訪問看護ステーションの管理者とは?必要な資格や業務内容、管理者研修について解説!
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株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
訪問看護ステーションを開業するにあたり、管理者を1名置くことは指定申請を行う上で必須の条件となっています。
今回は、管理者の役割や主な業務、そして管理者向けの研修について紹介します。
訪問看護の管理者とは?
訪問看護における管理者とは、「運営全般に関して管理を行う者」を指します。
事業所の運営全般の管理には、従業員の管理、利用者の管理、サービスの質の管理、売上・収支の管理など、幅広い範囲の管理業務を行うことになります。
事業所によっては実務面での役割分担を考え、管理者を職務として考えて任命し、組織図上の役職として「所長」などの役職を設けて、別の人を任命していることもあります。
管理者の役割
訪問看護の管理者の役割は、運営基準に明記されているものと、ステーションの運営において一般的に担っているものの2つに分けられます。それぞれの役割について以下の内容が挙げられます。
運営基準に定められた役割
介護保険の運営基準に定められている管理者の役割は、以下の通りです。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省)
(第69条)指定訪問看護事業所の管理者は、主治の医師の指示に基づき適切な指定訪問看護が行われるよう必要な管理をしなければならない。
(第70条6)指定訪問看護事業所の管理者は、訪問看護計画書および訪問看護報告書の作成に関し、必要な指導及び管理を行わなければならない。
(第74条)指定訪問看護事業所の管理者は、指定訪問看護事業所の従業者の管理及び指定訪問看護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うものとする。
(第74条2)指定訪問看護事業所の管理者は、当該指定訪問看護事業所の従事者にこの節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。
ステーション運営上の役割
運営基準の定め以外には、管理者には以下のような役割が求められています。
ステーションに従事する職員のリーダーを担うこと
ステーション運営や経営の管理を行うこと
訪問看護のケアの質を維持・向上するための仕組みを作ること
ステーションに係る外部機関(医療機関やケアマネジャー等)との連携を図ること
管理者になる条件
介護保険の訪問看護事業の人員基準によると、訪問看護ステーションに配置する管理者には、以下のような条件が定められています。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省)
指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。
指定訪問看護ステーションの管理者は、保健師、助産師又は看護師でなければならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
指定訪問看護ステーションの管理者は、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならない。
訪問看護の管理者の業務内容とは?
運営基準にもある通り、管理者はさまざまな役割があるので、業務は多岐にわたります。
ここからは訪問看護ステーションの管理者が行う業務を例としてご紹介します。
職員の労務・勤怠管理
訪問看護ステーションの管理者は、シフト作成や勤怠管理を行います。
シフト作成では、一人ひとりの職員の雇用形態(勤務時間)と休暇の希望を調整し、勤務シフト表を作成します。また、勤怠管理として、出勤時間や退勤時間から労働状況、欠勤や遅刻などの状況、残業時間が多くなっていないかなどを確認します。
シフト作成や勤怠管理では、労働基準法に定められる基準と会社が定める就業規則の内容を把握し、適切な管理を行うことが求められています。
訪問スケジュールの管理
訪問看護ステーションの管理者は、職員が利用者宅を訪問するスケジュールを管理します。
利用者の希望するスケジュールと看護師の能力や希望するシフトに合わせて訪問スケジュールを作成し、当日、交通の混雑やサービス提供時間が長くなってしまった場合などは、都度調整を行い、利用者と職員、ケアマネジャー等へ連絡を行います。
また、1日の訪問件数に応じて訪問看護ステーションの売上が変わるので、移動時間を短縮できるようにスケジュールを調整・管理することも求められます。
職員の教育・研修
訪問看護ステーションの管理者は、実施する研修と職員の受講状況を管理します。
運営基準に定められる法定研修を実施するだけでなく、個々の職員の経験・知識・スキル・希望に応じて研修の機会を確保するために調整を行います。
また、研修の実施予定と受講状況を適切に管理するために、年間研修計画・個別研修計画を作成することになります。
訪問看護ステーション向けの研修について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
営業活動の管理
訪問看護ステーションの管理者は、新規利用者の紹介を得るための営業活動やその管理も行います。
営業活動の管理では、営業計画の作成、営業先の選定、担当職員の割り振り、営業先に効果的な情報提供ができるようにパンフレット等の手配、営業におけるコミュニケーションの指導、営業の結果の確認などを行います。
