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【医療保険】特別訪問看護指示書とは?交付要件や交付を受ける際の注意点を解説【無料ダウンロード】

 更新日:

2024年12月時点の情報をもとに執筆しています

【医療保険】特別訪問看護指示書とは?交付要件や交付を受ける際の注意点を解説【無料ダウンロード】
とあるコメディカル トコル

とあるコメディカル トコル

理学療法士として病院、訪問看護ステーションで勤務した経験を活かし、訪問看護計画書や報告書等の帳票記載例を多数掲載する「とあるコメディカル」を運営。訪問看護の帳票記載例をまとめた冊子は累計販売2,500冊を突破している。

目次

指定訪問看護ステーションで利用者に訪問看護を提供している際、急性増悪等により一時的に頻回な訪問看護が必要と判断した場合は、主治医から「特別訪問看護指示書」を交付してもらう必要があります。今回は、特別訪問看護指示書の概要や交付の必要性、記載例をもとに指示書を受け取る際に気を付けるべき注意点について詳しく解説していきます。

2024年度診療報酬改定に対応している特別訪問看護指示書のテンプレートを無料でダウンロードいただけます。以下よりダウンロードしてご活用ください。

医療保険の特別訪問看護指示書とは?

特別訪問看護指示書とは、利用者の状態が急激に悪化したなど、通常の訪問看護よりも頻回な訪問看護が必要な場合に、主治医から交付される指示書です。緊急時に交付される指示書のため、交付回数や条件は厳密に定められているので注意が必要です。

特別訪問看護指示書には、利用者の基本情報や病状、頻回に訪問看護が必要な理由などが記載されており、訪問看護ステーションはこの指示内容に応じたサービスを提供することとなります。

通常の訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の違い

通常の訪問看護指示書と特別訪問看護指示書には、訪問できる回数や時間などに明確な違いがあるので注意が必要です。

  特別訪問看護指示書 通常の訪問看護指示書
適用となる公的保険 医療保険 介護保険か医療保険
いずれか
訪問できる回数 ・1日に複数回
・週4日以上
・1日1回
・週3日まで
訪問できる時間 90分を超える訪問が週1回可能
1回あたり30分以上90分未満
複数の訪問看護ステーションからの訪問 ×
訪問できる看護師の人数 複数名での訪問可能 1人まで(※)
指示期間 14日間 1か月~6か月間

※複数名訪問加算等の算定をしていない場合

①適用となる保険が異なる

通常の訪問看護指示書は、利用者の主病名など状況によって介護保険か医療保険、いずれかの適応となりますが、特別訪問看護指示書が交付された場合は必ず医療保険が適応となります。

②訪問できる回数・時間が異なる

通常の訪問看護指示書が交付されている場合、医療保険では原則1日1回、週3日までしか訪問することが出来ません。

介護保険においては制限はありませんが、支給限度額に上限があるため、上限を超えないよう調整する必要が出てきます。しかし、特別訪問看護指示書の交付を受けると、1日に複数回の訪問、週4日以上の訪問が可能となります。

また、特別訪問看護期間中は医療保険の適応となるため、介護保険の支給限度額の上限も関係なく訪問することができます。

また、通常の訪問看護指示書では1回の訪問あたり90分未満までと定められていますが、特別訪問看護指示書では週1回までに限り、90分を超える長時間訪問が可能となります

③複数の訪問看護ステーションからの訪問の可否が異なる

医療保険の場合、通常の訪問看護指示書では原則1ヶ所の訪問看護ステーションからのみの訪問と定められていますが、特別訪問看護指示書が交付されると、複数(2ヶ所以上)の訪問看護ステーションから訪問することが可能となります。

ただし、複数の訪問看護ステーションから訪問を行う際は、以下の点に注意をしましょう。

  • 同一日に異なる訪問看護ステーションからの訪問はできない

  • それぞれの訪問看護ステーションに通常の訪問看護指示書と特別訪問看護指示書を交付する必要がある

④訪問できる看護師の人数が異なる

通常の訪問看護指示書では、複数名訪問看護加算の対象者を除き、看護師は原則1人で訪問しなければなりません。

しかし、特別訪問看護指示書が交付されている期間は、通常より処置が多くなることが考えられるため、複数名の看護師による訪問が可能となります。

⑤指示期間が異なる

通常の訪問看護指示書の指示期間は1ヶ月〜6ヶ月と定められていますが、特別訪問看護指示書の指示期間は最大14日までと定められています。特別訪問看護指示書は、あくまでも緊急時に交付される書類なので、指示期間が短く設定されているのが特徴です。

特別訪問看護指示書の様式

特別訪問看護指示書は、厚生労働省が以下の様式を示しています。各項目など、記載すべき内容が明示されていれば独自のフォーマットを使用しても問題はないと言われています。

特別訪問看護指示書の様式
画像引用:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知),令和6年3月5日保医発0305第4号,p41|厚生労働省

厚生労働省の様式を参考に作成した、特別訪問看護指示書のテンプレート(Excel形式)が欲しい方は以下よりダウンロードが可能です。

特別訪問看護指示書の交付条件とは?

