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全国医療情報プラットフォームとは?いつから始まるのかと全体像をわかりやすく解説

公開日:  更新日:

この記事は2026年10月14日時点の情報をもとに執筆しています

全国医療情報プラットフォームとは?いつから始まるのかと全体像をわかりやすく解説

目次

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全国医療情報プラットフォームは、医療・介護・行政の情報を全国で共有するために、国が整備を進めている仕組みです。2026年4月からは、その一部である「介護情報基盤」の運用が始まり、訪問看護ステーションの日々の業務にも関わりが出てきています。

本記事では、全国医療情報プラットフォームの概要や全体像、いつから始まるのかを整理したうえで、訪問看護ステーションにとってのメリットや、今のうちに準備しておきたいことを説明していきます。

全国医療情報プラットフォームとは

医療・介護・行政の情報を共有する全国的な仕組み

全国医療情報プラットフォームは、医療機関・薬局、介護事業所、自治体などがそれぞれ管理している情報を、全国規模で共有・交換できるようにするための仕組みとなっています。

創設の方針は、2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)で示されました。オンライン資格確認等システムのネットワークを広げ、レセプトや特定健診の情報に加えて、予防接種、電子処方箋、自治体の検診、電子カルテなど、介護を含む医療全般の情報をやりとりできるようにする構想となっています。

利用者本人も、マイナポータルを通じて自分の情報を確認できる仕組みとなっており、医療・介護の関係者だけでなく、国民一人ひとりが情報を活用できる点も特徴です。

国が整備を進める背景(医療DXの3本柱)

これまで、利用者に関する医療・介護の情報は、各医療機関や介護事業所、自治体などに分散して管理されてきました。そのため、関係者間の情報共有は紙やFAX、郵送に頼る場面が多く、手間や時間がかかっていました。

こうした状況を踏まえ、国は医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の柱として、次の3つの施策を一体的に進めています。全国医療情報プラットフォームは、その中心となる取り組みです。

施策概要
全国医療情報プラットフォームの創設医療・介護・行政の情報を全国で共有・交換できる基盤をつくる
電子カルテ情報の標準化等情報の質や正確性を高めるため、電子カルテで扱う情報の形式などをそろえる
診療報酬改定DX診療報酬改定に伴う医療機関やシステム事業者の対応負担を軽くする

全国医療情報プラットフォームの全体像

国民を中心とした3つの情報基盤で構成される

厚生労働省が公表している「全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)」では、国民を中心に置き、その周りを「医療情報基盤」「介護情報基盤」「行政・自治体情報基盤」の3つが囲む構図となっています。

全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)
画像引用:厚生労働省 老健局「介護情報基盤について(報告)」社会保障審議会 介護保険部会(第136回)資料3 p.20「全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)」

全体像で示されている4つの活用場面

全体像のイメージでは、プラットフォームを通じて実現したい活用場面として、次の4つが示されています。

活用場面具体的なイメージ
救急・医療・介護現場の切れ目ない情報共有意識がない状態で救急搬送された場合でも検査状況や薬剤情報を把握できる、入退院時に医療・介護の関係者で状況を共有できる など
医療機関・自治体サービスの効率化・負担軽減公費助成の受給者証の持参が不要になる、予診票や問診票を何度も手書きしなくて済む など
健康管理・疾病予防・適切な受診のサポート自分の健康データを生活習慣病の予防や受診の判断に活かせる
公衆衛生や医学・産業の振興に役立つ二次利用感染症への対応力強化や、医薬品などの研究開発の促進につなげる

共有される主な情報

プラットフォームで共有される情報は、情報基盤ごとに次のとおり整理されています。

情報基盤主な関係者主な情報
医療情報基盤・医療機関・薬局
・医療保険者
・救急隊
・資格情報
・薬剤情報
・特定健診等の情報
・傷病名・アレルギー・薬剤禁忌・感染症・検査・処方の6情報
・診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーなどの文書
介護情報基盤・介護事業所
・介護保険者(市町村)
・要介護認定情報(認定調査票・主治医意見書)
・介護保険被保険者証等の情報(負担割合証・負担限度額認定証・認定審査の進捗状況を含む)
・ケアプラン
・LIFE情報
・住宅改修費・福祉用具購入費の利用情報
行政・自治体情報基盤・自治体
・保健所
・公費助成
・予防接種
・母子保健に関する情報

主な構成サービス

全国医療情報プラットフォームは、単独のシステムではなく、複数のサービスの集まりとして構成されています。訪問看護ステーションに関わりの深い主なサービスは次のとおりです。

  • オンライン資格確認等システム:マイナンバーカードなどを使って医療保険の資格情報を確認する仕組み

  • 電子処方箋管理サービス:処方・調剤の情報を電子的にやりとりする仕組み

  • 電子カルテ情報共有サービス:電子カルテの情報や診療情報提供書などを医療機関の間で共有する仕組み

  • 介護情報基盤:要介護認定情報やケアプランなどを、市町村・介護事業所・医療機関・利用者の間で共有する仕組み

全国医療情報プラットフォームはいつから始まる?

