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訪問看護の労務・勤怠管理の注意点とは?勤怠管理システムを選ぶポイントを解説!

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訪問看護の労務・勤怠管理の注意点とは?勤怠管理システムを選ぶポイントを解説!
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

訪問看護の労務管理は、法令遵守の観点だけでなく、職員が働きやすい環境を作り、離職を防止するためにも大切な管理業務の一つです。

今回は、勤怠管理において注意すべきことや、業務効率化につながる勤怠管理の方法について解説します。

労務管理とは?

労務管理とは、賃金や労働時間などの労働条件、安全衛生や福利厚生を管理する業務のことです。

従業員にかかわる職場環境を安全に管理し、人材の生産性を向上させることや労災などのリスクを回避することを目的としています。

具体的には以下のような業務内容を指します。

  • 雇用契約書の作成、更新、管理

  • 就業規則の作成、更新、管理

  • 勤怠管理

  • 給与計算

  • 福利厚生

  • 社会保険の管理

  • 健康、安全衛生管理

  • 職場環境、業務改善

労務管理の重要性

労務管理は、主に以下2つの目的をもつことから重要とされています。

  1. 職場の生産性向上を目指すため

  2. 会社を運営する上で守るべき法令等を遵守するため

職場の生産性向上は、職員の心身ともに健康な状態で業務に取り組むことにつながります。その結果、モチベーションが上がり職場全体の生産性向上に繋がることが期待できます。

勤怠管理とは?

勤怠管理とは、職員の勤務時間や休暇日数などを管理することです。

勤怠管理では、以下のような項目を記録し、管理することが必要とされています。

  • 始業時間

  • 終業時間

  • 休憩時間

  • 早退、欠席、遅刻日数

  • 有給休暇取得日数と残りの日数

  • 時間外労働、深夜勤務、休日勤務の時間

  • 振替休日の取得状況

勤怠管理の重要性

勤怠管理は、主に以下2つの目的をもつことから重要とされています。

  1. 正しい給与計算を行うため

  2. 職員の長時間労働を防止するため

勤怠管理を行うことで職員の労働時間を適正に把握し、実態にそった労働時間に基づいて給与計算を行うことが重要な目的の一つです。

また、労働時間数によって業務量を調整するなどして、長時間労働を防止することも、職員の健康や仕事に対するモチベーションを管理するために重要とされています。

勤怠管理は労働基準法で義務とされている!

労働基準法では、従業員の労働時間や残業時間、休憩時間を適正に管理し、過重労働を防ぐための基準が定められています。事業者はこの基準を守ることで、従業員の健康と安全を確保し、労働環境を整える義務が「労働基準法」に定められています。

まず、労働時間は「1日8時間、1週40時間」を超えて労働させてはならないと労働基準法第32条に規定されています。これは、全ての事業者に対して適用される基本的な労働時間の枠組みです。

さらに、法定労働時間を超える労働が発生する場合には、事前に事業者と職員間で「36協定(時間外労働および休日労働に関する協定)」を締結し、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。この協定の範囲内でのみ時間外労働が認められるため、事業者は協定内容を遵守する必要があります。

また労働基準法第109条に基づき、事業者は労働者の労働時間や休日の記録を正確に保管し、監督署の要求に応じて提示できるようにしておかなければなりません。これに加え、時間外労働が行われた場合には、その分の残業代を支払うことも事業者の義務となっています。

適切な労働時間の管理は、単に法令遵守だけでなく、従業員の健康と働きやすい環境を守るために欠かせません。労働基準法で定められた基準に従い、正確な時間管理と適切な休暇の付与を行うことが、事業者の重要な責務です。適切な勤怠管理を行わないと労働基準法違反となり、罰則(懲役または罰金)が課せられる場合もありますので注意しましょう。

事業者が職員の安全を守るためにやるべきこと

それでは、職員の安全を守るために事業者が取り組むべきことをご紹介します。

①労働時間、残業時間、休憩時間の管理

事業者は、労働基準法で定められた労働時間や36協定で定めた残業時間を超えて職員が勤務をしないよう、職員間で業務量に偏りがないようコントロールを行いましょう。また、業務で忙しい日であっても定められた休憩時間を必ず確保するよう職員に周知するとともに、職員全員が休憩を確保できる体制作りを行いましょう。

また職員の残業時間は36協定で定めた時間を超えそうな場合は、事前に業務調整を行えるよう、週間・月間で途中経過を確認するよう意識しましょう。

オンコール当番は時間外労働なのか?

それでは、訪問看護のオンコール当番は時間外労働にあたるのでしょうか?

労働時間は「使用者の指揮監督下にある時間のこと」を指すので、自宅等での待機は基本的には労働時間とはみなされないため給与の支払い義務はありません。

ただし、オンコールの取扱いについては以下のように定められていることから、事情によっては個別の状況に応じた判断がされます。

なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。

(引用:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

【注意】雇用契約の内容に誤解がないよう周知する

訪問看護ステーションでは、業務中の利用者宅間の移動や、自宅から直接訪問、利用者宅から直接帰宅するといった直行直帰を行う場合もあるため、場所を問わず正確に労働時間を管理することが重要です。

特に以下のような場合に勤務時間あるいは休憩時間とするのか、といったルールは事前に定めておくと良いでしょう。

  • 直行直帰の場合、いつから労働時間とみなすのか

  • ステーション以外の場所で休憩をとることを可とするか

  • 研修時間や研修の準備を行う時間を、業務として労働時間にみなすのか

②健康診断の実施義務

労働安全衛生法に基づき、年に1度、職員に対して医師による健康診断を行わなければならないとされています。また、健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある職員に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。

