介護情報基盤ポータルとは?訪問看護の導入の準備と助成金について解説
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株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
介護情報基盤ポータルとは?
介護情報基盤ポータルとは、これまで分散していた介護に関わる各システムの情報をひとつに集め、市町村(保険者)・介護事業者(訪問看護含む)・医療機関などの関係機関の情報共有等の負担を軽減するためのシステムです。
介護情報基盤の導入によって、「事務作業の効率化」や「情報の集約・サービス間での共有」、「リアルタイムの手続き」などの実現が期待されています。
介護情報基盤に集まる情報
| 各システム | 情報の内容 |
| 市町村(保険者)の介護保険システム | 介護保険証等情報 要介護認定情報 住宅改修費利用等情報 |
| マイナポータル | 利用者 |
| 医療機関の文書作成ソフト・電子カルテ | 主治医意見書 |
| 介護事業所の介護事業所システム | LIFE情報 ケアプラン情報 介護レセプト |
介護情報基盤ポータルとオンライン資格確認との違い
2024年6月から開始しているオンライン資格確認と介護情報基盤ポータルはどのような違いがあるのでしょうか。
オンライン資格確認は、健康保険証の資格情報をオンラインで確認できることを目的としています。
一方で、介護情報基盤ポータルは、介護保険被保険者証、要介護認定情報、主治医意見書、ケアプランの情報をオンラインで確認できることを目的としてます。
介護情報基盤の運用開始時期と今後のスケジュール
介護情報基盤は、2026年4月から運用が開始されます。
ただし、準備が完了した自治体から運用が開始されるため、各自治体の開始時期については「介護情報基盤ポータルの市町村(保険者)の対応状況」をご確認ください。
また、今後のスケジュールに関しては以下のように発表されています。
(画像引用:介護情報基盤の概要 介護事業所のみなさまへ,p22|厚生労働省)
訪問看護ステーションが介護情報基盤ポータルを活用するメリット
訪問看護ステーションが介護情報基盤ポータルを活用する具体的なメリットとして、「いつでも情報を確認」、「やりとりの負担を軽減」、「質の高いケア」の3つが挙げられます。
メリット①いつでも情報を確認
訪問看護ステーションは、ケアマネジャーや医療機関、市町村から連携される各種情報をタイムリーに確認できます。待ち時間なく・ストレス少なく情報を得られ、更新・進捗状況など常に最新の情報を把握することができます。
メリット②やりとりの負担を軽減
給付に必要な情報をデジタル上で確認できるため、利用者・家族に情報を探していただく依頼をしたり、市町村へ問い合わせしたりする負担が減ります。紙・電話ベースの大変なやりとりを削減することができます。
メリット③質の高いケア
介護に関する情報収集が効率化されることで、本来的な業務に集中できるようになり、介護を受ける人にさらに寄り添ったサービスを提供できます。ヒアリング・計画など大切なことに時間を掛けられるようになり、また、ゆとりをもって利用者と向き合えるようになります。
訪問看護における介護情報基盤の導入準備
介護情報基盤の導入準備は以下のように進めます。
利用する端末の準備
各種設定
各市町村(保険者)の対応状況を確認
最終確認
活用開始
1.利用する端末の準備
電子証明書等を準備する
カードリーダーを選ぶ(医療機関等向けポータルサイト「マイナ資格確認アプリを利用する際に必要な機器について」から必要な機能に対応しているものを選びましょう)
導入支援事業者に依頼する(導入支援事業者一覧は令和7年10月介護情報基盤等ポータルサイトにて公開される予定となっています)
2.各種設定
端末に電子証明書をインストールする
マイナンバーカード読み取り用アプリのインストール・設定を行う
介護WEBサービスの設定・(事業所認証等)接続確認・ユーザー設定を行う
3.各市町村(保険者)の対応状況を確認
各市町村(保険者)で介護情報基盤への接続が始まっているかどうかの確認を行う
※各市町村(保険者)の最新の対応状況は介護情報基盤ポータルサイトの市町村(保険者)の対応状況から確認ができます。
4.最終確認
介護WEBサービスの設定 (事業所認証等)・接続確認・ユーザー設定等の最終確認を行う
5.活用開始