構成サービスごとに段階的に稼働している

全国医療情報プラットフォームは、現時点でシステムごとに段階的に運用がスタートしています。オンライン資格確認や電子処方箋などすでに稼働しているシステムに加え、介護情報基盤と電子カルテ情報共有サービスの運用が順次開始されます。

主なスケジュール一覧

時期主な内容
2022年6月骨太の方針2022で全国医療情報プラットフォーム創設の方針が示される
2023年5月改正法(令和5年法律第31号)が公布され、介護情報基盤が法的に位置づけられる
2023年6月「医療DXの推進に関する工程表」が決定される
2026年4月1日改正介護保険法が施行。準備が整った市町村から介護情報基盤の運用が順次始まる
2026年冬頃(目処)電子カルテ情報共有サービスの運用が順次始まる
2027年1月(目処)介護情報基盤とケアプランデータ連携機能が統合される
2028年4月1日介護情報基盤の本格運用開始日。全市町村での活用開始が目指されている
時期未定医療・介護間の電子的な情報共有。診療情報提供書(退院時サマリーを含む)と、訪問看護指示書・計画書・報告書を優先的に実装する方向で整理(2026年7月)

※「目処」となっている時期は、今後の検討状況によって変わる可能性があります。

介護情報基盤は2026年4月から市町村ごとに順次開始

介護情報基盤は、市町村の介護保険事務システムの標準化対応やデータ移行が完了したところから、順次使えるようになる仕組みとなっています。2028年4月1日の本格運用開始日までに、全市町村で活用を始めることが目指されています。

2026年7月10日時点では、2028年度の本格運用開始までに利用開始日が確定している市町村は1,545となっています。各市町村の利用開始時期は、国民健康保険中央会の「介護情報基盤ポータル」で確認できます。

訪問看護ステーションにとってのメリット

介護情報基盤によって、被保険者証情報やケアプランをタイムリーに確認できる

介護情報基盤を活用すると、訪問看護ステーションでも、サービスを提供している利用者の介護保険被保険者証等の情報(負担割合証や要介護認定の審査の進捗状況を含む)やケアプラン、LIFE情報などを、WEB画面上で確認できるようになります。

資格情報を電子的に確認できるため、サービス提供時の手間の軽減にもつながります。また、事業所間や多職種間で利用者の情報を共有・活用しやすくなり、本人の状態に合ったケアの提供につながることも期待されています。

ケアプランデータ連携システム・介護情報基盤によって、紙やFAXでのやりとりが減り、事務負担の軽減につながる

これまで居宅介護支援事業所との間で毎月紙でやりとりしていたケアプランは、データで連携できるようになっています。国の調査研究の試算では、ケアプランを紙でやりとりしていた場合と比べて、次のような効果が示されています。

項目紙でのやりとりデータ連携変化
印刷・郵送・移動などの作業時間(事業所全体・月あたり)52.4時間18.1時間約3分の1に削減
人件費・印刷費・郵送費・交通費などの経費(事業所全体・月あたり)13.4万円6.7万円約2分の1に削減

2027年1月を目処に、ケアプランのデータ連携機能は介護情報基盤に統合される予定です。統合後は介護情報基盤の一機能として利用でき、事業者の利用料は発生しない仕組みとなっています。

医療情報基盤によって、医療機関との情報連携がスムーズになる

医療と介護の間での情報連携についても、検討が進められています。全国医療情報プラットフォームを通じた医療・介護間の電子的な共有では、診療情報提供書(退院時サマリーを含む)と、訪問看護指示書・計画書・報告書を優先的に実装していく方向で議論が整理されています。

現時点では実装に向けた検討の段階ですが、訪問看護ステーションにとっては、主治医とのあいだでやりとりする書類の電子化が視野に入ってきたといえます。

事務の効率化が経営と人材の安定につながる

情報共有の電子化は、単に作業が楽になるだけでなく、事業所の経営や人材の課題にもつながっています。

変化期待できる効果
書類の作成・郵送・問い合わせの時間が減る残業の抑制や人件費・郵送費などの経費削減につながり、経営の健全化を後押しする
スタッフが本来のケアに使える時間が増えるサービスの質が高まり、利用者やケアマネジャーからの信頼につながる
働きやすい環境が整う職員の負担が減ることで、離職防止や採用時のアピールにもつながる

