【2024年度改定対応】訪問看護のベースアップ評価料をわかりやすく解説!【医療保険】
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この記事は2024年度診療報酬改定時の情報をもとに執筆しています


株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
2024年度の診療報酬改定では、医療従事者の賃金改善を目的とした「ベースアップ評価料」が新設されました。この記事では、訪問看護における医療保険請求の「ベースアップ評価料」の算定要件について解説します。
訪問看護のベースアップ評価料とは?
訪問看護のベースアップ評価料とは、「訪問看護管理療養費」を算定する利用者1人につき訪問看護ベースアップ評価料として月1回まで算定できるものです。
訪問看護のベースアップ評価料1と訪問看護のベースアップ評価料2の違いとは?
ベースアップ評価料(Ⅰ)は一律の算定額である一方、ベースアップ評価料(Ⅱ)は(Ⅰ)で賃金増率が1.2%に達しない場合に算定できる追加的な評価になります。
ベースアップ評価料が対象となる職種
訪問看護のベースアップ評価料の対象となるのは主に以下の職種です。事務職員のような、事務業務を専業とする職種は対象にならないので注意しましょう。
看護師
保健師
准看護師
看護補助者
理学療法士
作業療法士
精神保健福祉士
言語聴覚士
など
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訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)
訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)を算定している利用者1人につき、月1回に限り算定が可能です。
区分 | 算定料 |
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) | 780円/月 |
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の算定要件
ベースアップ評価料の算定に関する届出を行った訪問看護ステーションが、主として医療に従事する職員の賃金改善を図る体制にある場合
(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件,p12|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の留意点
賃金改善を行ったとして評価されるのは、管理者を除く医療従事者であること。
訪問看護ベースアップ評価料の届出を行ったステーションの利用者に対して、訪問看護を継続して実施し管理を行った場合に算定できる。
(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知),p25|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の施設基準
主に医療に従事する職員(医療従事者)が勤務していること
本評価料を算定する場合、2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)に対象となる医療従事者の賃金の改善を実施すること
基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で賃金改善を行い、基本給または毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ること
対象職員の基本給または毎月支払われる手当を2023年度(令和5年度)と比較して一定水準以上引き上げた場合、事務職員等の賃金の改善を行うことができること
2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)における訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金の改善にかかわる計画を作成していること
計画に基づく職員の賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告すること
(参考:令和6年度診療報酬改定の概要 賃上げ・基本料の引き上げ,p17|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を算定している利用者1人につき、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の計算結果のスコア(区分)に従い算定が可能です。算定は月1回までです。
スコア(計算結果) | 区分 | 算定料 |
0を超える | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)1 | 10円 |
15以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)2 | 20円 |
25以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)3 | 30円 |
35以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)4 | 40円 |
45以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)5 | 50円 |
55以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)6 | 60円 |
65以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)7 | 70円 |
75以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)8 | 80円 |
85以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)9 | 90円 |
95以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)10 | 100円 |
125以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)11 | 150円 |
175以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)12 | 200円 |
225以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)13 | 250円 |
275以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)14 | 300円 |
325以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)15 | 350円 |
375以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)16 | 400円 |
425以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)17 | 450円 |
475以上 | 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)18 | 500円 |
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定要件
主として医療に従事する職員の賃金の改善を図る体制にある場合には、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を算定している利用者1人につき、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)として、当該基準に係る区分に従い、月1回に限り、それぞれ所定額を算定する。
(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件,p13|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の留意点
