訪問看護ステーションの会計処理・経理業務を効率化するためには?
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この記事は2025年4月時点の情報をもとに執筆しています


株式会社エス・エム・エス カイポケ訪問看護マガジン編集部
看護師や介護事業所の運営経験者、訪問看護の請求ソフトや電子カルテの導入支援経験者など、医療や介護、訪問看護の現場理解が深いメンバーが在籍。訪問看護ステーションの開業、経営、日々の看護業務に役立つ情報を発信します。
目次
経理・会計業務に煩雑さを感じている訪問看護ステーションの経営者の方は多いでしょう。そして、業務を行う中で「会計・経理業務を効率化する方法はないの?」という疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、訪問看護ステーションの経営者・管理者の皆様に向けて、会計・経理業務の効率化の方法を中心に解説しています。
訪問看護の会計・経理業務とは?会計と経理の違い
会社は、経営状況に関する情報を対外的に発信・報告するために決算書を作成します。そして、決算書を作成するために会計や経理といった業務を行うことになります。
同じような業務として認識されていますが、会計と経理は業務の範囲に違いがあります。
経理は、請求書の発行取引先への支払いなど、お金の出入金を管理するために必要なことを行います。一方、会計は、企業が行った活動について記録し、決算書を作成するために必要なことを行います。
それでは、それぞれの業務について詳しく見ていきましょう。
具体的な会計業務の例
訪問看護ステーションの会計業務は、決算書を作成することが目的なので、会計ソフトへの仕訳の入力が中心になります。
取引の内容を会計ソフトに入力する。
月次決算書を作成する。
固定資産管理表などの帳簿を管理する。
決算書を作成する。
法人税申告書を作成し、提出する。
具体的な経理業務の例
訪問看護ステーションでの経理業務は、適切に請求・支払い・入金の管理をすることが目的になります。
現金の出納、残高を管理し、帳簿に記載する。
取引の内容に基づき、出金・振込等を行う。
介護報酬・診療報酬を請求、入金確認をする。
利用者負担金について請求書を発行する。
利用者負担金の入金確認、回収状況の管理をする。
訪問看護の運営基準で規定されている会計のルールとは?
訪問看護の会計業務を行うにあたって、理解しておかなければならないルールのひとつとして、運営基準で定められている「会計の区分」という項目があります。
介護保険法による運営基準と健康保険法による運営基準のどちらにも、この「会計の区分」が規定されています。
介護保険法による運営基準に定められた会計のルール
(会計の区分)
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)
第38条 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護事業者ごとに経理を区分するとともに、指定訪問看護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
健康保険法による運営基準に定められた会計のルール
(会計の区分)
(引用:指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準)
第29条 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに経理を区分するとともに、指定訪問看護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
(会計の区分)
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)
第29条 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに経理を区分するとともに、指定訪問看護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
運営基準を満たす会計処理方法とは?
ここからは、介護保険の運営基準に定められている会計上のルールを詳しく見ていきましょう。
訪問看護で会計業務を行う際、「訪問看護事業の会計が他事業の会計と区分されていない」や「訪問看護事業の収入は他事業の会計と区分しているが、支出を区分していない」という場合、運営指導(実地指導)で指導を受ける恐れがあるため、注意が必要です。
運営基準を満たす適切な会計処理方法として、具体的には以下の4つの方法が挙げられます。
会計単位分割方式
本支店会計方式
部門補助科目方式
区分表方式
具体的な勘定科目と按分方法とは?
