訪問看護でのクラウドシステムのメリットと活用方法とは?
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株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
近年、「クラウド」は様々な業界の業務改善や生産性の向上に役立つものとして、良く耳にするようになりました。
この記事ではクラウドシステムの基礎知識と、訪問看護ステーションにおけるクラウドシステムの活用方法について詳しく説明しています。
クラウドシステムとは?
クラウドの定義
クラウドサービスは、「従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由でサービスとして利用者に提供するもの」です。ハードウェアを購入したり、ソフトウェアをパソコンにインストールする必要がなく、インターネット環境とPCやタブレット、スマホなどのデバイス端末があればサービスを利用することができます。クラウドには複数種類があり、大きく以下の3つに分類されます。
SaaS(Software as a Service)
SaaS(呼び方はサース)は、インターネット経由で必要な機能を利用するクラウドサービスです。ソフトウェアを購入したりインストールしたりする必要がなく、インターネット環境があればいつでもどこでもサービスを利用できます。
PaaS(Platform as a Service)
PaaS(呼び方はパース)は、アプリケーションソフトを開発するための環境を提供するクラウドサービスです。システムの開発者が利用するもので、開発環境を構築する手間がかからず、手軽にサービスを開発することができます。
IaaS (Infrastructure as a Service)
IaaS(呼び名はイアース)は、サーバーやネットワークなどを利用できるクラウドサービスです。自社に都合の良いサーバーアプリケーションを実行する環境を構築することができます。ただし、自由度が高い分、使いこなすには専門知識が必要になります。
クラウドシステムのメリットとデメリットとは?
クラウドシステムのメリット
クラウドシステムを導入する主なメリットは4つあります。
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導入コストを抑えることができる
クラウドを導入すると、サーバー・周辺機器の購入費用やシステム構築などの初期費用(設備投資)を抑えることができます。また、サーバーを稼働させるための維持費、運用・監視する人件費も減らせるので、結果的に維持コストを抑えることもできます。さらに、クラウドの多くは従量課金制であり、利用量に応じて費用が発生するため、必要以上に経費がかかることはありません。 -
運用管理の負担を削減できる
クラウドの運用はサービス提供事業者に任せられるため、従来は自社で行っていた管理やメンテナンスが少なくなり、負担を大幅に削減できます。安定性やセキュリティ面の確保など、システムを維持するための専任スタッフを置く必要はありません。また、システムの更新作業も原則としてサービス提供事業者側で実施します。 -
時間や場所を問わず利用できる
PCやタブレット、スマホなどのデバイス端末とインターネット環境さえあればアクセスが可能で、離れた場所にいる相手との共同作業も簡単にできるため、作業効率が大幅に向上します。リモートワークや在宅勤務の普及にも大きく貢献します。 -
データの安全な保管
クラウド環境を利用すれば、重要なデータを消失するリスクが低くなり、災害後の事業継続や復旧が容易に行なえます。クラウドサービスのサーバは、データセンターに置かれているのが一般的です。データセンターは、地震だけでなく火災や停電にも強い構造となっているので、自社でサーバを保管するよりも、安全にデータを守れます。BCP対策にも繋がります。
クラウドシステムのデメリット
一方で、クラウドシステムには以下のようなデメリットもあります。
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インターネット環境に左右される
クラウドサービスはインターネットを通じて利用するものです。そのため、インターネット環境が悪ければ、スムーズにデータにアクセスすることができません。 -
カスタマイズが難しい
比較的カスタマイズが自由にできる自社サーバーと異なり、クラウドサーバーではサービス提供事業者が提供するサービスの範囲でしかサーバー環境を作り上げられません。サーバー機器や機種に関する細かい指定、OS、ソフトウェア、インターネット回線、ネットワークのチューニングなど、サービス提供事業者が提供した範囲でクラウドサーバーを利用することになります。
訪問看護でのクラウドシステムの例は?
