保険外(自費)の訪問看護を開業するには?介護保険事業との違いも解説!
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高齢化が進みニーズが多様化する中、介護保険サービスではカバーできない範囲を支援する保険外サービス(自費)に注目している方も多いでしょう。
この記事では、保険外サービスの概要や事業としてのメリット・デメリット、さらに介護保険・保険外サービスそれぞれの開業の流れについて解説します。
保険外(自費)の訪問看護サービスとは?
保険外(自費)の訪問看護サービスとは、介護保険や医療保険などの公的な保険を使わずに、費用の全額を利用者が自己負担して利用するサービスです。
介護保険サービスでは、年齢や要介護認定の有無、病状や状態などによって利用できるかどうか、何回利用できるのかが決まりますが、保険外(自費)サービスは、制度上の制限がなく基本的に誰でも利用できます。
また、介護保険サービスは国が料金を定めていますが、保険外サービスは、料金を事業者が決めることができます。
保険外(自費)の訪問看護サービスの例
保険外(自費)の訪問看護サービスとして、以下のようなサービスが例として挙げられます。
外出・通院・旅行・冠婚葬祭への看護師の付き添いサービス
介護保険の範囲や区分支給限度額を超えた長時間・夜間帯の見守りサービス
混合介護とは?
混合介護とは、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することを指します。
例えば、介護保険サービスである訪問看護を特定の時間帯に提供し、その後に保険外(自費)サービスである外出の付き添いなどを提供するのが混合介護となります。
ただし、訪問看護において混合介護を提供する際は、厚生労働省の「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」に定められた以下のルールを守る必要があります。
保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定訪問看護事業所の運営規程とは別に定めること
契約の締結に当たり、利用者に対し、上記の概要その他の利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること。なお、保険外サービスの提供時間は、訪問看護の提供時間には含めないこと
契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供されたサービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること
利用者の認知機能が低下しているおそれがあることを十分に踏まえ、保険外サービスの提供時に、利用者の状況に応じ、別サービスであることを理解しやすくなるような配慮を行うこと。例えば、訪問看護と保険外サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、利用者が別サービスであることを認識できるような工夫を行うこと
訪問看護の利用料とは別に費用請求すること。また、訪問看護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること
保険外(自費)の訪問看護サービスを開業するには?
保険外(自費)の訪問看護サービスは、看護師おひとりでも開業することができます。
また、介護保険サービスを開業する場合には必要となる法人格や事務所などを用意しなくても開業することができます。
保険外(自費)の訪問看護サービスを開業するまでの流れ
それでは、保険外サービスで起業する場合の流れについて説明していきます。
ニーズの把握 まず最初は、市場にどのようなニーズがどれくらいあるのかを把握する必要があります。 事前にその地域でどのようなサービスが足りないのか、そのサービスを提供したらどれくらいの人が利用するのか、利用料がいくらだったらそのサービスを利用するのかなどを調査しましょう。
提供サービスの検討
次に、集めた情報をもとに、提供するサービスの具体的な内容(例:夜間見守り、遠方同行など)を決定します。また、サービスを提供するために必要となる人数、資格・スキル、設備・備品等を把握しておきましょう。事業計画立案
保険外サービスを提供する事業として、事業計画書を作成します。 保険外サービスの料金設定やコスト、利益、事業規模の推移などを予測し、事業として成り立つのかを計画書に落とし込みます。開業準備
利用契約書の準備、損害保険の加入、決済端末の導入、ホームページの開設、事務所を持つ場合は事務所の契約、職員を採用する場合は採用活動を行うなど、開業に向けた準備を進めます。また、事業を運営するために必要となる運転資金の調達も行います。営業・プロモーション
利用者を獲得するために広報活動を行います。チラシ・パンフレットなどを用いて開業予定の地域の居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)や地域包括支援センター、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに営業活動を行いましょう。
保険外(自費)の訪問看護サービスの開業資金は?
保険外(自費)の訪問看護サービスの開業資金は、スモールスタートする場合は約100万〜200万円、一定の規模でスタートする場合は約500万円~1,000万円が必要になるでしょう。
保険外(自費)の訪問看護サービスでは、提供するサービスによってスモールスタートを目指すことができるので、その場合はパソコンと最低限のオフィス備品で開業することで開業資金を抑えることができるでしょう。
一方で、事務所を設け、人を採用して、一定の規模でスタートする場合は、事務所の契約金・家賃、人件費などがかかり、一定の運転資金を確保する必要があるので、まとまった開業資金を調達する必要がでてきます。
保険外(自費)の訪問看護サービスは儲かるの?
