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「訪問看護ステーションの指定」と「みなし指定(病院・診療所による訪問看護)」の違いとは?

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「訪問看護ステーションの指定」と「みなし指定(病院・診療所による訪問看護)」の違いとは?
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護事業の開業や事業展開を検討している皆様は、訪問看護事業を開始するために所轄官庁から事業者としての「指定」を受けなくてはならないことをご存知だと思います。

そして、この「指定」には、「介護保険の指定申請を行い、指定を受ける場合」と「指定を受けたものとしてみなされる場合(みなし指定)」があります。 この記事では、「指定」と「みなし指定」について、その内容と違いがわかるように説明していますので、ぜひご一読ください。

訪問看護の指定とは?

訪問看護事業は、看護職員が利用者の自宅等を訪問し、看護を中心としたサービスを提供します。このサービスは、介護保険法に基づくサービスや健康保険法に基づくサービスなので、それぞれを管轄する所轄官庁から事業を行うための「指定」を受ける必要があります。

介護保険法に基づくサービスを提供する場合は、都道府県知事(指定都市・中核市の市長)から「訪問看護(居宅サービス事業者)」と「介護予防訪問看護(介護予防サービス事業者)」の指定を受けます。

健康保険法に基づくサービスを提供する場合は、地方厚生局長(地方厚生支局長)から「指定訪問看護事業者」の指定を受けます。

訪問看護ステーションの指定申請について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

訪問看護のみなし指定とは?

訪問看護の「みなし指定」とは、「健康保険法の保険医療機関としての指定を受けている病院・診療所は、介護保険法における訪問看護の事業者として指定をされたものとみなされること」を指しています。

「みなし指定」により、保険医療機関(※)は、訪問看護、居宅療養管理指導、短期入所療養介護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションといった介護保険の居宅サービスを行うことができます。

※医療機関の科、療養病床の有無により提供できるサービスに違いはあります。

また、訪問看護事業では、介護保険の『指定』を受けることで、健康保険法の指定も受けたこととみなす規定もあります。そのため、特別な事情がない場合は、訪問看護ステーションを開設する場合は、介護保険の指定を受けることで、介護保険、健康保険のサービスを提供できることになります。

介護保険における訪問看護の「指定」と「みなし指定」の違いとは?

訪問看護ステーションとして指定を受ける場合と、医療機関(病院・診療所)がみなし指定を受ける場合では、「人員基準」、「設備基準」、「訪問看護の対象者」、「訪問看護指示書の有無」、「理学療法士等による訪問の可否」、「基本報酬・加算の単位数」に違いがあります。

これらの違いをわかりやすく表にしていますので、見ていきましょう。

訪問看護ステーション 病院・診療所(みなし指定)
人員基準 保健師、看護師または准看護師を常勤換算方法で『2.5名以上』配置。 保健師、看護師または准看護師を『適当数』配置。
設備基準 ①事業の運営に必要な広さの『事務室(併設事業所がある場合は、専用の区画)』を設ける。
②訪問看護の提供に必要な設備・備品を備える。
①事業の運営に必要な広さを有する『専用の区画』を確保している。
②訪問看護の提供に必要な設備・備品を備える。
対象者 訪問看護指示書を受けた方 当該病院・診療所で診療を受けている患者及び別の医療機関の医師から診療情報提供を受けた患者
訪問看護指示書 必要 不要(診療録に指示を記載)
基本報酬 20分未満:313単位
30分未満:470単位
30分以上60分未満:821単位
60分以上90分未満:1,125単位
20分未満:265単位
30分未満:398単位
30分以上60分未満:573単位
60分以上90分未満:842単位
理学療法士等による訪問 不可
緊急時訪問看護加算 574単位/1月 315単位/1月

(参考:訪問看護・介護予防 訪問看護の手引き|兵庫県

「みなし指定」と「訪問看護ステーション」を比較したメリット・デメリット

それでは、「みなし指定で訪問看護事業を行う場合」と「訪問看護ステーションの指定を受ける場合」を比較して、メリット・デメリットを見ていきましょう。

「みなし指定」のメリット

みなし指定で訪問看護事業を行う場合のメリットとして

  • すぐに事業を開始できる。

  • ニーズに合わせて事業規模拡大・採用等を進めることができる。

といったことが挙げられます。

「みなし指定」のデメリット

一方で、みなし指定で訪問看護事業を行う場合のデメリットとして

  • 報酬単価が低い。利益が少なくなる。

  • 対象者が限られるため、利用者数を増やすことが難しい。

といったことが挙げられます。

まとめ

訪問看護の「指定」と「みなし指定」の違い、メリット・デメリットを中心にお伝えしてきました。訪問看護事業の開業を検討している皆様の参考になりましたか?

既に医療機関を経営している方は、初期投資や看護職の確保といった点でメリットがある「みなし指定」を使って事業を開始できますが、「訪問看護ステーションの指定」を受ける場合と比べて、収入面でのデメリットもあることに留意しましょう。

ここでご紹介した内容以外にも、訪問看護ステーションの開業では様々な知識が必要となります。

開業にあたって疑問や不安を感じている方は、『カイポケ訪問看護』の『開業支援サービス』をご検討ください。専任のアドバイザーが皆様の開業・立ち上げのお困りごとを無料(※)でサポートします。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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