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訪問看護ステーションの収支計画書の作成方法は?損益分岐点についても解説

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訪問看護ステーションの収支計画書の作成方法は?損益分岐点についても解説
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護ステーションを立ち上げる際に、「収支計画書の書き方が分からない」「どんな点に気を付けて作成すればいいのだろう?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

収支計画書は特に開業資金を調達するための融資申請で必要になります。希望の額で融資を受けるためにも、そして開業後に資金繰りに困らないように、訪問看護事業の収益構造をしっかりと理解して、収支計画書を作成できるようにしましょう。

収支計画書を作成する目的とは?

訪問看護ステーションを開設するにあたって、なぜ収支計画書を書かなくてはならないのでしょうか?その目的についてご説明します。

経営者として、今後の収支の見通しを立てる

事業を健全に継続していくためには、常に利益とお金の流れを把握しておくことが重要です。収支計画書を作成することで、経営者は利益とお金の流れを把握することができます。特に会社を設立したばかりの時期は、売り上げが十分でなかったり、売り上げの入金が遅いと経費などの支払いが先行し、資金繰りに困るというのはよくあることです。

また、事業を拡大する際にも、どれくらい利用者数が増えてきたタイミングで職員を採用をすべきか、職員を採用した場合、どれくらいの利用者数を確保しなくてはいけないのか、などを把握するために収支計画書の作成が必要です。

金融機関から借入、融資の申請をする際に必要

訪問看護ステーションの開業には少なくとも「500万円〜1,000万円」の資金が必要とされています。開業資金の内訳は、人件費や事業所の家賃・設備費などの初期費用や、事業が軌道に乗るまでの運転資金です。

資金調達の際は、ほとんどの事業所が金融機関を利用して融資を受けることで資金を確保します。金融機関へ融資を申請する際に、銀行等の融資担当者は事業計画書や収支計画書を見て、事業の収益性と返済が可能なのかを判断します。融資の申請が下りるためには採算性があり説得力のある計画書でなくてはなりません。

訪問看護事業所の融資については、下記の記事で詳しく紹介しています。

訪問看護ステーションの収支計画書の作成方法

では、実際に訪問看護ステーションを開業する際に収支計画書を作成することを想定し、必要な作業を解説します。なお、収支計画書には決まった書式はありません。融資を受けるために作成する場合は提出先の金融機関で定められた書式があるか確認しましょう。

訪問件数・単価を設定し、売上を算定する

訪問看護ステーションの売上は1か月で何件訪問したかと、1回の訪問あたりの請求額(単価)で決まります。つまり、「訪問件数×単価=売上」となります。

訪問看護ステーションの平均単価は1訪問あたり8,000〜9,000円となっています。

人員配置・採用人数を決め、人件費を算定する

訪問看護ステーションの人員基準として看護職員を常勤換算で2.5人以上を配置しなくてはいけません。また、そのうち1人は常勤で配置しなくてはいけません。

合計が2.5人以上になるように、人員配置を考え、それぞれの職員について人件費を以下のように計算します。

職種 人件費算出方法
常勤看護師(管理者) 給与×人数
常勤看護師 給与×人数
非常勤看護師 時給×労働時間×人数

その他の経費を洗い出し、経費を算定する

その他の経費として、事業所の家賃や車両等の設備、システムやソフトの利用料、求人広告費などの費用が発生します。

  • 賃貸料

  • 光熱費(水道・電気・ガス)

  • 車両(リース)

  • 駐車場代

  • ガソリン代

  • 看護用備品消耗品(手袋・消毒薬等)

  • 訪問看護ソフト利用料

  • 通信料(携帯電話・PC回線等)

  • 求人広告費

訪問看護の収支計画書を作成する際の注意点

ここからは訪問看護の収支計画書を作成する際に注意すべき点をご紹介します。

現実的な根拠をもって計算する

売上を決める要素は、「1か月の訪問件数と単価」であると説明しましたが、実際に想定した件数を訪問できるのか、想定した単価は適切なのか、検証し現実的な根拠を持って売上の予算を計算しなければいけません。

自社の収益構造をしっかりと把握したうえで計算し、事業として成り立つような計画になっているか、自身以外が見ても説得力があるかに注意しましょう。

損益分岐点(黒字になる時点)を明確にする

損益分岐点とは、利益がゼロ(売上高=総費用)となる売上額を意味します。例えば100万円の費用に対して、100万円の売上げを上げれば損益がプラスマイナスゼロとなるように、売上と費用が均衡する点が損益分岐点です。この売上高が、損得ゼロの採算ラインの分岐点となります。

損益分岐点を計算する上で、費用は「変動費」と「固定費」に分けることができます。訪問看護事業における「変動費」とは、ガソリン代や看護用備品消耗品といった、毎月の利用者数や訪問件数によって金額が変動する費用です。「固定費」とは、事業所の家賃や駐車場代など、毎月一定の金額が発生する費用です。利用者数や訪問件数が増えれば変動費は増加し、利用者がおらず収入が無かったとしても固定費は発生します。

損益分岐点を下回ってしまうと赤字となるため、まずは経費の総額を計算し、損益分岐点として、いくらの売上が必要かを確認し、その売上を確保するための訪問件数・単価を計算し、職員数で割り戻せは、1人の看護師が最低月に何件訪問しなければいけないのかがわかります。

複数年の計画を作成する

収支計画は一般的に、2〜3年先まで作成しておくことが適していると言われています。特に事業の拡大を考えている方は、3年後の目標から逆算することで、1年目、2年目にやるべきことが具体的になるでしょう。もちろん計画は予定通りに行かないことがあるので、予実管理をしながら、適宜、計画を修正しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。訪問看護の収支では費用の大部分が看護師の人件費であり、また、看護師を確保し、訪問回数を増やすことで収入を得るビジネスであることがおわかりいただけたと思います。

看護職員の人件費は、資格や経験、地域でのニーズによって差がありますが、その地域でのおおよその給与の相場を把握し、給与が低すぎて希望者が集まらない、高すぎて経営を圧迫するといったことにならないように注意しましょう。

この記事でご紹介した内容が、訪問看護ステーションの収支計画を作成する皆様のお役に立てば幸いです。

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