加算減算

訪問看護のターミナルケア加算とは?【2024年度改定対応】【介護保険】

 更新日:

この記事は2024年度介護報酬改定時の情報をもとに執筆しています

訪問看護のターミナルケア加算とは?【2024年度改定対応】【介護保険】
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

ターミナルケア加算とは、ターミナルケアを行う体制を整え、ターミナル期の利用者にターミナルケアを実施することを評価する加算です。 2024年度の介護報酬改定では、単位数の変更がありました。

この記事では、ターミナルケア加算の単位数や算定要件、Q&Aについてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

ターミナルケア加算とは?

ターミナルケア加算は、在宅での看取りを推進するために、在宅で死亡したターミナル期の利用者に対してターミナルケアを提供することを評価する加算です。

2024年度介護報酬改定では、単位数が2,000単位から2,500単位に引き上げとなりました。

ターミナルケア加算の種類と単位数

ターミナルケア加算は、死亡日および死亡日前の14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に所定の単位数の算定が可能です。

※要介護者が対象であり、要支援者は算定対象外です。

加算の種類 単位数
ターミナルケア加算 2,500単位/月

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第86号),p86|厚生労働省

ターミナルケア加算の算定要件

  • 24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問できる体制を整備していること

  • 体制の届出を行っていること

  • 主治医との連携の下に、ターミナルケアに係る計画、支援体制について利用者とその家族に説明し、同意を得てターミナルケアを行っていること

  • 死亡日、死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等の特定の利用者については1日)以上ターミナルケアを行っていること

  • ターミナルケアの提供について必要な事項(以下の事項)が適切に訪問看護記録書に記録されていること

    • 終末期の身体状症状の変化、それに対する看護に関する記録

    • 療養や死別に関する利用者とその家族の精神的な状態の変化、それに対するケアの経過についての記録

    • 看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者とその家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントと対応の経過の記録

  • ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療関係者や介護関係者と十分な連携を図るよう努めること

特定の利用者とは?

ターミナルケア加算の算定要件の一つの「死亡日、死亡日前14日以内に2日(末期の悪性腫瘍等の特定の利用者については1日)以上ターミナルケアを行っていること」で言及されている『特定の利用者』とは、別に厚生労働大臣が定める状態に該当する利用者のことを示します。

利用者等告示・八「別に厚生労働大臣が定める状態」
  • 末期の悪性腫瘍

  • 多発性硬化症

  • 重症筋無力症

  • スモン

  • 筋萎縮性側索硬化症

  • 脊髄小脳変性症

  • ハンチントン病

  • 進行性筋ジストロフィー症

  • パーキンソン病関連疾患

    • 進行性核上性麻痺、

    • 脳皮質基底核変性症

    • パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)

  • 多系統萎縮症

    • 線条体黒質変性症

    • オリーブ橋小脳萎縮症

    • シャイ・ドレ―ガー症候群

  • プリオン病

  • 亜急性硬化性全脳炎

  • ライソゾーム病

  • 副腎白質ジストロフィー

  • 脊髄性筋萎縮症

  • 球脊髄性筋萎縮症

  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎

  • 後天性免疫不全症候群

  • 頚髄損傷

  • 人工呼吸器を使用している状態

  • 急性増悪その他利用者の主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要であると認める状態

(参考:「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」|厚生労働省

ターミナルケア加算の留意点

  • 在宅で死亡した利用者の死亡月に加算を算定する。ターミナルケアを最後に行った日が属する月と死亡した月が異なる場合には、死亡月に算定する。

  • 1人の利用者につき、1ヵ所の事業所等だけがターミナルケア加算等(※)を算定できる。

  • 1つの訪問看護ステーションにおいて、医療保険、介護保険における訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合には、最後に実施した保険制度におけるターミナルケア加算等を算定する。医療保険でターミナルケア療養費を算定した場合は介護保険のターミナルケア加算を算定できない

※ターミナルケア加算を算定した利用者については、定期巡回・随時対応サービスや看護小規模多機能型居宅介護におけるターミナルケア加算、医療保険のターミナルケア療養費は算定できないと定められています。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について,老企第36号)

ターミナルケア加算のQ&A

Q.

ターミナルケアの提供にあたり、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえることが示されているが、当該ガイドライン以外にどのようなものが含まれるのか。

A.

当該ガイドライン以外の例として、「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン人工的水分・栄養補給の導入を中心として(日本老年医学会)(平成23年度老人保健健康増進等事業)」等が挙げられるが、この留意事項通知の趣旨はガイドラインに記載されている内容等を踏まえ利用者本人及びその家族等と話し合いを行い、利用者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上、ターミナルケアを実施していただくことにあり、留意いただきたい。

(引用元:平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日 問24 訪問看護

Q.

ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図るよう努めることとあるが、具体的にはどのようなことをすれば良いのか。

A.

ターミナルケアの実施にあたっては、他の医療及び介護関係者と十分な連携を図ることが必要であり、サービス担当者会議等における情報共有等が想定される。例えば、訪問看護師と居宅介護支援事業者等との連携の具体的な方法等については、「訪問看護の情報共有・情報提供の手引き~質の高い看取りに向けて~」(平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業訪問看護における地域連携のあり方に関する調査研究事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング))等においても示されており、必要に応じて参考にしていただきたい。

(引用元:平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日 問25 訪問看護

Q.

死亡日及び死亡日前14日前に介護保険、医療保険でそれぞれ1回、合計2回ターミナルケアを実施した場合にターミナルケア加算は算定できるのか。

A.

算定できる。最後に実施した保険制度において算定すること。

(引用元:平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問35 訪問看護

Q.

死亡前14日以内に2回以上ターミナルケアをしていれば、医療機関に入院し24時間以内に死亡した場合にもターミナルケア加算を算定できるということか。

A.

ターミナルケアを実施中に、医療機関に搬送し、24時間以内に死亡が確認された場合に算定することができるものとする。

(引用元:平成21年度4月改定関係Q&A(Vol.2) 問17 訪問看護

Q.

介護保険の訪問看護の対象者が、急性増悪等により「特別訪問看護指示書」の交付を受けて医療保険の訪問看護を利用していた期間に死亡した場合の算定方法について

A.

死亡前24時間以内の訪問看護が医療保険の給付対象となる場合は、「ターミナルケア療養費」として医療保険において算定する。

(引用元:介護報酬に係るQ&A訪問看護

最後に

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

関連記事