【2026年改定対応】訪問看護の別表7・別表8とは?
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この記事は2024年度介護報酬改定と2026年度診療報酬改定時の情報をもとに執筆しています
目次
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状態が重く、より頻繁な訪問看護を必要とする方については、適用する保険の切り替わりや訪問回数の上限に違いがあります。
この取り扱いの対象となるかどうかを判断する基準が、厚生労働大臣が定める「特掲診療料の施設基準等 別表第七(別表7)」と「特掲診療料の施設基準等 別表第八(別表8)」です。
この記事では、別表7・別表8がそれぞれどのような疾病・状態を対象としているのか、請求実務で気をつけるポイントなどを説明しています。
仕組みを正しく理解しておくことは、誤った算定による返戻や入金遅れのリスクを防ぐことにもつながります。
訪問看護の「別表7」とは
別表7とは、厚生労働大臣が定める特掲診療料の施設基準等の別表第七を指し、「疾病名」で判断します。
別表7の対象疾病一覧【20疾病】
別表7には、次の20の疾病等が定められています。
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))
多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群(AIDS)
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
別表7に該当すると何が変わる?
通常、利用者が要介護認定を受けている場合は「介護保険」が優先して適用されます。
ただし、この別表7に該当する疾病がある利用者の場合は、要介護認定を受けていたとしても「医療保険」が適用される仕組みとなっています。
これは、進行性の神経難病や末期がんなど医療ニーズが高い状態にある利用者が、必要な頻度で訪問看護サービスを受けられるようにするための制度です。
また、訪問看護が介護保険から医療保険に切り替わることで、訪問看護では介護保険の区分支給限度基準額を使わなくなるため、他の介護サービス(訪問介護や通所介護など)を必要な頻度で利用できることになります。
別表7に該当する場合の具体的な取り扱い
別表7に該当する疾病がある利用者は、具体的には次のような取り扱いとなります。
要介護認定を受けている利用者であっても医療保険が適用になります
週4日以上の訪問看護を提供できます(通常は週3日まで)
入院期間の在宅療養に備えた外泊中に訪問看護基本療養費(Ⅲ)・精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)を2回まで算定できます
1日に複数回訪問した場合、難病等複数回訪問加算を請求することができます
乳幼児加算を算定する場合、算定金額が通常よりも高くなります
複数名訪問看護加算の算定の対象者になります
機能強化型訪問看護療養費1・2・3・4の要件の実績になります
退院時の共同指導を複数日に実施した場合は、退院時共同指導加算を2回まで算定できます
退院支援指導加算の算定の対象者になります
訪問看護情報提供療養費1・2の算定の対象者になります
包括型訪問看護療養費の算定の対象者になります
週7日の指定訪問看護が計画されている期間中は、3つまでの訪問看護ステーションで訪問看護を提供することができます
訪問看護の「別表8」とは
別表8とは、厚生労働大臣が定める特掲診療料の施設基準等の別表第八を指し、「状態等」で判断します。
別表8の状態等の一覧【5区分】
別表8は、次の5つの区分で構成されています。
第一号:以下の状態にある者
在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態
在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態
在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態
在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
気管カニューレを使用している状態
留置カテーテルを使用している状態
第二号:以下の指導管理を受けている状態にある者
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅人工呼吸指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理(2026年度改定で追加)
第三号:人工肛門または人工膀胱を設置している状態にある者
第四号:真皮を越える褥瘡の状態にある者
第五号:在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
別表8に該当する場合の具体的な取り扱い
別表8に該当する状態である利用者は、具体的には次のような取り扱いとなります。
週4日以上の訪問看護を提供できます(通常は週3日まで)
入院期間の在宅療養に備えた外泊中に訪問看護基本療養費(Ⅲ)・精神科訪問看護基本療養費(Ⅳ)を2回まで算定できます
1日に複数回訪問した場合、難病等複数回訪問加算を請求することができます
90分を超える長時間の訪問看護を提供した場合、長時間訪問看護加算を週3回まで算定できます
乳幼児加算を算定する場合、算定金額が通常よりも高くなります
複数名訪問看護加算を算定の対象者になります
機能強化型訪問看護療養費3・4の要件の実績になります
特別管理加算の算定の対象者になります
退院時の共同指導を複数日に実施した場合は、退院時共同指導加算を2回まで算定できます
特別管理指導加算の算定の対象者になります
退院支援指導加算の算定の対象者になります
訪問看護情報提供療養費1・2の算定の対象者になります
包括型訪問看護療養費の算定の対象者になります
週7日の指定訪問看護が計画されている期間中は、3つまでの訪問看護ステーションで訪問看護を提供することができます
別表7と別表8の違い
別表7と別表8の大きな違いは、「別表7は疾病等を定めていること」と「別表8は状態等を定めていること」です。
そのため、「別表7と別表8の両方に該当する利用者」、「別表7に該当するが別表8に該当しない利用者」、「別表8に該当するが別表7に該当しない利用者」を分けて考える必要があります。
