訪問看護の2024年度診療報酬改定
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この記事は2024年3月時点の情報をもとに執筆しています
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
2024年(令和6年)度の診療報酬改定は、以下のような認識のもと、効果的かつ効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取り組みを進めるための見直しが進められました。
物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応
全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応
医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現
社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
この結果、診療報酬本体の改定率は0.88%のプラス改定となりました。
今回は2024年度の診療報酬改定のうち、訪問看護の改定内容について解説していきます。
2024年度診療報酬改定に対応した「訪問看護の算定料早見表」をご覧になりたい方は、以下よりぜひダウンロードしてご活用ください。
ベースアップ評価料の新設
2024年度(令和6年度)にべースアップ+2.5%、2025年度(令和7年度)に+2.0%の賃金上昇を目指すため、訪問看護ステーションに勤務する看護職員やその他の医療関係職種(※)の賃金の改善を実施する場合の評価が新設されました。
※訪問看護ステーションにおいてベースアップ評価料を用いた賃金上昇の対象となるのは、看護師、保健師、准看護師、看護補助者、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士、言語聴覚士などの職種です。
(新設)訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)
算定料 | |
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) | 780円(※) |
※訪問看護管理療養費(月の初日の訪問)を算定する利用者1人につき月1回に限り算定可能
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の算定要件
算定要件は以下の通りです。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届出をしていること
主として医療に従事する職員の賃金の改善を図る体制を構築していること
訪問看護管理療養費を算定していること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の施設基準
主に医療に従事する職員(医療従事者)が勤務していること
本評価料を算定する場合、2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)に対象となる医療従事者の賃金の改善を実施すること
基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で賃金改善を行い、基本給または毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ること
対象職員の基本給または毎月支払われる手当を2023年度(令和5年度)と比較して一定水準以上引き上げた場合、事務職員等の賃金の改善を行うことができること
2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)における訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金の改善にかかわる計画を作成していること
5の計画に基づく職員の賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告すること
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 賃上げ・基本料の引き上げ,p17|厚生労働省)
(新設)訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)に加え、勤務する医療従事者の賃金改善を強化する必要がある訪問看護ステーションにおいて、賃金の改善を実施している場合の評価が新設されました。
スコア(計算結果) | 区分 | 算定料(※) | |||||
0を超える | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)1 | 10円 | |||||
15以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)2 | 20円 | |||||
25以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)3 | 30円 | |||||
35以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)4 | 40円 | |||||
45以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)5 | 50円 | |||||
55以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)6 | 60円 | |||||
65以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)7 | 70円 | |||||
75以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)8 | 80円 | |||||
85以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)9 | 90円 | |||||
95以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)10 | 100円 | |||||
125以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)11 | 150円 | |||||
175以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)12 | 200円 | |||||
225以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)13 | 250円 | |||||