また、定期的にどのような営業活動が効果的だったのかを確認し、営業活動の方針の決定や改善につなげることが求められます。
看護記録の内容確認・修正
訪問看護ステーションの管理者は、訪問看護記録の管理も行います。
管理者は、職員が作成した訪問看護記録に目を通し、必要な項目がすべて記載できているか、正しい内容や表現で記載ができているか確認し、修正が必要な場合には、担当職員に修正しなければならない理由や修正する方法を指導します。
そのため、訪問看護記録の作成ルールを定め、職員に周知しておくことも管理者の業務となります。
請求業務
訪問看護ステーションの管理者は、請求業務のチェックや管理も行います。
請求業務のチェックでは、実績に基づいて正しく請求書が作成されているかを確認し、その後の国保連・支払基金からの入金と利用者からの入金がされているかを確認します。
また、万が一請求内容に誤りがあった場合、適切な請求額の算定と返金や再請求などの手続きも管理することになります。そのため、管理者は請求内容が正しいかどうか判別できるよう、加算減算を含む制度の最新情報を把握することが求められます。
収支・経営状況の管理
訪問看護ステーションの管理者は、収入と支出の状況を把握し、適切な経営状況であるか管理します。
収入や支出、利益の推移から赤字経営に陥るリスクはないかを把握し、適切な経営状況になるように改善を行うことも求められています。
運営指導等の対応
訪問看護ステーションの管理者は、運営指導の対応についての管理も行います。
訪問看護ステーションは、定期的に適切な事業所運営を行っているか行政から確認を受けます。運営指導では、記録や計画書、報告書、マニュアル、請求書などが確認されるので、管理者は事前の書類等の準備と内容確認、当日の質疑応答などを行うことになります。
そのため管理者は、運営指導の確認項目を把握し、日常のステーション運営において人員基準、設備基準、運営基準に違反しないよう対策をしておくことが求められます。
訪問看護の新任管理者向けの研修
全国訪問看護事業協会では、訪問看護ステーションの新任管理者向けに「訪問看護新任管理者研修会」を実施しています。
訪問看護新任管理者研修会(旧訪問看護新任管理者研修会Ⅰ+Ⅱ)
参加費用
(会員)24,000円
(非会員)36,000円
開催形式
オンデマンド配信、一部ライブ配信と対面
(参考:研修会|全国訪問看護事業協会)
訪問看護の管理者のスキルアップ研修
訪問看護ステーションの管理者向けに、スキルアップのための研修が様々な団体で実施されています。
ここでは、「全国訪問看護事業協会の訪問看護管理者養成研修会」と「カイポケ訪問看護の管理者向けセミナー」についてご紹介します。
全国訪問看護事業協会の訪問看護管理者養成研修会
全国訪問看護事業協会は、訪問看護ステーションの現任管理者向けに「訪問看護管理者養成研修会」というスキルアップ研修を実施しています。
訪問看護管理者養成研修会 ~体系的に学ぶ管理者の役割~
参加費用
(会員)105,000円
(非会員)160,000円
開催形式
オンデマンド配信、一部ライブ配信と対面予定
参加要件
訪問看護ステーションでの管理者経験1年以上の者
訪問看護新任管理者研修会を修了した管理者で経験1年以上の者
(参考:研修会|全国訪問看護事業協会)
カイポケ訪問看護の管理者向け無料セミナーも活用しよう!
『カイポケ訪問看護』では、業務効率化をテーマに、管理者の方にお役だていただける無料のセミナーをご用意しています。
「管理者様必見!訪問看護のお悩みあるあるを徹底改善!業務効率化のススメ」というセミナーでは、報告書や指示書の管理方法や職員の業務時間の管理、利用者依頼~初回訪問までの対応といったお悩みに関して、具体的な解決方法を解説しています。
「忙しくて手が回らない」、「もっと業務効率化をして時間を確保したい」といったお悩みのお持ちの方はぜひご視聴ください!
行政が実施している訪問看護の管理者向け研修
訪問看護ステーションの管理者向けの研修は、行政が主体となって実施している研修があります。
東京都では、以下のような管理者向けの研修が実施されています。
訪問看護ステーション管理者・指導者育成研修
基礎実務コース | 経営安定コース | 育成定着推進コース | |
---|---|---|---|
受講形式 | オンライン | オンライン | オンライン |
定員 | 92人 | 92人 | 72名 |
受講期間 | 2日間 | 2日間 | 3日間 |
受講対象者 | 都内事業所の看護職 | 都内事業所の看護職 | 都内事業所の看護職 |
受講料 | 無料(都が負担) | 無料(都が負担) | 無料(都が負担) |
(参考:訪問看護ステーション等管理者・指導者育成事業|東京都福祉局)
開業前に訪問看護の管理者または法人代表者が受講しなくてはいけない研修
訪問看護ステーションを開業する場合、その都道府県・市によって研修の受講が求められる場合があります。
東京都では、訪問看護ステーションの開業にあたり管理者または法人代表者が受講しなくてはいけない新規事業者研修を実施しています。
新規指定前研修
詳細 | |
---|---|
受講形式 | 集合研修 |
定員 | 不明 |
受講期間 | 1日 |
受講対象者 | 申請する事業所の管理者になる予定の方 法人代表者 |
受講料 | 無料(都が負担) |
まとめ
訪問看護ステーションの管理者の役割や業務内容、管理者向けの研修について解説しました。訪問看護ステーションにおける管理者は、あらゆる管理業務を担うことから、信頼のおける人を管理者に任命しましょう。
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