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ターミナルケア加算とは?【2021年度改定対応】

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ターミナルケア加算とは?【2021年度改定対応】
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

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看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

ターミナルケア加算とは、ターミナルケアを行う体制を整え、ターミナル期の利用者にターミナルケアを実施することを評価する加算です。
令和3年度の介護報酬改定では、介護老人保健施設のターミナルケア加算について、中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、加算の区分の新設と算定要件の変更がありました。
この記事では、ターミナルケア加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

ターミナルケア加算の該当する介護サービス種別

  • 訪問看護

  • 介護老人保健施設

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

  • 看護小規模多機能型居宅介護

ターミナルケア加算の種類と単位数

介護サービス種別 期間 単位数
訪問看護 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合 2,000単位/月
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合 2,000単位/月
看護小規模多機能型居宅介護 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合 2,000単位/月
介護老人保健施設
(療養型以外)
死亡日以前31日以上45日以下 80単位/日
死亡日以前4日以上30日以下 160単位/日
死亡日以前2日又は3日 820単位/日
死亡日 1,650単位/日
介護老人保健施設
(療養型)
死亡日以前31日以上45日以下 80単位/日
死亡日以前4日以上30日以下 160単位/日
死亡日以前2日又は3日 850単位/日
死亡日 1,700単位/日

ターミナルケア加算の算定要件

訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算の算定要件

  • 24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問できる体制を整備していること

  • 体制の届出を行っていること

  • 主治医との連携の下に、ターミナルケアに係る計画、支援体制について利用者とその家族に説明し、同意を得てターミナルケアを行っていること

  • 死亡日、死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等の特定の利用者については1日)以上ターミナルケアを行っていること

  • ターミナルケアの提供について必要な事項が適切に記録されていること

介護老人保健施設のターミナルケア加算の算定要件

  • 対象となる入所者が、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断されていること

  • 入所者またはその家族等の同意を得て、入所者のターミナルケアに係る計画が作成されていること

  • 医師、看護職員、介護職員、支援相談員、管理栄養士等が共同して、入所者の状態または家族の求め等に応じ随時、本人またはその家族への説明を行い、同意を得てターミナルケアが行われていること

ターミナルケア加算の留意点

訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算の留意点

  • 利用者の死亡月に加算を算定します。

  • 1人の利用者につき、1ヵ所の事業所等だけがターミナルケア加算等(※1)を算定できます。

  • 1つの訪問看護ステーションにおいて、医療保険、介護保険における訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合には、最後に実施した保険制度におけるターミナルケア加算等を算定します。

  • ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療・介護関係者と十分な連携を図るように努めることが求められます。

介護老人保健施設のターミナルケア加算の留意点

  • ターミナルケアを受けた入所者が死亡した場合に、死亡日を含めて45日を上限として、ターミナルケアを評価するものです。死亡前に他の医療機関等に移った場合または自宅等に戻った場合には、当該施設においてターミナルケアを直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、ターミナルケア加算を算定することができません。

  • ターミナルケアに係る計画の作成及びターミナルケアにあたっては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針が実施できるよう、多職種が連携し、本人及びその家族と必要な情報の共有等に努めることが求められています。

  • 退所した月と死亡した月が異なる場合でもターミナルケア加算を算定できますが、ターミナルケア加算は死亡月にまとめて請求することになるので、退所の翌月に亡くなった場合に、前月分のターミナルケア加算に係る費用の請求を行うことがあることを説明して、文書にて同意を得ておくことが必要になります。

  • 施設退所の後も継続して入所者の家族指導等を行うことが求められています。

  • 外泊または退所の当日についてターミナルケア加算を算定できるかどうかは、所定単位数を算定するかどうかによります。

  • 本人またはその家族に対する随時の説明に係る同意について、口頭で同意を得た場合は、その説明日時や内容等を記録するとともに、同意を得た旨を記録する必要があります。

ターミナルケア加算のQ&A

平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日 問24 訪問看護
Q.

ターミナルケアの提供にあたり、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえることが示されているが、当該ガイドライン以外にどのようなものが含まれるのか。

A.