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は、当該訪問看護ステーションに勤務する対象職員の賃金のさらなる改善を必要とする場合において、賃金の改善を実施することについて評価したものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす訪問看護ステーションの利用者に対して、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を継続して行った場合に算定できる。
(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知),p26|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出をしている訪問看護ステーションであること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)で算定される金額の見込みが、「対象職員の給与総額」×「医療保険の利用者割合」の1.2%未満であること
※同月に医療保険と介護保険の給付を受ける利用者は、医療保険利用者として扱う
※区分番号02の1は訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)のこと
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の訪問看護ステーションごとの区分については、以下【A】の計算式に基づき、該当する区分のいずれかを届け出ること
「対象職員の給与総額」は、直近12か月の1月あたりの平均の数値を用いること
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込みは、「訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)」の算定回数を用いて計算し、直近3か月における1か月あたりの平均値を用いること
毎年3、6、9、12月に訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定式により新たに算出を行い、区分に変更がある場合は地方厚生局長等に届け出ること
上記区分の変更については、前回届け出た時点と比較し以下のいずれの変化も1割以内である場合は、区分の変更を行わないこと
- ・直近3か月の計算式【A】の計算結果
- ・対象職員の給与総額
- ・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み
- ・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込み
当該評価料を算定する場合は、2024年度(令和6年度)および2025年度(令和7年度)に対象職員の賃金の改善を実施すること
基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で賃金改善を行い、基本給または毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ること
2024年度(令和6年度)及び2025年度(令和7年度)における訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金の改善にかかわる計画を作成していること
前号の計画に基づく職員の賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告すること
対象職員が常勤換算で2人以上勤務していること
主に保険診療等から収入を得る訪問看護ステーションであること
訪問看護ベースアップ評価料の計算方法
訪問看護ベースアップ評価料の算定にあたって必要となる加算後の昇給額などを簡単に試算できる、厚生労働省提供の計算支援ツールが公開されています。対象職員の給与や利用者の人数などを入力するとベースアップ評価料(Ⅱ)が算定できるかどうか自動で計算できるので活用するとよいでしょう。
訪問看護ベースアップ評価料の計算については、厚生労働省のベースアップ評価料計算支援ツール(訪問看護)をご参照ください。
訪問看護ベースアップ評価料の届出基準
(Ⅰ)(Ⅱ)に共通する届出に関するルール
届出については、別紙様式11を用いること。
「賃金改善計画書」を別紙様式11別添1により新規届出時および毎年4月に作成し、新規届出時および毎年6月において、地方厚生(支)局長に届け出ること。
また、毎年8月において、前年度における賃金改善の取組状況を評価するため、「賃金改善実績報告書」を別紙様式11別添2により作成し、地方厚生(支)局長に報告すること。
事業の継続を図るため、対象職員の賃金水準(訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)による賃金改善分を除く。)を引き下げた上で、賃金改善を行う場合には、当該訪問看護ステーションの収支状況、賃金水準の引下げの内容等について記載した「特別事情届出書」を、別紙様式11別添3により作成し、届け出ること。
年度を超えて対象職員の賃金を引き下げることとなった場合は、次年度に「賃金改善計画書」を提出する際に、「特別事情届出書」を再度届け出る必要があること。
当該基準に係る届出を行う訪問看護ステーションは、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の算定に係る書類(「賃金改善計画書」等の記載内容の根拠となる資料等)を、当該評価料を算定する年度の終了後3年間保管すること。
(参考:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(通知),p14|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出基準
以下が、訪問看護ベースアップ評価料の届出様式です。
(参考:6.訪問看護ベースアップ評価料の届出について|厚生労働省)
以下全ての要件を満たす場合、届出が可能です。
主に医療に従事する職員(管理者を除く)が勤務していること。専ら事務作業(看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業以外)を行うものは含まれない。
2024年度~2025年度において対象職員の賃金改善(※1)を実施しなければならない。
この評価料を対象職員のベースアップ等(※2)の増加分に用いること。ただし利用者数等の変動等により、この評価料による収入が増加分に用いた額を上回り、追加でベースアップ等を行うことが困難な場合に、賞与等の手当によって賃金の改善を実施した場合や2024年度~2025年度において翌年度の賃金改善のために繰り越しを行う場合(※3)についてはこの限りではない。
2024年度に対象職員の基本給等を前年度と比較して2.5%以上引き上げ、2025年に対象職員の基本給等を2023年度と比較して4.5%以上引き上げた場合については、事務職員等の当該訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金の改善を実績に含めることができること。
令和6年度及び令和7年度における「賃金改善計画書」を作成していること。
当該訪問看護ステーションは、当該評価料の趣旨を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。
当該訪問看護ステーションは、対象職員に対して、賃金改善を実施する方法等について、届出に当たり作成する「賃金改善計画書」の内容を用いて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知すること。また、対象職員から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。
※1 対象職員の賃金は役員報酬を除く。また賃金改善は、定期昇給によるものを除く。
※2 賃金改善を目的としたベースアップ伴う賞与、時間外手当、法定福利費等(事業者負担分等を含む)等
※3 令和8年12月までに賃金の改善措置を行う場合に限る
賃金の改善はどのように証明するのか?