介護WEBサービスを通じて介護情報基盤の利用を開始
訪問看護における介護情報基盤の助成金
令和7年度の助成金申請の期間
令和7年10月17日~令和8年3月13日の予定となっています。
なお、令和8年度以降の助成金については未定となっています。
助成金の対象者
助成金の交付の対象者は、『介護事業所』となっています。
訪問看護ステーションは、『訪問・通所・短期滞在系』の区分に該当します。
| 助成対象(区分) | 介護サービス種類 |
| 訪問・通所・短期滞在系 | 訪問介護 訪問入浴介護 訪問看護 訪問リハビリテーション 通所介護 通所リハビリテーション 短期入所生活介護 短期入所療養介護(介護老人保健施設) 短期入所療養介護(病院等) 短期入所療養介護(介護医療院) 居宅介護支援 小規模多機能型居宅介護(短期利用型) 夜間対応型訪問介護 認知症対応型通所介護 小規模多機能型居宅介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護) 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護・短期利用型) |
| 居住・入所系 | 特定施設入居者生活介護(短期利用型) 地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用型) 居宅療養管理指導 認知症対応型共同生活介護 特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護(短期利用型) 介護福祉施設サービス 介護保健施設サービス 地域密着型介護福祉施設入所者生活介護 介護医療院サービス 特定入所者介護サービス等 |
| その他 | 福祉用具貸与 特定福祉用具販売 住宅改修 地域密着型通所介護 市町村特別給付 |
助成金の対象経費
助成金の対象となる経費は、「カードリーダーの購入経費」と「介護情報基盤との接続サポート等経費」になります。
カードリーダーの購入経費
マイナ資格確認アプリに対応したカードリーダーの購入に係る経費が対象になります。
また、「介護情報基盤の利用に係る業務にのみ使用することを前提とした購入に限る」とされていますので注意しましょう。
※オンライン資格確認用とは別に、介護情報基盤ポータル用に端末の用意などの準備を進める必要があります。
介護情報基盤との接続サポート等経費
介護事業所におけるクライアント証明書の搭載等、介護情報基盤との接続に係る経費が対象になります。
具体的には、下記の5つが示されています。
カードリーダー接続確認
マイナ資格確認アプリのインストール及び設定
介護保険資格確認等 WEB サービスの設定
ユーザ権限の設定
その他国保中央会が認める事業
助成金の交付額(限度額)
訪問看護ステーションは、『訪問・通所・短期滞在系』の区分に該当するので助成限度額は「64,000円」です。
| 助成対象(区分) | カードリーダーの助成限度台数 | 助成限度額 |
| 訪問・通所・短期滞在系 | 3台まで | 64,000円まで |
| 居住・入所系 | 2台まで | 55,000円まで |
| その他 | 1台まで | 42,000円まで |
助成金の申請・審査・入金の流れ
申請は、期日(令和8年3月13日)までに国保中央会が運用するポータルサイト(介護情報基盤ポータル)から申請することになります。
申請から審査、入金までのおおまかな流れは以下のようになっています。
書類の準備:通帳(写し)、サービス種類コードが確認できる資料(指定通知書等)、領収書(写し)をPDF等のデータで準備します
申請:介護情報基盤ポータルにログインし、申請項目を入力し、申請します
申請日の翌月:審査・決定通知(国保中央会より通知)
申請日の翌々月:助成金振込(国保中央会より入金)
まとめ
介護情報基盤ポータルの目的や活用するメリット、導入の準備、助成金の対象経費や金額などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
『介護情報基盤ポータル』は、2028年4月から本格運用開始の予定となっています。
本格運用まではまだ期間がありますが、利用を開始するための機器等の助成金等はいつまで継続するのか未定となっていますので、計画的に機器等の導入を進めましょう。
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