保険外(自費)の訪問看護サービスが儲かるかどうかは一概には言えません。
保険外(自費)の訪問看護サービスは、事業所側で自由に料金を設定できるので、1時間当たりの単価や高い利益率を設定することで、儲かる構造にすることができます。
ただし、高額な料金になると利用希望者が少なくなる可能性はありますので、バランスを考えた料金設定が必要になるでしょう。また、継続的に収益を上げるためには、利用者を獲得しなくてはいけないため、集客の仕組み作りが安定した収益化の鍵となるでしょう。
保険外(自費)と保険サービスの訪問看護を比較
保険外(自費)の訪問看護と介護保険の訪問看護サービスを比較すると以下のような違いがあります。
| 項目 | 保険外(自費)サービス | 保険サービス(介護・医療保険) |
|---|---|---|
| 対象者 | 制限なし | 要介護認定を受け、医師が訪問看護を必要と判断した人 |
| サービスの内容 | 自由 | 制度で定められた内容 |
| 利用料金 | 事業所が自由に設定 | 国が定めた介護報酬 |
| 利用者負担 | 利用者が全額負担 | 利用料金の1〜3割を利用者が負担 |
| 利用時間・回数 | 制限なし(24時間、毎日の利用も可) | 制度による上限回数あり |
| 従業員 | ひとりでも開業可 | 看護職員2.5人以上 |
| 事務所 | なくても可 | 必須 |
| 収益の安定性 | 安定しづらい | 安定しやすい |
| 開業資金 | 100万円~200万円 | 500万円~1,000万円 |
おすすめは、保険適用と保険外(自費)の混合介護で開業
保険外(自費)の訪問看護は、皆さん自身のやりたいサービスを実現できるという長所がありますが、経営が安定しづらいという短所があります。
開業後のリスクを減らすためにも、安定したビジネスモデルがある介護保険・医療保険サービスと保険外(自費)サービスの混合介護を提供する訪問看護ステーションを開業することをおすすめします。
混合介護の訪問看護ステーションを開業するメリット・デメリットとして以下のような点が挙げられますので参考にしてください。
混合介護のメリット①収益の安定性
メリットのひとつとして「売上の増加」と「収益の安定性」が挙げられます。
保険サービスに加えて、保険外サービスも提供することで、様々な利用者のニーズに対応することができ、売上の増加や安定した収益の確保を目指すことができます。
利用者獲得という点においても、「いつもと同じ事業所のスタッフが対応してくれる」という安心感があり、他社との差別化も図れることからメリットがあるでしょう。
混合介護のメリット②やりたいことの実現
保険外サービスを実施する体制を構築することで、独立・起業する目的である「自身がやりたいこと」を実現することができます。
また、保険外サービスも実施することで、法人や事業所のビジョンや理念に経営者の想いを含めることができ、スタッフの採用にもプラスの要素となるでしょう。
混合介護のデメリット① 管理の煩雑化
保険サービスと保険外サービスを混在して提供する場合、明確な線引きを行わなければならないため、管理業務が煩雑になります。
また、現場のスタッフも混乱する可能性があるため、注意が必要です。
看護師が独立・開業を目指す場合の選択肢
これまで、保険外(自費)の訪問看護サービスについて説明してきましたが、看護師が自身の資格を活かして独立・開業を目指す場合、様々な選択肢があるのでご紹介します。
訪問看護ステーション
デイサービス(通所介護)
高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
ナーシングホーム
サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム
障害者グループホーム(共同生活援助)
生活介護(障害福祉サービス)
放課後等デイサービス・児童発達支援
看護師の資格を活かした起業・開業について、こちらの記事で詳しく紹介しています。
保険外(自費)の訪問看護サービスを開業する場合の留意点
保険外(自費)の訪問看護サービスを開業・運営していく上での具体的な留意点について説明していきます。
料金設定
保険外サービスの料金設定は、事業を持続させるための重要なポイントとなっています。価格が高すぎると利用のハードルが上がり、低すぎると看護師の人件費を維持できなくなります。
類似するサービスの相場をリサーチし、慎重に価格を設定しましょう。
損害保険への加入
サービス提供中の万が一の事故に備えるためにも開業前に損害保険の加入を検討しましょう。
保険外(自費)サービスにおいて提供するサービスの内容等によって加入できる保険が違います。保険の対象範囲や保険料、特約の必要性などを吟味して自身のビジネスに合った保険を選びましょう。
利用者獲得・マーケティング
保険外サービスの事業を軌道に乗せるためには、事前のマーケティング活動が重要となります。
ケアマネジャーや地域住民からのニーズ調査、開業後の自社のサービスの認知拡大、説明や申込の対応、スケジュール調整など利用者を獲得するためにしっかりと準備を進めましょう。
指示書の確認
保険外サービスであったとしても、医療行為(医師法第17条に定める医行為)を実施する場合は、医師の指示(指示書)が必要となります。
契約においてルールを明確化して、法令違反とならないように注意しましょう。
まとめ
ここまで、保険外(自費)サービスの内容や保険外サービスを事業として立ち上げるまでの流れなどについてご紹介してきました。
保険外(自費)の訪問看護サービスは、多様化する利用者・家族のニーズに応え、利用者・家族の生活を深く支援することにつながっています。
一方で、経営の不安定な面があることから、保険適用の訪問看護ステーションと保険外サービスを組み合わせた混合介護の開業をおススメしました。
もし、保険適用サービスの訪問看護や混合介護の訪問看護の開業を検討しているが、「開業手続きが面倒…」「何から進めればいいのかわからない…」とお困りの方は、ぜひカイポケ開業支援までご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考資料
介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて | 厚生労働省
保健師助産師看護師法 第三十七条 | e-Gov 法令検索
訪問看護ステーションにおける 保険外訪問看護ガイドライン |一般社団法人訪問看護支援協会
株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
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