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訪問看護のオンコール業務内容とは?実際のオンコール対応事例を紹介

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訪問看護のオンコール業務内容とは?実際のオンコール対応事例を紹介
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護に興味がある看護師の方は、利用者宅での業務内容や必要となる看護知識だけでなく、夜間のオンコール業務がどのようなものなのか気になる方が多いのではないでしょうか。今回は、訪問看護のオンコール業務の内容や、待機中の過ごし方、オンコールの事例について詳しく解説します!

訪問看護のオンコールとは

訪問看護のオンコールとは、訪問予定がない日や夜間などに利用者や家族からかかってくる緊急の電話に対応するために看護師が待機することを指します。

「86%」の訪問看護事業所が「オンコール体制あり」

厚生労働省の令和4年4月審査分の介護給付費等実態統計による資料では、訪問看護事業所のうち『約86%』が緊急時訪問看護加算を算定していることから、多くの事業所がオンコール等による緊急時対応の体制を取っています。

【緊急時訪問看護加算の算定事業所割合】

平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年 令和2年 令和3年 令和4年
算定率 72% 73% 76% 77% 79% 81% 82% 83% 84% 86%

上記のように緊急時訪問看護加算の算定率は年々増加していることから、今後もオンコールの勤務形態を設ける訪問看護事業所が増えることが予測できます。

(参考:訪問看護資料|厚生労働省 第220回(2023.7.27))

精神科訪問看護に特化している場合は「オンコール体制なし」のステーションが多い

精神科訪問看護に特化したステーションは、オンコール体制を設けていない事業所が多いです。精神科訪問看護では、通常の訪問看護とは異なり、相談対応や服薬管理、日常生活の支援などが主な業務内容となっています。

そのため、急変リスクが低く、緊急訪問のニーズが少ないことからオンコール体制を設けていない事業所が多いようです。

オンコールの体制・当番制はステーションによって異なる

オンコールでどのように担当の職員を決めるのかは、ステーションの規模や看護師の在籍人数によって違います。

主に以下のようなパターンがあります。

  • 1人体制、1日単位の輪番制

  • 1人体制、1週間単位の輪番制

  • 2人体制(メイン:管理者、サブ:常勤看護師など)、1日単位の輪番制

オンコール体制がある訪問看護ステーションに就職する場合は、ご自身のライフスタイルに合わせた当番制なのかを確認しましょう。

オンコール当番中は他のことをしていてもいいの?

オンコール当番中は、基本的に自宅待機です。というのも、オンコール当番は、緊急時の訪問に対応できることが求められ、いつ緊急の連絡が入るか分からないので、自宅から遠く離れるような行動はできません。遠出をしていた場合、緊急事態に迅速に対応できないことになってしまいます。

とはいえ、オンコール当番をしているから何もできないわけではありません。

以下のような項目に注意して、普段通りの生活をするようにルールを設けている事業所が多いです。

  • 飲酒は厳禁。(電話応対、緊急時の訪問があります。)

  • スマートフォンの通知に気付けるように、入浴時や就寝時も近くに置いておきましょう。

  • すぐに駆けつけることができる範囲の場所であれば、外出も可能です。

オンコール当番は負担を感じやすい勤務形態なので、ルールを遵守しつつ、できるだけストレスのかからない過ごし方を考えましょう。

オンコールの手当はどのくらい?

オンコール手当は、1回あたり1,000~3,000円程度の事業所が多いです。この手当は、実際に緊急時の連絡がなくても支給されます。

また、緊急時の訪問を行った場合、訪問時間に応じて時給で計算される手当を別途支給する事業所が多いようです。

(参考:平成27年度訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業報告書|全国訪問看護研究事業)

訪問看護のオンコール当番の業務内容とは?

オンコール当番の業務内容は、大きく分けて「連絡を受けて電話対応を行うこと」と「必要に応じて訪問対応を行うこと」です。

①連絡を受けて電話対応を行う

オンコールがあった場合、まずは情報収集を行います。

情報収集をした後、緊急訪問が必要であるか、救急車を手配すべきか、電話対応のみで大丈夫なのかを判断します。適切な対応・判断を行うために、以下のような項目について確認しましょう。

  • 利用者さんの名前

  • 電話をした人の名前と関係性

  • 現在の状況(転倒して起き上がれず床に倒れているなど)

  • 本人の意識状態(呼吸の有無、会話できるかなど)

  • 本人の主症状(疼痛、呼吸苦、嘔気嘔吐、外傷、発熱など)

  • いつから症状が出現したのか

電話対応のみで大丈夫だと判断した場合は、現状の問題に対する対処方法と今後起こりうるリスクを説明し、状態が悪化した場合は再度連絡するよう促します。

また、必要に応じて主治医への報告や、時間をおいてから状態の確認のための連絡等を行います。

②必要に応じて訪問対応を行う

オンコールがあり、緊急訪問が必要だと判断した場合は訪問の準備をします。

訪問する場合、以下のことを伝えましょう。

  • 到着までにかかる時間

  • 到着までにするべき対応

急ぎたい気持ちはあると思いますが、移動時の事故に注意し、焦らずに行動しましょう。

オンコール対応の事例

事前にオンコールの業務内容については、「イメージはついたけど、実際の対応方法は経験がないわからなくて不安になる・・」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、実際にオンコールを受けた利用者の状況と、看護師の対応の事例を3つご紹介します。

ケース①電話相談のみで対応した事例

利用者は80代、女性の方。

アルツハイマー認知症のため訪問看護を週3回利用していた。

夜間に家族より連絡があり、本日排便がなく「おなかが張っている」と訴えているとのこと。そこで、頓用の下剤の服用と水分摂取を促した。

明日の訪問時間までに排便困難や腹痛などあれば再度連絡をしてくださいと伝え、電話を終了した。

ケース②緊急訪問を行った事例

利用者は70代、男性の方。

頸髄損傷、神経因性膀胱のため訪問看護を週3回利用していた。

夜間に家族より連絡があり、お腹が張っていて尿の流出が少ないという情報があったため、看護師は訪問を行った。訪問し状況を確認すると、膀胱留置カテーテルの浮遊物が多く尿混濁を認め、ミルキングを実施しても改善せず、閉塞していることがわかった。

主治医に報告したところ、生理食塩水200mlにて膀胱洗浄するよう指示を受けたので実施した。その後、下腹部膨満が消失し、尿流出がスムーズとなった。

水分摂取を促し、訪問終了。

ケース③救急要請を行った事例

利用者は80代、男性の方。

高血圧症があり服薬管理のため訪問看護を週1回利用していた。

夜間に家族より連絡があり、入浴後から嘔吐を繰り返していると情報があったため、看護師は訪問を行った。訪問し状態を確認すると、血圧200台、頭痛と嘔吐、左手の握力低下があり脳血管障害の可能性があるため救急車を要請した。

まとめ

訪問看護のオンコール体制の実施割合やオンコール当番の業務内容、オンコールの対応事例についてご紹介しました。

訪問看護ではオンコール体制を取っている事業所が多いですが、当番の回数や人数、オンコール手当、緊急訪問時の手当などは事業所によって違いがあります。オンコールがある訪問看護ステーションに就職する際は、条件などを詳細に確認し、「知らなかった」や「聞いてない」ということがないように気を付けましょう。

「カイポケ訪問看護」は、オンコール時も自宅からタブレットで閲覧できるクラウド電子カルテです。利用者から電話を受けた際に、利用者情報やこれまでの看護内容を手元ですぐに確認できるので、緊急訪問が必要な場合も事業所に寄ることなく訪問することが可能になります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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