訪問看護ステーションが準備しておきたいこと

介護情報基盤ポータルへの登録と助成金の確認

訪問看護ステーションが介護情報基盤を使うためには、国民健康保険中央会の「介護情報基盤ポータル」への登録や、端末などの環境整備を進めましょう。

環境整備の費用については、カードリーダーの購入費や、介護情報基盤との接続サポートにかかる費用を対象とした助成金が用意されています。2026年度の申請受付期間は、2026年5月7日から2027年3月12日まで(予定)です。

訪問看護は「訪問・通所・短期滞在系」の区分に該当し、カードリーダーの助成限度台数は3台まで、助成限度額は6.4万円まで(税込)(※)となっています。

※助成限度額はカードリーダー購入費と接続サポート等経費を合算した額です。

介護情報基盤の自治体の開始時期を確認する

介護情報基盤で情報を閲覧できるようになる時期は、利用者が住む市町村によって異なります。複数の市町村の利用者にサービスを提供している事業所では、それぞれの市町村の開始時期を介護情報基盤ポータルで確認しておくと、準備のスケジュールを立てやすくなります。

ケアプランデータ連携の移行と介護ソフトの対応状況を確認する

介護情報基盤とケアプランデータ連携機能の統合にあわせて、現在のケアプランデータ連携システム(アプリ版)は、新しい「介護保険資格確認等WEBサービス」(WEB版)へ移行する予定です。

2027年1月以降もケアプランのデータ連携を続ける場合は、WEB版での事業所・管理者の登録を検討しましょう。

また、2027年4月以降は、API連携によって介護ソフトから直接ケアプランのデータ連携ができるようになる予定です。

全国医療情報プラットフォームの留意点

地域やサービスによって開始時期・使える機能に差がある

全国医療情報プラットフォームは段階的に整備が進む仕組みのため、同じ時期でも、地域や構成サービスによって使える機能が異なります。

2026年度以降、介護情報基盤と電子カルテ情報共有サービスはそれぞれ順次運用が始まる一方で、現時点では介護情報基盤で共有されるのは介護に関する情報、電子カルテ情報共有サービスで共有されるのは医療に関する情報に限られています。

利用者の本人確認・同意と個人情報の取り扱い

介護事業所が利用者の情報を閲覧できるのは、利用者の本人確認を行ったうえで、サービスを提供している事業所に限られます。また、認定調査票や主治医意見書、ケアプランなどの一部の情報は、利用者の同意が得られている場合に閲覧できる仕組みとなっています。

セキュリティ面では、利用する端末へのクライアント証明書の導入や暗号化通信の設定、ログイン時のワンタイムパスワード認証などの対策が講じられています。システムの利用開始時は、事業所として、端末の管理やスタッフの閲覧ルールを整えましょう。

利用者の同意の取り扱いや端末の設定など、細かい実務ルールは公式資料にまとめられています。同意の取り扱いは厚生労働省の「介護情報基盤について(報告)」(p.6)、端末の設定やセキュリティ対策は同じく厚生労働省の「介護事業所における情報安全管理の手引き」をご確認ください。

まとめ

全国医療情報プラットフォームは、医療・介護・行政の情報を全国で共有するために、国が整備を進めている仕組みです。最後に、本記事のポイントを振り返ります。

  • 国民を中心に、医療・介護・行政・自治体の3つの情報基盤で構成されている

  • 一斉に始まる制度ではなく、構成サービスごとに段階的に運用が始まっている

  • 介護情報基盤は2026年4月から市町村ごとに順次始まり、2028年4月1日の本格運用開始を目指している

  • ケアプランや認定情報の電子的な共有が進むことで、事務負担の軽減や医療機関との連携強化が期待できる

  • 介護情報基盤ポータルへの登録や助成金の確認、介護ソフトの対応状況の確認を早めに進めておくと安心

情報共有の電子化が進むなかで、記録や請求などの日々の事務をどう効率化していくかは、ステーションの経営や人材の安定にも関わるテーマとなっています。

参考資料

内閣府 経済財政諮問会議(2022年6月7日)資料4-1「経済財政運営と改革の基本方針2022(案)」
厚生労働省 老健局「介護情報基盤について(報告)」社会保障審議会介護保険部会(第136回)資料3(2026年9月18日)
厚生労働省 医政局「医療DX推進本部について(報告)」第92回社会保障審議会医療部会 資料3(2022年10月13日)
厚生労働省「介護情報基盤について」
国民健康保険中央会「令和8年度 介護関連データ利活用に係る基盤構築事業の助成金交付要綱(介護事業所)」
厚生労働省「介護事業所における情報安全管理の手引き」

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。