当該ガイドライン以外の例として、「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン人工的水分・栄養補給の導入を中心として(日本老年医学会)(平成23年度老人保健健康増進等事業)」等が挙げられるが、この留意事項通知の趣旨はガイドラインに記載されている内容等を踏まえ利用者本人及びその家族等と話し合いを行い、利用者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上、ターミナルケアを実施していただくことにあり、留意いただきたい。

(引用:平成30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日 問25 訪問看護
Q.

ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図るよう努めることとあるが、具体的にはどのようなことをすれば良いのか。

A.

ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図ることが必要であり、サービス担当者会議等における情報共有等が想定される。例えば、訪問看護師と居宅介護支援事業者等との連携の具体的な方法等については、「訪問看護の情報共有・情報提供の手引き~質の高い看取りに向けて~」(平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業訪問看護における地域連携のあり方に関する調査研究事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング))等においても示されており、必要に応じて参考にしていただきたい。

(引用:平成30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問35 訪問看護
Q.

死亡日及び死亡日前14日前に介護保険、医療保険でそれぞれ1回、合計2回ターミナルケアを実施した場合にターミナルケア加算は算定できるのか。

A.

算定できる。最後に実施した保険制度において算定すること。

(引用:平成24 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問180 看多機
Q.

ターミナルケア加算について、「死亡診断を目的として医療機関へ搬送し、24時間以内に死亡が確認される場合」とあるが、24時間以内とはターミナルケアを行ってから24時間以内という理解でよいか。

A.

ターミナルケアを行ってから24時間以内である。

(引用:平成24 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問220 老健
Q.

介護療養型老人保健施設において、入所者が施設内での看取りを希望しターミナルケアを行っていたが、やむを得ない事由により医療機関において亡くなった場合はターミナルケア加算を算定できるのか。

A.

介護療養型老人保健施設内で入所者の死亡日前30日において入所していた間で、ターミナルケアを実施していた期間については、やむを得ず医療機関で亡くなった場合であっても、ターミナルケア加算を算定できる。

(引用:平成24 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

平成21年度4月改定関係Q&A(Vol.2) 問17 訪問看護
Q.

死亡前14日以内に2回以上ターミナルケアをしていれば、医療機関に入院し24時間以内に死亡した場合にもターミナルケア加算を算定できるということか。

A.

ターミナルケアを実施中に、医療機関に搬送し、24時間以内に死亡が確認された場合に算定することができるものとする。

(引用:平成21年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)

介護療養型老人保健施設に係る介護報酬改定等に関するQ&A 平成20年4月21日 老健
Q.

介護療養型老人保健施設のターミナルケア加算を算定するに当たっては、当該加算は所定単位数(施設サービス費)に加算する構造となっている。ターミナルケア加算の算定の同意を得てターミナルケアを行っていたが、退所又は外泊(外泊加算を算定している場合を除く)により、死亡月に、施設サービス費を算定していない場合の取扱いは如何。

A.

ターミナルケア加算は、退所した後又は外泊(外泊加算を算定している場合を除く。)中に入所者が死亡した場合であっても、死亡前30日からそれらの日数を減じた日数について、実際に施設サービスにおいてターミナルケアを行っていた場合には加算できるものである。
当該加算は、原則として死亡月の施設サービス費に加算するものであるが、これらの退所又は外泊により、死亡月に施設サービス費を算定していない場合にあっては、遡って死亡前月の施設サービス費に加算することとする。
ただし、外泊加算は施設サービス費に代えて算定するものであることから、外泊加算を算定している場合にあっては、死亡月にターミナルケア加算を算定することとなる。

(引用:介護療養型老人保健施設に係る介護報酬改定等に関するQ&A

介護保険最新情報vol.151 介護報酬に係るQ&A 平成15年3月30日 訪問看護
Q.

介護保険の訪問看護の対象者が、急性増悪等により「特別訪問看護指示書」の交付を受けて医療保険の訪問看護を利用していた期間に死亡した場合の算定方法について

A.

死亡前24時間以内の訪問看護が医療保険の給付対象となる場合は、「ターミナルケア療養費」として医療保険において算定する。

(引用:介護報酬に係るQ&A訪問看護

最後に

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

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