賃金の改善は、以下の1と2の差分によって判断されます。
ベースアップ評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額
当該評価料による賃金の改善措置が実施された場合の賃金総額
いずれの場合においても、賃金の改善の対象とする項目を特定して行うことと定められています。また、この評価料によって賃金改善を実施する項目以外の賃金項目の水準を低下させてはいけないことも届出基準に明記されていますので、注意しましょう。
届出後は賃金改善計画書、賃金改善実績報告書の提出が必要
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届け出ている場合
①賃金改善計画書の提出
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ている訪問看護ステーションは、「賃金改善計画書」を毎年4月に作成して、6月30日までに地方厚生(支)局に届け出る必要があります。「賃金改善計画書」は、評価料Ⅰ専用届出様式を使用し、都道府県ごとに指定されているメールアドレス宛に提出します。
②賃金改善実績報告書の提出
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ている訪問看護ステーションは、前年度分の「賃金改善実績報告書」を作成して、8月31日までに地方厚生(支)局に届け出る必要があります。「賃金改善実績報告書」は報告書専用様式を使用して、都道府県ごとに指定されているメールアドレス宛に提出します。
※2025年1月に従来版より簡素化された様式が出たので以下を使うと良いでしょう。
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)専用届出様式作成の手引き【令和7年1月改定版】|厚生労働省)
届出後の流れや記載内容については以下の資料を参考にしてください。
ベースアップ評価料届出後に行っていただきたいこと ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届出している医療機関・ステーション向け|厚生労働省
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)を届け出ている場合
①賃金改善計画書の提出
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)を届け出ている訪問看護ステーションは、「賃金改善計画書」を毎年4月に作成して、6月30日までに地方厚生(支)局に届け出る必要があります。「賃金改善計画書」は、は従来版様式を使用し、都道府県ごとに指定されているメールアドレス宛に提出します。
②賃金改善実績報告書の提出
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)を届け出ている訪問看護ステーションは、前年度分の「賃金改善実績報告書」を作成して、8月31日までに地方厚生(支)局に届け出る必要があります。「賃金改善実績報告書」は報告書専用様式もしくは従来版様式を使用して、都道府県ごとに指定されているメールアドレス宛に提出します。
届出後の流れや記載内容については以下の資料を参考にしてください。
ベースアップ評価料届出後に行っていただきたいこと 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)を届出しているステーション向け|厚生労働省
(参考:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(通知),p14-15|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の届出基準
次のいずれの要件にも該当すること。
ア 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行っている訪問看護ステーションであること。
イ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込みが、対象職員の給与総額に当該訪問看護ステーションの利用者の数に占める医療保険制度の給付の対象となる訪問看護を受けた者の割合(以下「医療保険の利用者割合」とする。)を乗じた数の1分2厘未満であること。ただし、同一月に医療保険制度と介護保険制度の給付の対象となる訪問看護を受けた者については、医療保険制度の給付による場合として取り扱うこと。
ウ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の訪問看護ステーションごとの区分については、当該訪問看護ステーションにおける対象職員の給与総額、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み並びに訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込みを用いて算出した数【A】に基づき、別表2に従い該当する区分のいずれかを届け出ること。
エ ウについて、算定を行う月、その際に用いる「対象職員の給与総額」及び「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み」の対象となる期間、算出した【A】に基づき届け出た区分に従って算定を開始する月は別表3のとおりとする。
「対象職員の給与総額」は、別表3の対象となる12か月の期間の1月あたりの平均の数値を用いること。「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み」及び「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込み」は、訪問看護管理療養費(月の初日の訪問の場合)の算定回数を用いて計算し、別表3の対象となる3か月の期間の1月あたりの平均の数値を用いること。また、別表3のとおり、毎年3、6、9、12月に上記の算定式により新たに算出を行い、区分に変更がある場合は算出を行った月内に地方厚生局(支)長に届出を行った上で、翌月(毎年4、7、10、1月)から変更後の区分に基づく金額を算定すること。なお、区分の変更に係る届出においては、「当該評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額」によって対象職員の賃金総額を算出すること。ただし、前回届け出た時点と比較して、別表3の対象となる12か月の「対象職員の給与総額」並びに別表7の対象となる3か月の「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み」、「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込み」及び【A】のいずれの変化も1割以内である場合においては、区分の変更を行わないものとすること。新規届出時(区分変更により新たな区分を届け出る場合を除く。以下この項において同じ。)は、直近の別表3の「算出を行う月」における対象となる期間の数値を用いること。ただし、令和6年6月3日までに届出を行った場合は、令和6年6月に区分の変更を行わないものとすること。
オ 当該評価料を算定する場合は、令和6年度及び令和7年度において対象職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるものを除く。)を実施しなければならない。
