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【2024年度改定対応】訪問看護における専門管理加算とは?【介護保険】【医療保険】

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この記事は2024年度介護報酬改定と2022年度診療報酬改定時の情報をもとに執筆しています

【2024年度改定対応】訪問看護における専門管理加算とは?【介護保険】【医療保険】
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部

看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。

目次

2022年度の診療報酬改定で設置された医療保険の「専門管理加算」ですが、2024年度の介護報酬では介護保険にも「専門管理加算」が新設されました。この記事では、「専門管理加算」の算定要件について解説します。

【介護保険】専門管理加算とは?

専門管理加算とは、専門的な研修(緩和ケア、褥瘡ケア、特定行為研修など)を受けた看護師が、サービス提供に関して計画的な管理を行った場合に算定できる加算です。

医療ニーズの高い利用者が増える中で、適切かつより質の高いサービスを提供する観点から、2024年度の介護報酬改定で新設されました。

(参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項についてp.16令和4年3月|厚生労働省老健局)
(参考:◆指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準◆|厚生省告示第十九号)

種類および単位数

加算の種類 単位数
専門管理加算(イ) 250単位
専門管理加算(ロ) 250単位

算定要件

以下のいずれかの研修を受けた看護師が、対象となる状態の利用者に対して計画的な管理を行った場合

  • 緩和ケアに係る専門の研修

  • 褥瘡ケアに係る専門の研修

  • 人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修

具体的なケア研修については下記を参考にしてください。

項目 具体的な研修
緩和ケアに係る専門の研修 日本看護協会の認定看護師教育課程「緩和ケア」、「乳がん看護」、「がん放射線療法看護」、「がん薬物療法看護」
日本看護協会が認定している看護系大学院の「がん看護」の専門看護師教育課程
褥瘡ケアに係る専門の研修 日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修 日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」

■研修計画の作成時に役立つ資料:訪問看護ステーションの年間計画・個別研修計画の作成方法をダウンロードする(無料)

(参考:「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和3年3月15日)」の送付について|厚生労働省)

算定対象者

  • 悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行っている利用者

  • 真皮を越える褥瘡の状態にある利用者

  • 人工肛門又は人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について|平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

【介護保険】専門管理加算(ロ)

算定要件

特定行為研修を修了した看護師が対象となる状態の利用者に対して計画的な管理を行った場合

特定行為研修とは

特定行為に係る看護師の研修制度は、厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる以下の研修が該当します。

  1. 「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修

  2. 「在宅・慢性期領域パッケージ研修」

(参考:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)」の送付について|厚生労働省)

算定対象者

  • 診療報酬における手順書加算を算定する利用者

※対象の特定行為は以下です。

  • 気管カニューレの交換

  • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換

  • 膀胱ろうカテーテルの交換

  • 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去

  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法

  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整

  • 脱水症状に対する輸液による補正

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について|平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

【介護保険】専門管理加算の届け出

介護保険の専門管理加算を算定するには、訪問看護ステーションの所在地を管轄する都道府県等に対し、「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」、「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」と合わせて、「専門管理加算に係る届出書」を提出する必要があります。

加算算等に関する届出について 別紙17専門管理加算に係る届出書|千葉県

(画像引用:加算算等に関する届出について 別紙17専門管理加算に係る届出書|千葉県)

【介護保険】専門管理加算のQ&A

Q.

専門管理加算のイの場合において求める看護師の「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」には、具体的にはそれぞれどのようなものがあるか。

A.

現時点では、以下の研修が該当する。
① 褥瘡ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
② 緩和ケアについては、
・ 日本看護協会の認定看護師教育課程「緩和ケア※」、「乳がん看護」、「がん放射線療 法看護」及び「がん薬物療法看護※」
・ 日本看護協会が認定している看護系大学院の「がん看護」の専門看護師教育課程
③ 人工肛門及び人工膀胱ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
※ 平成 30 年度の認定看護師制度改正前の教育内容による研修を含む。例えば「緩和ケア」は、従前の「緩和ケア」「がん性疼痛看護」も該当し、「がん薬物療法看護」は従前の「がん化学療法看護」も当該研修に該当する。

(引用元:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)」の送付について p.27 問38|厚生労働省

Q.

専門管理加算のロの場合において求める看護師の特定行為研修には、具体的にはどのようなものがあるか。

A.

現時点では、特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる以下の研修が該当する。
① 「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修
② 「在宅・慢性期領域パッケージ研修」

(引用元:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)」の送付について p.27 問39|厚生労働省

Q.

専門管理加算を算定する利用者について、専門性の高い看護師による訪問と他の看護師等による訪問を組み合わせて指定訪問看護を実施してよいか。

A.

よい。ただし、専門管理加算を算定する月に、専門性の高い看護師が1回以上指定訪問看護を実施していること。

(引用元:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)」の送付について p.27 問40|厚生労働省

Q.

専門管理加算について、例えば、褥瘡ケアに係る専門の研修を受けた看護師と、特定行為研修を修了した看護師が、同一月に同一利用者に対して、褥瘡ケアに係る管理と特定行為に係る管理をそれぞれ実施した場合であっても、月1回に限り算定するのか。

A.