(参考:労働安全衛生法,第六十六条|厚生労働省

③ストレスチェックの実施

労働安全衛生法の改正に伴い2015年12月より、職員に対してのストレスチェックの実施は義務とされています。従業員50人未満の事業所は当分の間、努力義務となっていますが、今後50人未満の事業所を含めたすべての事業所でのストレスチェックの実施の義務化が厳冬されています。

(参考:今後の労働安全衛生対策について(報告)(案)|厚生労働省

ストレスチェックは、定期的に職員のストレス状況についてアンケート調査を行うことでメンタルヘルスの不調を未然に防ぐために実施しています。

(参考:労働安全衛生法,第六十六条の十|厚生労働省

④職員がケガをする事故が起きた時の対応

職員にケガ等の事故が発生した場合、事業者には補償義務と報告義務を遵守する必要があります。

補償義務とは?

労働基準法に定められた事業者の義務の一つで、職員が労働災害を受けた場合、けが等の治療にかかった費用の補償責任を追うことです。

労働災害によって職員が休む場合、初日から3日目までの休業補償として、労働基準法で示される平均賃金の6割を職員に支払う必要があります。

もし、事業者が労災保険に加入している場合は、上記休業補償以外については保険による給付が行われるので、事業者による補償対応は免れます。

報告義務とは?

事故やケガが発生したときの状況についての記録を行うこと、場合によっては労働基準監督署へ労働災害再発防止書等の報告が求められることがあります。

(参考:労働基準法,第五十七条|厚生労働省

⑤ハラスメント対策

職員が不快に思う行為や不利益を被る行為はハラスメントに該当します。ステーション内の職員間での出来事や、利用者宅を訪問中の出来事などから、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、カスタマーハラスメント等が起きる可能性があるため、未然に防ぐことができるよう対策を講じる必要があります。

(参考:労働施策総合推進法,第三十条|厚生労働省男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法 |厚生労働省

勤怠管理を行う方法とは?

それでは、実際に勤怠管理を行う方法を2つご紹介します。

いずれも、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を念頭に利用すると良いでしょう。

①Excel等の表計算シートで管理する

1つ目は、Excel等の表計算シートで勤怠管理を行う方法です。

Excel上で各職員の勤怠管理を行います。たとえば、縦軸に日付、横軸に出勤時間、退勤時間、休憩開始時間、休憩終了時間を記載し、交わるセルに実際の出退勤の時間などを入力します。1か月の合計時間数などはExcel関数の仕組みを使うことで簡単に計算することができます。

ただし、変形労働時間制など煩雑な計算をExcel上で行うのは難しく、計算ミスが起こる可能性があり、またチェックするために時間がかかってしまうというデメリットがあります。

②勤怠管理・シフト作成のソフトを導入する

2つ目は、勤怠管理やシフト作成の機能が搭載されたソフトを導入する方法です。

Excelの場合、煩雑な計算などで発生する計算ミスや月末の膨大な入力の手間を減らし、勤怠管理やシフト作成に関する業務を効率化することができます。

クラウド型のソフトの場合、最新の情報を常にリアルタイムで全職員に共有できることも大きなメリットです。また、給与計算ソフトが連動しているソフトの場合、勤怠管理で入力された情報から給与計算まで連動するため、さらに業務が効率化できるでしょう。

勤怠管理システムを選ぶポイント3つ

ここからは、勤怠管理を行う手段として勤怠管理やシフト作成のソフトを導入する場合に、ソフトを選ぶポイントを3つご紹介します。

①直行直帰など場所を問わず勤怠を記録できるかどうか

訪問看護ステーションでは、利用者の自宅へ直行することや利用者の自宅から直帰することが多いです。そのため、場所を問わず出退勤を記録できるかどうかはとても重要です。

たとえば、出退勤を記録するために事務所に戻らないといけない場合、直行直帰ができず、移動のための時間が必要になるなどのデメリットがあります。

②給与計算システムと連動しているか

勤怠管理で集計した時間をもとに給与計算システムと連動することによって作業時間の効率化や入力・転記ミスを防ぐことができます。

③オンコール対応等の訪問看護の勤務形態に対応しているか

勤怠管理システムが、訪問看護の勤務形態に対応しているかどうかも重要なポイントのひとつです。

定時勤務の一般企業の勤務形態では、決まった時間に出退勤をすることがほとんどです。一方、訪問看護ステーションでは、オンコール対応など通常の労働時間以外で勤務することがあるので、訪問看護ならではの勤務形態に特化しているかどうかも重要なポイントです。

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まとめ

訪問看護の労務管理の概要や重要性、勤怠管理の方法などについて解説しました。

訪問看護における労務管理や勤怠管理は、ステーション運営を成功させるためには欠かせない重要な要素です。適切な労務・勤怠管理は、職員の健康や安全を守るだけでなく、働きやすさを確保し、サービスの質を高めることにつながるでしょう。

労務管理の効率化には、勤怠管理の機能が備わったツールやシステムの導入が有効です。経営者や管理者の勤怠管理に費やす時間を削減することや、職員の業務の透明性を確保することができます。

そしてステーションを運営するにあたり、従業員とのコミュニケーションを通じて、トラブルを未然に防ぎ、働きやすい職場環境を作り上げましょう。勤怠管理システムを導入し、直行直帰を実現できる体制を構築することで、職場の魅力向上にもつながります。

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