ここからは訪問看護ステーションで活用できるクラウドシステムの例と活用方法をご紹介します。
電子カルテシステム
利用者へのサービス提供記録をパソコンやタブレット、スマートフォンで作成し、クラウド上で管理するサービスです。時間や場所を問わず活用できるクラウドの利点を活かし、オンコールなどの急な訪問時にもクラウド上の利用者情報や過去の訪問記録内容をすぐに確認することができます。看護師は紙のカルテを持ち歩く必要が無く、看護師間の情報共有が円滑になり、心理的負担の軽減に繋がります。
スケジュール管理システム
クラウド上で職員のスケジュール管理を行うことで、誰が・いつ・どこで・利用者への訪問や営業活動等を行っているのかを把握できます。オンコール時の対応職員の割り当てや、職員全体の生産性の管理にも役立ちます。看護師はシフトを確認するために事務所へ立ち寄る必要が無くなり、直行直帰を実現できます。
帳票の作成・管理システム
デバイスとインターネット環境さえあれば、場所を問わずシステムにログインできるため、出先でも訪問看護計画書や報告書などの作成・編集・閲覧ができます。事務所へ戻って作業する必要がなくなり、移動時間により発生していた残業の削減に繋がります。また、主治医やケアマネジャーと訪問記録や経過記録、処置状況、患部の写真等もリアルタイムで共有できます。作成した帳票はクラウド上で管理することで、紙の保管管理やファイリング作業が不要になります。
請求ソフト
訪問時に入力した記録からデータを連動させることで、レセプトを作成できる機能を搭載している請求ソフトもあります。従来のように訪問記録を紙で利用者毎に管理し、レセプト時に転記するというフローに比べると、レセプト業務の負担は大幅に軽減されます。また、クラウドであれば場所を問わずにレセプト業務ができるため、事務員のリモートワークも実現できます。
会計ソフト
特に、複数の事業所を運営しているケースや税理士事務所等に監査等を依頼している場合は、現地でソフト・システムに入力した内容をすぐに共有できることから、クラウド型の会計ソフトが活用されています。
人事・労務ソフト
人事や労務に関する書類等をWEB上で届出・管理できるクラウド型のソフト・システムを導入することで、連絡、収集、内容確認、転記などの業務を効率化することができます。
導入に向けてクラウドシステムを比較する時のポイントとは?
ここでは、訪問看護の報酬請求、記録作成、シフト・スケジュール管理などを行うシステムを例に、導入にあたって比較するためのポイントをご紹介します。
機能の確認をする
訪問看護のクラウドシステムによって提供される機能の種類が異なり、大きく記録・請求特化型と多機能型の2つに分類されます。電子カルテや、口座振替など経営を支援するサービスが付いているソフトもあるため、必要な機能・サービスがそろっているか確認が必要です。
使いやすさを確認する
訪問看護のクラウドシステムによって提供されている機能が同じでも、実際に利用する際の使いやすさが異なります。使いやすさは実際に試してみないとわからないため、無料体験やデモンストレーションで操作のしやすさや画面の見やすさを確認したうえで、導入するシステムを選定する必要があります。
契約期間を確認する
クラウドシステムは月額料金制でアップデート費用は無料の場合が多いですが、契約期間の縛りが存在する場合、解約時に違約金が発生することがあります。システム導入時の契約によって、初期費用やアップデート費用、違約金などの支払い義務が異なるため、注意が必要です。
料金体系を確認する
料金体系には、導入費、システム使用料、サポート料金といった要素があります。そのため、比較する時には一定期間(3年〜5年)のトータルでどれだけコストがかかるのかを精査しましょう。また、料金プランとして月額定額制や、従業者アカウントや利用者の人数に応じて料金が発生する従量課金などがありますので、これらの条件も加味して比較するのが良いでしょう。
サポート体制を確認する
新しいシステムや機能を導入した当初は、操作に慣れるまで時間がかかってしまうケースも考えられます。このような際にお困りごとを解決する支援を行ってくれるサポート体制が十分かどうかは重要な指標のひとつです。導入時のデータ移行や操作説明などのサポートの有無、システム利用中のサポートの有無、サポート体制がメール・電話・訪問のうちどの方法に対応しているのかといったサポート内容と、サポートに関する料金を確認して比較しましょう。
まとめ
今回は、クラウドシステムの基本知識や訪問看護ステーションにおけるクラウドシステムの活用方法について紹介しました。今後さらに需要が拡大していくであろう在宅医療・訪問看護において、クラウドシステムの活用はますます重要になります。
クラウドシステムであるカイポケ訪問看護では、今回紹介した電子カルテから労務・会計などのバックオフィス機能まで、訪問看護ステーションで活用できる機能を備えています。
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