そのとおり。イ又はロのいずれかを月1回に限り算定すること。

(引用元:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)」の送付について p.27 問41|厚生労働省

【医療保険】専門管理加算とは?

専門管理加算とは、専門的な研修(緩和ケア、褥瘡ケア、特定行為研修など)を受けた看護師が、サービス提供に関して計画的な管理を行った場合に算定される加算です。2022年度診療報酬改定で新設されました。

(参考:令和4年度診療報酬改定の概要|厚生労働省保険局医療課)

種類および算定料

加算の種類 算定料
専門管理加算(イ) 2,500円
専門管理加算(ロ) 2,500円

※1月に1回

(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法|厚生労働省告示第六十七号)

【医療保険】専門管理加算(イ)

算定要件

以下のいずれかの研修を受けた看護師が、計画的な管理を行った場合

  • 緩和ケアに係る専門の研修

  • 褥瘡ケアに係る専門の研修

  • 人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修

具体的な研修についてはこちらを参考にしてください。

算定対象者

  • 悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行っている利用者

  • 真皮を越える褥瘡の状態にある利用者

  • 人工肛門又は人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者

(参考:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法|厚生労働省告示第六十七号)

【医療保険】専門管理加算(ロ)

算定要件

特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合

特定行為研修とは

特定行為に係る看護師の研修制度は以下の研修が該当します。

  1. 「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修

  2. 「在宅・慢性期領域パッケージ研修」

(参考:事務連絡令和4年3月31日p153問5|地方厚生(支)局医療課都道府県民生)

算定対象者

  • 手順書加算を算定する利用者

※対象の特定行為とは

  • 気管カニューレの交換

  • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換

  • 膀胱ろうカテーテルの交換

  • 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去

  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法

  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整

  • 脱水症状に対する輸液による補正

(参考:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについてp13|地方厚生(支)医療)

手順書とは

手順書とは、医師又は歯科医師が看護師に対して診療の補助をしてもらうために、やり方や内容をまとめた文書です。

以下は手順書の記載事項です。

  1. 看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲

  2. 診療の補助の内容

  3. 当該手順書に係る特定行為の対象となる患者

  4. 特定行為を行うときに確認すべき事項

  5. 医療の安全を確保するために医師又は歯科医師との連絡が必要となった場合の連絡体制

  6. 特定行為を行った後の医師又は歯科医師に対する報告の方法

(参考:手順書とは|厚生労働省)

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【医療保険】専門管理加算の届け出

医療保険の専門管理加算を算定するには、訪問看護ステーションの所在地を管轄する地方厚生(支)局長に対し、「別紙様式7」の届出書を提出する必要があります。

専門管理加算専門管理加算に係る届出書(届出・変更・取消し)|関東信越厚生局

(画像引用:専門管理加算専門管理加算に係る届出書(届出・変更・取消し)|関東信越厚生局)

【医療保険】専門管理加算のQ&A

Q.

専門管理加算のイの場合において求める看護師の「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」には、具体的にはそれぞれどのようなものがあるか。

A.

現時点では、以下の研修が該当する。
① 褥瘡ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
② 緩和ケアについては、
・日本看護協会の認定看護師教育課程「緩和ケア※」、「乳がん看護」、「がん放射線療法看護」及び「がん薬物療法看護※」
・日本看護協会が認定している看護系大学院の「がん看護」の専門看護師教育課程
③ 人工肛門及び人工膀胱ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
※ 平成30年度の認定看護師制度改正前の教育内容による研修を含む。

(引用元:事務連絡令和4年3月31日p153問4|地方厚生(支)局医療課都道府県民生)

Q.

専門管理加算のロの場合において求める看護師の「特定行為のうち訪問 看護において専門の管理を必要とするものに係る研修」には、具体的には どのようなものがあるか。

A.

現時点では、特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定 する指定研修機関において行われる以下の研修が該当する。
① 「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修
② 「在宅・慢性期領域パッケージ研修」

(引用元:事務連絡令和4年3月31日p153問5|地方厚生(支)局医療課都道府県民生)

Q.

専門管理加算を算定する利用者について、専門性の高い看護師による訪問と他の看護師等による訪問を組み合わせて指定訪問看護を実施してよいか。

A.

よい。ただし、専門管理加算を算定する月に、専門性の高い看護師が1回以上指定訪問看護を実施していること。

(引用元:事務連絡令和4年3月31日p153問6|地方厚生(支)局医療課都道府県民生)

Q.

専門管理加算について、例えば、褥瘡ケアに係る専門の研修を受けた看護師と、特定行為研修を修了した看護師が、同一月に同一利用者に対して、褥瘡ケアに係る管理と特定行為に係る管理をそれぞれ実施した場合であっても、月1回に限り算定するのか。

A.

そのとおり。イ又はロのいずれかを月1回に限り算定すること。

(引用元:事務連絡令和4年3月31日p153問7|地方厚生(支)局医療課都道府県民生

まとめ

本記事では、「専門管理加算」について、その種類(イ・ロ)や算定要件、介護保険と医療保険での違いを解説しました。

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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