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訪問看護におけるICT化のメリットとは?訪問看護向けのICTツールと活用の事例を紹介

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この記事は2023年度時点の情報をもとに執筆しています

訪問看護におけるICT化のメリットとは?訪問看護向けのICTツールと活用の事例を紹介
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

「ICT化を推進!」「ICTを活用した医療・介護」など、訪問看護事業に携わる方々は厚生労働省の施策や事業に関するセミナー等で「ICT」という言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか?

この記事では、「そもそもICTって何?」「訪問看護でICTを活用するとどうなるの?」という疑問をお持ちの方に、ICTの意味や訪問看護のICT化に必要な環境、ICT化のメリットについてわかりやすく解説していきます。

ICTとは?IT、IoTとの違い

まずはICTとは何を示す言葉なのかについて理解していきましょう。
また、ICTの話の中で一緒に出てくる似た言葉の「IT」や「IoT」についても違いを把握しておきましょう。

IT

ITとは、「Information Technology」の略で、パソコン、スマートフォン、タブレットといった通信機器やメール、インターネットの技術を指し、情報技術の総称として使われています。

例えば「IT企業」という言葉におけるITの使われ方は、セキュリティシステムや情報処理の技術など、広義の「IT」を含む意味合いで情報技術を提供する企業、ということになります。

IoT

IoTとは、「Internet of Things」の略称の略で、あらゆる製品がインターネットに接続される仕組みのことを指します。

例えば、スマートフォンと通信して遠隔操作できる炊飯器や、冷蔵庫、エアコンのようなスマート家電が発売されていますが、これもIoT技術を使ったものです。

ICT

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術とも言います。「IT」は通信機器そのものを指しますが、「ICT」はそういった機器を用いて通信を行ったり、情報伝達を行ったりすることを指します。

例えば「ICT」はスマートフォンで家族とメッセージのやりとりを行うことや、ネットショッピングで「残り一点!」と表示され、在庫管理されているシステムなどもICTが使われています。
専用のソフトをインストールしていなくても、スマートフォンやパソコンなどインターネットがつながった状態であれば複数人で同時に文書や資料を編集できる「クラウド共有」なども、ICTが生み出した画期的な機能といえます。

このように、あらゆる場面においてICTは私たちにとって欠かせない存在になっています。

訪問看護のICT化のためのツール・システム

訪問看護においてもICT化は、事業の安定化や働き方改革の観点で必要な取り組みです。
それでは、訪問看護業務においてICT化を進めるにあたって必要なツールや端末、環境などをご紹介します。

タブレット・スマートフォン

スマートフォン、タブレットといった端末は、ICT化に必要なツールです。

このようなモバイル端末を導入することで、外出中や訪問先での連絡、情報共有、利用者情報へのアクセスなどが可能になります。また、タブレットを使うことで電子署名の仕組みを導入することが可能となり、ICTの活用の幅が広がることでしょう。

電子カルテ

電子カルテは、訪問看護ステーションのICT化の土台として必須のツールといえます。

電子カルテを導入することで、計画書・記録・報告書などの帳票を効率的に作成できるだけでなく、紙やファイルで管理していた書類を社内ネットワークやクラウド上に保管することができ、入力した利用者情報のリアルタイムでの共有が可能になります。

レセプト・請求ソフト

電子カルテと同様にICT化の土台となるツールがレセプト・請求ソフトです。

レセプト・請求ソフトを導入することで、電子カルテで入力した利用者情報や訪問看護の実施記録といったデータをもとに、毎月の請求業務を効率よく行うことが可能になります。また、収入に関する請求・入金のデータを効率的に経営者や経理部門と共有することができます。

勤怠管理システム

勤怠管理システムはレセプト・請求業務のICT化に必要なツールです。休日・夜間出勤の勤怠管理や有給申請・申請対応がペーパーレス化できるようになります。

また職員にとっては、訪問中に出先で休憩をとる際に、スマートフォンと勤怠管理システムを導入すれば遠隔で勤怠をつけることができるようになり業務の効率化にもつながるでしょう。

チャットツール

チャットツールは、コミュニケーションを円滑にして、ICT化を加速するツールです。チャットツールを導入することで、スピーディーな複数人での情報共有が可能になります。

代表的なチャットツールには、「LINE WORKS」や「Slack」、「Chat Work」といったツールが挙げられます。

訪問看護でICT化するメリットは、業務効率化・業務改善

訪問看護ステーションで、ICT化を進めるメリットは、「業務の効率化」と「業務の改善」です。

ここからは、ICTを導入し、業務効率化と業務改善をすることで訪問看護ステーションの運営にどのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。

利用者を訪問できる時間を増やせる!