ここでは違いをわかりやすく説明するために、「別表7に該当するが別表8に該当しない利用者」、「別表8に該当するが別表7に該当しない利用者」についての取り扱いをご紹介します。
別表7に該当するが別表8に該当しない利用者
要介護認定を受けている利用者であっても医療保険が適用になります
機能強化型訪問看護療養費1・2・3・4の要件の実績になります
特別管理加算の算定の対象者になりません
特別管理指導加算の算定の対象者になりません
別表8に該当するが別表7に該当しない利用者
要介護認定を受けている利用者の場合、介護保険が適用になります
機能強化型訪問看護療養費3・4の要件の実績になりますが、機能強化型訪問看護療養費1・2の要件の実績にはなりません
特別管理加算の算定の対象者になります
特別管理指導加算の算定の対象者になります
特別訪問看護指示書と別表7・8
特別訪問看護指示書とは、利用者の状態が急激に悪化したなど、通常の訪問看護よりも頻回な訪問看護が必要な場合に、主治医から交付される指示書です。
特別訪問看護指示書には、利用者の基本情報や病状、頻回に訪問看護が必要な理由などが記載されており、訪問看護ステーションはこの指示内容に応じたサービスを提供することとなります。
別表7・別表8のいずれにも該当しない利用者であっても、主治医から「特別訪問看護指示書」が交付される場合があり、その場合は指示期間中(最長14日間)は医療保険が適用され、週4日以上、1日に複数回の頻回な訪問看護を提供できます。
なお、特別訪問看護指示書の交付は原則月1回までとなっていますが、気管カニューレを使用している状態にある利用者や真皮を越える褥瘡の状態にある利用者については、月2回まで交付できる仕組みとなっています。
別表7・別表8に該当するか確認する方法と注意点
別表7・別表8に該当するかどうかは、主治医が交付する訪問看護指示書を確認することになります。
実務上、具体的な確認の流れとしては、次のような手順が想定されます。
主治医からの訪問看護指示書で、対象となる疾病名・状態を確認します
診療情報提供書の内容と訪問看護指示書に違いがある場合、診断名だけで判断がつきにくいケース(パーキンソン病の重症度や、在宅療養指導管理の算定状況)などは、主治医に確認します。
特に、別表8の第五号(在宅患者訪問点滴注射管理指導料)については、主治医がこの指導管理料を実際に算定していることが条件になっています。在宅で点滴注射が行われていたとしても、主治医が当該指導管理料を算定していなければ、別表8には該当しないため、必ず主治医に算定状況を確認しましょう。
また、別表7に該当し、医療保険が適用されることになった場合は、担当のケアマネジャーへの連携を忘れないように注意しましょう。
年齢や要介護認定の有無を含めた、医療保険・介護保険どちらが適用されるかという判定は、当マガジンの「訪問看護の医療保険・介護保険の違いとは?」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 別表7に該当するかどうかは、誰が判断するのですか?
A. 別表7に該当するかどうかは主治医の診断結果によります。訪問看護ステーションでは、主治医の診断が記載されている訪問看護指示書等から確認することになります。
Q. 別表7の該当者が要介護認定を受けている場合、介護保険はまったく使えなくなるのですか?
A. 訪問看護については医療保険が優先されますが、それ以外の介護サービス(訪問介護や通所介護など)は引き続き介護保険の枠組みで利用できます。医療保険への切り替えにより、区分支給限度基準額の枠に余裕が生まれるので、他のサービスの利用回数にも影響します。
Q. 別表7には特定疾病(16特定疾病)と同じ疾病等が含まれていますが、この場合はどちらの保険を適用しますか?
A. 特定疾病(16特定疾病)のうち、末期がんやALSなど一部の疾病は両方に含まれていますが、設けられている用途が違います。別表7に該当すれば、年齢や要介護認定の有無(40〜64歳が16特定疾病に該当し、要介護認定を受けられるかどうか)にかかわらず訪問看護は医療保険が優先されます。
まとめ
別表7・別表8は、訪問看護における保険適用や訪問回数、算定できる加算を左右する大切な判断基準です。別表7は疾病名で定められ、医療保険が優先になるのに対し、別表8は状態で定められ、保険の優先度には影響しない点が大きな違いとなっています。
別表7・別表8の違い、特別訪問看護指示書や特定疾病との関係性、機能強化型訪問看護ステーションの実績要件を正しく理解しておくことは、誤った算定を防ぐことにつながります。日々の実務のなかで判断に迷う場面があれば、この記事を参考にしていただきながら、必要に応じて主治医に確認するのが良いでしょう。
参考資料
特掲診療料の施設基準等(平成20年3月5日厚生労働省告示第63号)厚生労働省法令データベース
訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年3月6日厚生労働省告示第103号)厚生労働省法令データベース
令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
令和8年度診療報酬改定の概要【訪問看護ステーション向け】(厚生労働省保険局医療課)
令和6年度診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療、訪問看護)】(厚生労働省)
介護保険法施行令(平成10年12月24日政令第412号)第二条 厚生労働省法令データベース
診療報酬の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第59号)厚生労働省法令データベース
厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会(第142回)参考資料2「訪問看護」
厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会「在宅医療(その4)」(平成29年11月15日、中医協総-5)
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
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