【2024年度診療報酬改定】訪問看護の改定項目がおおむね固まる―中医協総会「議論の整理」
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この記事は2024年1月時点の情報をもとに執筆しています
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
2024年(令和6年)度診療報酬改定に向けた検討を進める中央社会保険医療協議会(以下、中医協)では1月10日と12日に「議論の整理」を行いました。これによって、診療報酬改定項目の方向性が明らかになっています。
訪問看護については、オンライン資格確認の導入に関する評価の新設などの改定項目が示されています。
なお、今回の「議論の整理」の内容については12日に、パブリックコメント(意見公募手続き)の募集が開始されます。
2024年度診療報酬改定における4つの基本的視点
2024年(令和6年)度診療報酬改定は昨年12月の社保審・医療保険部会/医療部会がまとめた診療報酬改定の基本方針に沿って実施されます。基本方針では、以下の基本的視点が示されています。
現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
安心・安全で質の高い医療の推進
効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
訪問看護にかかわる改定項目
今回、中医協・総会がまとめた「議論の整理」では、2024年(令和6年)度改定の方向性について幅広い項目が示されました。訪問看護については以下の内容が示されています。
Ⅰ 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
訪問看護ステーションの「24時間対応体制加算」について、看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価になるよう見直す。また、24時間対応の連絡体制のルールを見直す。
Ⅱ ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
オンライン資格確認等システムの活用により医療DXを推進し、質の高い医療を提供する観点から、 オンライン資格確認等システムが導入されることを踏まえ、初回訪問時等に利用者の診療・薬剤情報を取得・活用して、訪問看護の実施計画的な管理を行い質の高い医療を提供した場合、新たな評価を行う。
書面掲示は原則ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。
訪問看護の質を担保し、訪問看護ステーションを効率的に運営する観点から、管理者の責務を明確化し要件を見直す。
訪問看護における虐待防止措置・身体的拘束等の適正化を推進する観点から、虐待防止措置に関する体制整備を義務化し身体的拘束等を原則禁止する。
訪問看護ステーションの機能強化を図るため、訪問看護管理療養費の要件・評価を見直す。
緊急時の訪問看護が適切に提供されるよう、緊急訪問看護加算の要件・評価と、訪問看護療養費請求書等の記載内容を見直す。
退院日の利用者の状態や訪問看護の提供状況に合わせた評価を充実させるため、退院支援指導加算の要件を見直す。
ハイリスク妊産婦連携指導料の要件と乳幼児加算の評価体系を見直す。
レセプト情報の利活用を推進する観点から、訪問看護指示書、精神科訪問看護指示書の記載事項と様式を見直す。
医師がICTを活用して死亡診断等を行う場合、研修を受けた医療機関の看護師が医師の補助を行うことについて評価を新設する。
(参考:令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案) |中央社会保険医療協議会 総会(第578回))
パブリックコメントの募集が開始され、今後個別改定項目(短冊)が示される
厚生労働相は1月12日、中医協会長に2024年(令和6年)度診療報酬改定について諮問書を出しました。また、今回の「議論の整理」については同日パブリックコメントの募集が開始され、今後公聴会で寄せられた意見やパブリックコメントの内容も踏まえつつ、個別改定項目(通称短冊)について審議が進められていく見通しです。
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