ICTを導入することで業務効率化が可能になると、今までステーション内等で行っていた事務作業等にかかっていた時間が大幅に短縮できるようになります。

空いた時間を訪問する時間に充てることで、より多くの利用者に訪問看護を提供できるようになり、訪問件数を増やすことで、ステーションの売上アップにつながるでしょう。

残業時間を減らせる!

ICTを導入し、効率的に業務を進めることができると残業時間を減らすことにもつながります。

例えば、ステーションに戻ってから行っていた書類の作成業務や連絡・情報共有を外出先でのスキマ時間を活用して実施し、残業が多かった状況から抜け出せた事業所もあります。

職員の育成、研修時間を増やせる!

ICTツールを導入し、確保した空き時間で、職員の育成や研修の準備・実施に時間を使えるようになった事業所もあります。

研修や職員の育成のための時間をとることで職員同士で学び、成長する環境をつくることができ、職員がスキルアップすることで、ステーション全体のサービスの質が向上するでしょう。

業務改善に取り組むステーションとして看護師から選ばれやすい職場になる!

ICTを導入することで記録業務や請求業務の効率化、残業時間の短縮、直行直帰など、職員にとって働きやすいポイントが増えることになります。

人材不足が顕著な訪問看護にとって、求職者が魅力的だと思う「働きやすい環境」を実現するためにも、ICT化を進めましょう。

訪問看護でICT化した事例①

ここでは、ICT化を進めて『記録の確認や請求業務が簡単になった』という訪問看護ステーションの事例をご紹介します。

「タブレットでどこでも看護記録等の情報を閲覧でき、その情報を他の職員もすぐに閲覧できるため、職員同士での情報共有が簡単になった。物理的にカルテを持たなくていいこともメリット。
請求業務も楽になった。以前は月初~10日までずっと請求業務に追われていたが、請求に必要な情報は看護記録と連動しているので、確認作業がメインで1日で終わるようになった。」

訪問看護でICT化した事例②

ここでは、紙から電子カルテに切り替えて『記録時間が大幅に短縮した』という訪問看護ステーションの事例をご紹介します。

「以前は紙で記録を作成しており、記録の記入に時間がかかっていた。さらに各利用者の情報を見たいときには紙の記録から探してこなければいけないため時間がかかるだけでなく、その記録を持参して訪問するので荷物が増え、身体的な負担もかかっていた。
電子カルテとタブレットを導入して、記録時間が5分の1に短縮され、荷物も減らすことができた。記録時間の短縮で生まれた空き時間を使って、訪問件数を増やせるようになったと感じる。タブレットの導入で勤怠管理も変わり、直行直帰も可能になった。」

訪問看護のICT化を支援する補助金・助成金制度

ICT化のメリットが理解できたので、導入を進めたいという方も多いかと思いますが、機器やソフトを導入するには費用がかかります。国・都道府県・市町村等では、様々な事業のIT化・ICT化を推進するために、補助金・助成金制度を設けていますので、自事業所で活用できるものがないかを確認しましょう。

今回は、ICT導入支援事業とIT導入補助金についてご紹介します。

ICT導入支援事業

ICT導入支援事業は、全国の都道府県が実施する介護現場におけるICT機器やソフトの利用を促進するための補助金制度です。

介護ソフト、情報端末やインターネットの環境機器などの導入が対象となり、職員数に応じて補助金の上限額が定められています。補助金の詳細については、都道府県によって一部異なるため、補助金を検討されている方は都道府県のホームページを確認しましょう。
※ICT導入支援事業は訪問看護事業が対象にならない場合がありますので、ご注意ください。

ICT導入支援事業の詳細については、以下の記事をご覧ください。

IT導入補助金

IT導入補助金は、経済産業省が実施する中小企業のIT導入を支援するための補助金制度です。訪問看護では、電子カルテや請求ソフトの導入が対象となります。

IT導入補助金の詳細については、以下の記事をご覧ください。

まとめ

訪問看護ステーションのICT化のためのツールやICT化するメリット、実際に導入した事業所の事例などをご紹介しました。ICT導入に疑問や不安を感じていた方の疑問・不安が少しでも解消できていたら幸いです。

看護記録の作成、請求業務、シフト管理、勤怠管理、訪問スケジュール管理など総合的にICT化を進めたいとお考えの方には、『カイポケ訪問看護』がおすすめです。請求ソフトの契約を行うと、通信料金込みのiPadが1台無料でレンタルでき、ICT化の第一歩が簡単に踏み出せます。

また、『カイポケ訪問看護』はIT導入補助金の対象なので、ソフトの費用でお悩みの方はカイポケのIT導入補助金相談窓口までご相談ください。
※年度によって補助金の対象ソフトが変更となる場合がありますので、対象の可否は相談窓口にご確認ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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