カ オについて、ベア等により改善を図るため、当該評価料は、対象職員のベア等及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む。)等の増加分に用いること。ただし、ベア等を行った訪問看護ステーションにおいて、利用者数等の変動等により当該評価料による収入が上記の増加分に用いた額を上回り、追加でベア等を行うことが困難な場合であって、賞与等の手当によって賃金の改善を行った場合又は令和6年度及び令和7年度において翌年度の賃金の改善のために繰り越しを行う場合(令和8年12月までに賃金の改善措置を行う場合に限る。)についてはこの限りではない。また、いずれの場合においても、賃金の改善の対象とする項目を特定して行うこと。なお、当該評価料によって賃金の改善を実施する項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならない。また、賃金の改善は、当該訪問看護ステーションにおける「当該評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額」と、「当該評価料による賃金の改善措置が実施された場合の賃金総額」との差分により判断すること。
キ 令和6年度及び令和7年度における「賃金改善計画書」を作成していること。
ク 常勤換算2人以上の対象職員が勤務していること。ただし、「基本診療料の施設基準等」別表第6の2に掲げる地域に所在する訪問看護ステーションにあっては、この限りではない。
ケ 当該訪問看護ステーションにおいて、以下に掲げる社会保険診療等に係る収入金額(以下「社会保険診療等収入金額」という。)の合計額が、総収入の100分の80を超えること。
コ 当該訪問看護ステーションは、当該評価料の趣旨を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。
サ 当該訪問看護ステーションは、対象職員に対して、賃金改善を実施する方法等について、届出に当たり作成する「賃金改善計画書」の内容を用いて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知すること。また、対象職員から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。
(参考:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(通知),p15-17|厚生労働省)
訪問看護ベースアップ評価料に関する疑義解釈(Q&A)
Q.
「診療報酬の算定方法」別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)における「O100」外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、「O101」外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)及び「O102」入院ベースアップ評価料、「診療報酬の算定方法」別表第二歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)における「P100」歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、「P101」歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)及び「P102」入院ベースアップ評価料並びに「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」における「06」訪問看護ベースアップ評価料(以下単に「ベースアップ評価料」という。)の施設基準において、「令和6年度及び令和7年度において対象職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるものを除く。)を実施しなければならない。」とあるが、ベースアップ評価料による収入について、人事院勧告に伴う給与の増加分に用いてよいか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問1)A.
差し支えない。
Q.
「看護職員処遇改善評価料の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年9月5日事務連絡)別添の問18において、「A500」看護職員処遇改善評価料について、賃金改善に伴い増加する賞与、時間外勤務手当等、法定福利費等の事業者負担分及び退職手当については、「基本給等の引き上げにより増加した分については、賃金改善の実績額に含めてよい。ただし、ベア等には含めないこと。」とされていたが、ベースアップ評価料についても同様か。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問2)A.
ベースアップ評価料は、対象職員のベア等及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む)等の増加分に用いること。
Q.
看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料において、対象職員の賃金の改善措置を実施する具体的方法(金額・割合等)について、職員に応じて区分することは可能か。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問4)A.
可能。各保険医療機関又は訪問看護ステーションの実情に応じて、賃金の改善措置の方法を決定すること。
Q.
看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料において、基本給等について、常勤職員へは当月払いし、非常勤職員へは翌月払いしている場合、賃金の実績額及び改善実施期間はどのように判断すべきか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問5)A.
いずれについても、基本給等の支払われた月ではなく、対象となった月で判断する。
Q.
ベースアップ評価料の施設基準において、対象職員に対して、賃金改善を実施する方法等について、『賃金改善計画書』の内容を用いて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知することとされているが、周知の具体的方法如何。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問7)A.
例えば、「賃金改善計画書」及び就業規則等を書面で配布する方法や職員が確認できる箇所に掲示する方法が挙げられる。
Q.
ベースアップ評価料について、区分変更を行う場合はどのような届出が必要か。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問8)A.
訪問看護ステーションについては、「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準に係る届出書添付書類」が必要
Q.
「O100」外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、「P100」歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、「06」訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の施設基準において、令和6年度に対象職員の基本給等を令和5年度と比較して2分5厘以上引き上げ、令和7年度に対象職員の基本給等を令和5年度と比較して4分5厘以上引き上げた場合については、40歳未満の勤務医、勤務歯科医、事務職員等の当該保険医療機関又は当該訪問看護ステーションに勤務する職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるものを除く。)を実績に含めることができることとされているが、基本給等の引き上げ率についてどのように考えればよいか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問9)A.
