいは阻害的な影響力 個人的な特徴の影響力
肯定的側面 機能的・構造的

統合性

活動

参加

促進因子 非該当
生活機能
否定的側面 機能障害

(構造障害を含む)

活動制限

参加制約

阻害因子 非該当
障害
(参考:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)|厚生労働省

このように、医学に基づいた療養支援における課題解決の視点と、生活行動に基づいた目標達成の視点の両方の視点で考え、看護の目標や問題点を設定しましょう。

ポイント④課題の優先順位を決める

利用者や家族に対してアセスメントを行うと、課題が複数存在する場合があります。そのような場合は、以下のような視点を持って課題の優先度を決めると良いでしょう。

  • 命の危機に関わる事象

  • 在宅療養が続けられなくなる可能性のある事象

  • 利用者の身体状態の回復、予防を阻む事象

  • 利用者や家族が解決したいと望む事象

ポイント⑤利用者や家族の強みを活かす

問題や課題についての情報収集を行う中で、利用者や家族の「できないこと」に目がいってしまうことは多いでしょう。しかし、課題を解決するためには利用者や家族が持つ強みを活かして解決策を考えることが大切です。

様々な視点からアセスメントを行い、利用者や家族の「強み」、「できること」、「得意とすること」などを探して、計画に反映させましょう。

訪問看護計画書の記入例

訪問看護計画書の書き方やポイントを踏まえ、ここからは実際の記入例をご紹介します。

一例として、訪問看護計画書記入の参考にしてみてください。

訪問看護計画書記入例

3.まとめ

提供する看護の内容の方針を記載する訪問看護計画書は、医師の指示・ケアプランの内容と利用者や家族の意向を踏まえて作成します。

作成した訪問看護計画書は、利用者や家族に渡すだけではなく、主治医やケアマネジャーにも提出することになりますので、関係者・関係機関と情報を共有するための重要な役割を持っています。ここでご紹介した記載方法・視点等を参考に、皆様のステーションでも訪問看護計画書を作成してみましょう。

今回の内容が皆様の訪問看護計画書を作成するお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

必要な機能がオールインワン

関連記事