特別訪問看護指示書の交付を受けるには、主治医が以下のいずれかの条件に該当すると判断し、頻回な訪問看護を必要であると認定してもらう必要があります。

  • 急性感染症等の急性増悪時

  • 末期の悪性腫瘍等以外の終末期

  • 退院直後で頻回な訪問看護の必要があると認めた場合

利用者の状態によって1月あたりに交付できる回数は?

特別訪問看護指示書は、利用者1人につき、原則月1回限りの交付となります。しかし、以下の状態にある利用者は月に2回まで交付することができます。

  • 気管カニューレを使用している状態にある者

  • 真皮を超える褥瘡の状態にある者

記載例をもとに特別訪問看護指示書の交付時の注意点をチェック

特別訪問看護指示書を受け取る際、記載された内容に誤りがあると算定ができなくなってしまうケースもあります。特別訪問看護指示書の記載例をもとに、交付時の注意点をしっかりとチェックしていきましょう。

指示期間に誤りはないか?

特別訪問看護指示書の指示期間は最大14日間と決められています。14日以上の期間が設定されている場合は無効になってしまうため、注意が必要です。

「症状・主訴」に訪問看護が頻回に必要な理由は含まれているか?

病状・主訴の項目には、「一時的に訪問看護が頻回に必要な理由」が記載されているかチェックをしましょう。また、その内容が特別訪問看護指示書の交付条件(急性感染症等の急性増悪時、末期の悪性腫瘍等以外の終末期、退院直後で頻回な訪問看護の必要があると認めた場合)に当てはまっているかも確認しておくと良いでしょう。

一時的に訪問看護が頻回に必要な理由の記載例

  • 左踵部に真皮に至る褥瘡を形成。訪問看護による頻回の処置が必要な状態である。

点滴注射が必要な場合、指示が具体的に記入されているか?

点滴注射が必要な場合には、点滴注射の指示内容が具体的に記載されているかを確認しましょう。

点滴注射指示内容の記載例

  • 〇〇(輸液)500ml 1日1回 皮下点滴

  • 〇〇(抗菌薬)1g +生食50ml 1日1回 皮下点滴

点滴注射を指示する場合は、点滴注射指示期間も記載してもらう必要があり、最大7日間となっております。

訪問看護指示書を発行した医師と同じ医師による発行かどうか?

特別訪問看護指示書を交付する際は、通常の訪問看護指示書もセットで交付してもらう必要があります。その際、両者は同じ医師から交付してもらわなければなりません。

特別訪問看護指示書に関するQ&A

特別訪問看護指示書の交付に関するQ&Aをいくつかご紹介します。

Q.

みなし訪問看護の場合特別訪問看護指示書の交付は必要か?

A.

みなし指定訪問看護の場合、主治医は当該保険医療機関の医師になるため、通常の訪問看護指示書・特別訪問看護指示書の交付は不要です。診療録に記載される指示がその代わりとなります。
(参考:2024年度版訪問看護関連報酬・請求ガイド,p16)

Q.

Q.月をまたいでも特別訪問看護指示書の交付を受けられる?

A.

特別訪問看護指示書は、月をまたいで交付することができます。原則月1回しか交付できない特別訪問看護指示書ですが、月をまたいだ場合は前月からの持ち越し指示期間に加えて、改めて交付することが可能です。
例:4月20日〜5月3日までの特別訪問看護指示書の期間後、5月4日〜の交付は可能
(参考:令和6年版訪問看護実務相談Q&A,P213)

Q.

連続で特別訪問看護指示書の交付を受けた場合に必要な手続きはある?

A.

特別訪問看護指示書は次の交付までの間隔に定めはないため、期間終了後の次の日からまた新しい特別訪問看護指示書を交付してもらえば、連続した訪問が可能となります。しかし、特別訪問看護指示書が連続して交付されている利用者については、その旨を訪問看護療養費明細書に記載する必要があるため注意が必要です。
(参考:令和6年3月5日保発0305第12号,訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知),p4-5|厚生労働省

Q.

特別訪問看護指示書の期間中は介護保険と併用できるのか?

A.

特別訪問看護指示書の期間中は必ず医療保険適応となり、介護保険と併用することはできません。たとえ通常の訪問看護指示書で介護保険を利用していた利用者であっても、特別訪問看護指示書が交付されている期間は医療保険が適応となります。

Q.

特別訪問看護指示書の期間終了後も点滴の指示が出た場合、医療保険から介護保険の適用に戻るのか?

A.

特別訪問看護指示書の期間終了後にも点滴が必要な場合、週4日以上の頻回な訪問が必要な場合は再び特別訪問看護指示書を交付してもらう必要があります。しかし、頻回な訪問が必要ではない場合は、通常の訪問看護指示書の適応となるため、医療保険から介護保険の適応に戻ります(もともと介護保険が適応だった利用者の場合)。
(参考:令和6年版訪問看護実務相談Q&A,P214)

訪問看護の特別指示書のテンプレート(エクセル)を無料でダウンロード

2024年度診療報酬改定に対応している「特別訪問看護指示書」のテンプレートを無料でダウンロードいただけます。以下よりダウンロードしてご活用ください。

まとめ

特別訪問看護指示書の交付条件や通常の訪問看護指示書との違い、交付時の注意点などについて解説しました。

頻回なケアを必要としている利用者やそのご家族の支援を行えるよう、利用者の状態を都度アセスメントしながら医師と情報交換を行いましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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