引き上げ率の確認については、次のいずれかの方法で行うこと。
①給与表等に定める対象職員の基本給等について、令和5年度と比較し、令和6年度に2.5%又は令和7年度に4.5%の引き上げになっているかを確認する。
②以下の計算式により基本給等の改善率を算出する。
Q.
問9について、給与表等の存在しない医療機関又は訪問看護ステーションにおいて、令和5年度と令和6年度及び令和7年度を比較して対象職員の変動がある場合、計算式中の対象職員の基本給等の総額について、どのように考えたらよいか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問10)A.
令和5年度及び令和6年度又は令和7年度のいずれの年度においても在籍している対象職員について、計算式に則り算出を行う。ただし、いずれの年度においても在籍している対象職員が存在しない等の理由でこの方法による算出が困難な場合においては、各年度における全ての対象職員の基本給等の総額を用いて算出を行ってもよい。
Q.
ベースアップ評価料において、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和6年3月5日保医発0305第6号)の別表4のミ及び「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」(令和6年3月5日保医発0305第7号)の別表1のミ「その他医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く。)」とは、具体的にどのような職員か。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問11)A.
別表4又は別表1のア~マに該当しない職種の職員であって、医療機関又は訪問看護ステーションにおける業務実態として、主として医療に従事しているものを指す。ただし、専ら事務作業(医師事務作業補助者、歯科業務補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業を除く。)を行うものは含まれない。
Q.
看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料についての施設基準における対象職員には、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別表4又は「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」別表1に含まれる職種であって、派遣職員など、当該保険医療機関又は当該訪問看護ステーションに直接雇用されていないものも含むのか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問12)A.
別対象とすることは可能。ただし、賃金改善を行う方法等について派遣元と相談した上で、「賃金改善計画書」や「賃金改善実績報告書」について、対象とする派遣労働者を含めて作成すること。
Q.
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準において、「【B】に基づき、別表5に従い該当するいずれかの区分を届け出ること。」とあるが、「該当するいずれかの区分」について、どのように考えればよいか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問13)A.
例えば、【B】の値が3.0である場合については、保険医療機関(医科)は「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)1」、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)2」又は「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)3」のいずれか、保険医療機関(歯科)は「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)1」、「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)2」又は「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)3」のいずれかを届け出ることができる。なお、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)についても同様の取扱いとなる。
Q.
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料及び訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準における「国、地方公共団体及び保険者等が交付する補助金等に係る収入金額」について、具体的な範囲如何。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問14)A.
国、地方公共団体及び保険者等が交付する収入金額であって、保険医療機関等に交付されているものを指す。例えば、地方自治体による単独の補助事業、保険者が委託する健診、病院の運営に当てられる地方自治体からの繰入金等が含まれる。
Q.
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料及び訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の施設基準において、「常勤換算2名以上の対象職員が勤務していること。」とされているが、当該保険医療機関又は当該訪問看護ステーションの職員の退職又は休職等により、要件を満たさなくなった場合についてどのように考えれば良いか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問15)A.
常勤換算の職員が2名を下回った場合は、速やかに地方厚生(支)局長に届出の変更を行い、当該変更の届出を行った日の属する月の翌月から算定を行わないこと。ただし、暦月で3か月を超えない期間の一時的な変動の場合はこの限りではない。
Q.
看護職員処遇改善評価料、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料)(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料及び訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の対象となる職員には、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条に規定する休業、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第 76 号。以下「育児・介護休業法」という。)第2条第1号に規定する育児休業、同条第2号に規定する介護休業又は育児・介護休業法第23条第2項に規定する育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは育児・介護休業法第24条第1項の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業を取得中の職員等も含むのか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問16)A.
含まない。
Q.
看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料において、賃金改善に伴い増加する法定福利費等について、どのような範囲を指すのか。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問17)A.
次の①及び②を想定している。
①健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料等における、賃金改善に応じた増加分(事業者負担分を含む。) ②退職手当共済制度等における掛金等が増加する場合の増加分(事業者負担分を含む。)
Q.
看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料の施設基準において、「対象医療機関は、当該評価料の趣旨を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。」とあるが、具体的にどのような対応が必要か。
(引用元:事務連絡/疑義解釈資料の送付について(抜粋)|厚生労働省,問18)A.
当該評価料による賃金改善を行うための就業規則等の変更について労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことや、賃金改善に当たって正当な理由なく差別的な取扱いをしないことなど、労働基準法やその他関係法令を遵守した対応が必要である。その他、賃金改善を行うための具体的な方法については、労使で適切に話し合った上で決定することが望ましい。
まとめ
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。
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