275以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)14 | 300円 | |||||
325以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)15 | 350円 | |||||
375以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)16 | 400円 | |||||
425以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)17 | 450円 | |||||
475以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)18 | 500円 |
※月1回に限り算定可能
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定要件
地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションが医療従事者の賃金の改善を図る体制にあること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を算定している利用者1人につき、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分に従い、所定額を算定すること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出をしている訪問看護ステーションであること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)で算定される金額の見込みが、「対象職員の給与総額」から「医療保険の利用者割合」を乗じた数の1.2%未満(1分2厘未満)であること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の訪問看護ステーションごとの区分については、以下【A】の計算式に基づき、該当する区分のいずれかを届け出ること
「対象職員の給与総額」は、直近12か月の1月あたりの平均の数値を用いること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込みは、「訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)」の算定回数を用いて計算し、直近3か月における1か月あたりの平均値を用いること
毎年3、6、9、12月に訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定式により新たに算出を行い、区分に変更がある場合は地方厚生局長等に届け出ること
上記区分の変更については、前回届け出た時点と比較し以下のいずれの変化も1割以内である場合は、区分の変更を行わないこと
直近3か月の計算式【A】の計算結果
対象職員の給与総額
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込み
当該評価料を算定する場合は、2024年度(令和6年度)および2025年度(令和7年度)に対象職員の賃金の改善を実施すること
基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で賃金改善を行い、基本給または毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ること
2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)における訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金の改善にかかわる計画を作成していること
前号の計画に基づく職員の賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告すること
対象職員が常勤換算で2人以上勤務していること
主に保険診療等から収入を得る訪問看護ステーションであること
【A】の計算式
(対象職員の給与総額×医療保険の利用者割合×1.2% ー「 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)」により算定される金額の見込み)÷ 「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)」の算定回数の見込み
訪問看護ベースアップ評価料の計算については、厚生労働省の「ベースアップ評価料計算支援ツール(訪問看護)」をご参照ください。
訪問看護基本療養費は現行通り
訪問看護の基本療養費の算定料に変更はありませんでした。
現行の基本療養費について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
訪問看護基本療養費の加算の改定
訪問看護基本療養費の加算の改定について見ていきましょう。
緊急訪問看護加算
緊急の指定訪問看護を適切に提供する観点から、緊急訪問看護加算の要件と評価とともに、訪問看護療養費請求書等の記載内容が見直されました。
現行 | 改定後 | ||
緊急訪問看護加算 | 2,650円/日 | 月14日目まで | 2,650円/日 |
月15日目以降 | 2,000円/日 |
緊急訪問看護加算の算定要件・施設基準等の変更点
これまでの算定要件に加え、以下の内容が追加されました。
利用者又はその家族等からの電話等による緊急の求めに応じ、主治医の指示により緊急に訪問看護を実施した際は、日時、内容及び対応状況を訪問看護記録書に記録する
加算を算定する理由を訪問看護療養費明細書に記載する
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p32|厚生労働省)
乳幼児加算
乳幼児の状態に応じた評価を行う観点から、乳幼児加算の算定区分、算定料について見直しが行われました。
現行 | 改定後 | ||
乳幼児加算 | 1,500円/日 | 別に厚生労働大臣が定める者に該当する場合 | 1,800円/日 |
上記以外の場合 | 1,300円/日 |
乳幼児加算の算定要件・施設基準等の変更点
今回の見直しにより、通常の乳幼児加算は算定料が下がり、新しい区分である「厚生労働大臣が定める者」に当てはまる場合は算定料が上がりました。
また、施設基準については「厚生労働大臣が定める者」に関する条件が以下の通り新設されました。
超重症児又は準超重症児
特掲診療料の施設基準等別表第七に該当する疾病等の小児
特掲診療料の施設基準等別表第八に該当する小児
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p34|厚生労働省)
訪問看護管理療養費の改定
訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から、訪問看護管理療養費の要件及び評価の見直しが行われました。
訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)
現行 | 改定後 | |
機能強化型訪問看護管理療養費1 | 12,830円 | 13,230円 |
機能強化型訪問看護管理療養費2 | 9,800円 | 10,030円 |
機能強化型訪問看護管理療養費3 | 8,470円 | 8,700円 |
1~3以外の場合 | 7,440円 | 7,670円 |
訪問看護管理療養費の算定要件・施設基準等の変更点
機能強化型訪問看護管理療養費1 については、これまでの基準に加え、以下の要件が追加されました。
専門の研修を受けた看護師が配置されていること
訪問看護管理療養費(月の2日目以降の訪問の場合)
現行 | 改定後 | ||
訪問看護管理療養費
(月の2日目以降の訪問の場合) |
3,000円/日 | 訪問看護管理療養費1 | 3,000円/日 |
訪問看護管理療養費2 | 2,500円/日 |
訪問看護管理療養費の算定要件・施設基準等の変更点
月の2日目以降の訪問における訪問看護管理療養費の区分が新設されました。
以下の条件に該当する場合は、訪問看護管理療養費1を算定することになります。
訪問看護ステーションの利用者のうち、同一建物居住者の占める割合が7割未満で、次のいずれかに該当する
別表第7、第8に該当する者への訪問看護について相当な実績がある
精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうち、GAF尺度:40以下の利用者の数が月に5人以上である
以下の条件に該当する場合は、訪問看護管理療養費2を算定することになります。
訪問看護ステーションの利用者のうち、同一建物居住者の占める割合が7割以上であること
同一建物居住者の占める割合が7割未満であり、以下条件に該当しないこと
別表第7、第8に該当する者への訪問看護について相当な実績がある
精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうち、GAF尺度:40以下の利用者の数が月に5人以上である
訪問看護管理療養費に関する経過措置
訪問看護管理療養費を算定するには全ての訪問看護ステーションで届出をしなければいけません。ただし、今回の改定では経過措置が設けられました。
2024年(令和6年)3月31日の時点で指定訪問看護事業を行う事業所については、同年9月30日までは訪問看護管理療養費1の基準に該当するものとみなされます。
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p31|厚生労働省)
訪問看護管理療養費の加算の改定
ここからは、訪問看護管理療養費の加算の改定内容について見ていきましょう。
(新設)訪問看護医療DX情報活用加算
居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されることを踏まえ、情報を活用して質の高い医療を提供することにかかわる評価が新設されました。
※医療機関からの訪問看護においても同名の加算が新設されていますが、この記事では訪問看護ステーションで算定できる報酬について解説します。
算定料 | |
訪問看護医療DX情報活用加算(新設) | 50円/月 |
訪問看護医療DX情報活用加算の算定要件、施設基準等
算定要件は以下の通りです。
厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届け出た訪問看護ステーションの看護師等が、オンライン資格確認により利用者の診療情報を取得し訪問看護の実施に関する計画的な管理を行う
施設基準は以下の通りです。
オンライン請求を行っている
オンライン資格確認資格確認を行う体制が整っている
2の体制に関する事項と、質の高い訪問看護を実施するための十分な情報を取得・活用して訪問看護を行うことについて、ステーションの見やすい場所に掲示している
3の掲示事項について、原則ウェブサイトに掲載している
訪問看護医療DX情報活用加算の経過措置
2024年(令和6年)3月31日の時点で指定を受けている訪問看護ステーションについては、2025年(令和7年)5月31日までの間に限り、上記施設基準の4に該当するものとみなされます。
(参考:訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件,p5|厚生労働省)
24時間対応体制加算
24時間対応体制加算では、看護業務の負担軽減のための取り組みを行った場合を評価する区分が新設されました。
現行 | 改定後 | ||
24時間対応体制加算 | 6,400円 | 24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取り組みを行っている場合 | 6,800円 |
上記以外の場合 | 6,520円 |
24時間対応体制加算の算定要件・施設基準等の変更点
24時間対応体制加算を算定するにあたり、「24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取り組みを行っている場合」とは、以下の1または2を含む2つ以上の取り組みを行っていることを指します。
夜間対応を行った翌日の勤務間隔を確保している
夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)までである
夜間対応後に暦上の休日を確保している
夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制を工夫している
ICTやAI、IoT等の活用による業務負担軽減を行っている
オンコール当番を担当する者への支援体制を確保している
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p26|厚生労働省)
退院支援指導加算の算定要件の見直し
退院日の利用者の状態や、訪問看護の提供状況などに応じた評価を充実させる観点から、退院支援指導加算の要件が見直しとなりました。
退院支援指導を要する者が退院する際に、看護師等が長時間の訪問を要する療養上の指導を行った場合の条件が以下の通り変更されています。
【改定前】
長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合に限る
【改定後】
長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合または複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合に限る
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p33|厚生労働省)