具体的な勘定科目と按分方法(※)は、以下の表のようになっています。
※経理業務における按分(あんぶん)とは、費用をある基準に応じて振り分けることを意味します。
種類 | 勘定科目 | 按分方法 |
給与費 | 介護職員・医師・看護婦給与等常勤職員給与
介護職員・医師・看護婦給与等の非常勤職員給与 退職給与引当金繰入 法定福利費 |
勤務時間割合により区分する。
(困難な場合は次の方法により按分)
|
材料費 | 介護用品費
医薬品費 施設療養材料費 施設療養消耗器具備品費 診療材料費 医療消耗器具備品費 |
各事業の消費金額により区分する。
(困難な場合は次の方法により按分)
|
給食用材料費 | 実食数割合により区分する。
(困難な場合は次の方法により按分)
|
|
その他の材料費 | 延利用者数割合により按分する。
(困難な場合は各事業別の収入割合により按分) |
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経費 | 福利厚生費
職員被服費 |
給与費割合により区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
旅費交通費
通信費(通信運搬費) 交際費 諸会費 雑費 渉外費 |
|
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消耗品費
消耗器具備品費 保健衛生費 被服費 教養娯楽費 日用品費 広報費 |
各事業の消費金額により区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
|
車両費 | 使用高割合により区分する。
(困難な場合は次の方法により按分)
|
|
会議費 | 会議内容により事業個別費として区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
|
光熱水費 | メーター等による測定割合により区分する。
(困難な場合は建物床面積割合により按分) |
|
修繕費(修繕維持費) | 建物修繕は、当該修繕部分により区分、建物修繕以外は事業個別費として按分する。
(困難な場合は、建物床面積割合で按分) |
|
賃借料
地代家賃等 |
賃貸物件特にリース物件については、その物件の使用割合により区分する。
(困難な場合は、建物床面積割合により按分) |
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保険料 |
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租税公課 |
|
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保守料 | 保守契約対象物件の設置場所等に基づき事業個別費として区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
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委託費 | 委託費(寝具) | 各事業の消費金額により区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
委託費(給食) |
|
|
委託費(その他) |
|
|
研修費 | 謝金
図書費 旅費交通費 研修雑費 研究材料費 |
研修内容等、目的、出席者等の実態に応じて、事業個別費として区分する。
(困難な場合は、延べ利用者数割合により按分) |
減価償却費 | 建物減価償却費
建物附属設備減価償却費 構築物減価償却費 |
建物床面積割合により区分する。
(困難な場合は、延利用者数割合により按分) |
医療用器械備品減価償却費 | 使用高割合により区分する。
(困難な場合は、延利用者数割合により按分) |
|
車両船舶減価償却費 | 使用高割合により区分する。
(困難な場合は、延利用者数割合により按分) |
|
その他の器械備品減価償却費 | 使用高割合により区分する。
(困難な場合は、延利用者数割合により按分) |
|
その他の有形固定資産減価
償却費 無形固定資産減価償却費 |
延べ利用者数割合により按分する。 | |
徴収不能額 | 徴収不能額 | 各事業の個別発生金額により区分する。
(困難な場合は各事業別収入割合により按分) |
引当金繰入額 | 退職給与引当金繰入
賞与引当金繰入 |
給与費割合により区分する。
(困難な場合は延利用者数割合により按分) |
徴収不能引当金繰入 | 事業毎の債権金額に引当率を乗じた金額に基づき区分する。
(困難な場合は、延利用者数割合により按分) |
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支払利息 | 支払利息 | 事業借入目的の借入金に対する期末残高割合により区分する。
(困難な場合は、次の方法により按分)
|
(介護保険の給付対象事業における会計の区分について (平成13年3月28日老振発第18号)より表を作成)
訪問看護ステーションの会計・経理業務を効率化する方法とは?
訪問看護の経理・会計業務は複雑で、手間がかかる業務が多いでしょう。
この経理・会計業務を効率化するためには、
利用者負担金の回収を口座振替にする
訪問看護ステーション向けの会計ソフトを導入する
訪問看護事業に詳しい税理士に相談をする
といった方法が挙げられます。
利用者負担金の集金を口座振替にする
利用者負担金の回収を現金で行っている場合や口座への振込を受けている場合は、金銭の取り扱いや入金確認の業務が重荷になっているケースがあります。
利用者負担金の回収をすべて口座振替に統一することで、集金・入金確認業務を効率化することができます。
また、請求ソフトと利用者負担金の口座引落の機能が連動している請求ソフトを導入すると、計算した請求データから送信することができるのでとても便利です。
訪問看護ステーション向けの会計ソフトを導入する
訪問看護事業向けではない会計ソフトを利用している場合は、訪問看護ステーション向けの会計ソフトに切り替えることで、適切な勘定科目の設定、部門管理機能、事業に合ったレポートの作成機能などを活用することができるので効率化に繋がるでしょう。
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訪問看護に詳しい税理士に相談をする
もし決算書や法人税申告書をご自身で作成している場合、その作成に関する業務を税理士等の専門家に依頼することで効率化を図れるでしょう。
もちろん料金は発生してしまいますが、訪問看護事業に詳しい税理士等の専門家に依頼することで以下のようなメリットがあります。
専門家が作成するため間違いが少なくなり、決算書作成時のミス等によるリスクを減らすことができる。
専門家から経営分析を受けることができる。
それまで会計・決算書作成業務等にかけていた時間を他の業務に充てることができる。
会計についての知識が豊富な事務員を採用しなくても良い。
まとめ
ここまで、訪問看護ステーションにおける会計や経理業務の概要、運営基準に定められるルール、効率化の方法などをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
訪問看護ステーションの会計・経理業務を負担に感じているようでしたら、効率化するためのサービスやソフト、業務委託などを検討するのが良いでしょう。
会計・経理業務を効率化するためのサービスやソフトは様々な会社から多様な商品が出ています。
料金・機能などをしっかりと比較して、皆様の事業所の課題を解決できるサービス・ソフトを選びましょう。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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