訪問看護の診療報酬に係るその他の改定
24時間対応にかかわる連絡体制の取扱い見直し
これまでは、機能強化型訪問看護管理療養費3の届出を行っている訪問看護ステーションにおいて24時間対応体制に係る連絡相談を行う担当者は、「原則訪問看護ステーションの保健師または看護師とし、勤務体制等を明確にすること」とされていました。
今回の改定では、24時間対応体制に係る連絡相談に支障がない体制を構築している場合には、24時間対応体制に係る連絡相談を担当する者が訪問看護ステーションの保健師または看護師以外の職員でも差し支えないという規定が追加されました。
ただし以下のいずれの条件にも該当する必要があります。
看護師等以外の職員が利用者や家族等からの電話等による連絡及び相談に対応する際のマニュアルが整備されている
緊急の訪問看護の必要性の判断を看護師等が速やかに行える連絡体制及び緊急の訪問看護が可能な体制が整備されている
当該訪問看護ステーションの管理者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員の勤務体制及び勤務状況を明らかにする
看護師等以外の職員が電話等により連絡及び相談を受けた際は看護師等へ報告し、報告を受けた看護師等が報告内容を訪問看護記録書に記録する
上記1から4について利用者及び家族等に説明し、同意を得る
指定訪問看護事業者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員に関して地方厚生(支)局長に届け出る
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p28|厚生労働省)
別表第8の見直し
別表第8は、以下のように一部対象となる状態について見直しがありました。
(令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p40|厚生労働省を基に画像を作成)
訪問看護指示書の記載事項及び様式見直し
より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進する観点から、訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式が見直しとなりました。
新しい様式では、訪問看護指示書、精神科訪問看護指示書の「主たる傷病名」の箇所に、「傷病名コード」の記載項目が追加されています。
訪問看護指示書の様式は、厚生労働省の以下資料38ページをご参照ください。
*診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(医科点数表)様式,p38|厚生労働省
訪問看護の人員、設備、運営の基準、その他の改定
訪問看護ステーションにおける管理者の責務の明確化
訪問看護ステーションを効率的に運営する観点から、管理者の責務を明確化し、訪問看護ステーションの管理上支障がない場合には、同時に他の指定訪問看護ステーション等を管理できるよう、人員および運営基準が見直しとなりました。
人員基準・運営基準の変更点
訪問看護ステーションの管理者については、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合に「同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することが可能」と定められていましたが、今回の改定で「同一敷地内」という条件が削除されました。
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p35|厚生労働省)
明細書の無料発行を義務付け
利用者にとって分かりやすい医療を実現する観点から、令和6年6月より指定訪問看護事業者による明細書の無料発行が義務化され、これに伴い人員及び運営に関する基準が改正されました。
人員基準、運営基準の変更点
「明細書の交付」の項目に以下内容が追加されました。
利用者から利用料の支払を受けるときは、当該費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付しなければならない
公費負担医療を担当した場合、費用の請求に係る計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付しなければならない
経過措置
明細書発行の義務化については、領収証兼明細書に変更するシステム改修に必要な期間を考慮し、2025年(令和7年)年5月31日までの経過措置期間が設けられます。
書面掲示事項のウェブサイトへの掲載
デジタル原則に基づき書面掲示についてインターネットでの閲覧が可能な状態にすることを義務付けするよう求められていることから、指定訪問看護事業者における書面掲示について、原則ウェブサイトへの掲載が必須となりました。
人員基準、運営基準の変更点
これに伴い、「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」の第24条は以下のように変更されました。
指定訪問看護ステーションの見やすい場所に、運営規程の概要や看護師等の勤務の体制、その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に必要な「重要事項」を掲示しなければならない
(新設)指定訪問看護事業者は、原則として「重要事項」をウェブサイトに掲載しなければならない
経過措置
書面掲示のウェブサイトへの掲載の義務化については、2025年(令和7年)5月31日まで経過措置が設けられます。
虐待防止及び身体的拘束等の適正化の推進
身体的拘束等の適正化を推進する観点から、訪問看護の「具体的取扱方針」に身体的拘束等の原則禁止や、やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合の記録義務に関する事項が追加されました。
人員基準、運営基準の変更点
「指定訪問看護の具体的取扱方針」の第15条に以下の事項が追加されています。
訪問看護の提供に当たっては、利用者等の生命・身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限することを行ってはならない
身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行う場合に、その態様や時間、利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護),p36|厚生労働省)
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。
具体的な解釈や申請等については、都度厚生労働省を含む公的機関等の最新情報を基にご判断をいただきますようお願いいたします。
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